戯曲。聖地ゴルドにおける狂詩曲
なにがどう戯曲かと言われると困ります。だから、管理人を困らせないで下さい。
聖地ゴルドでの、聖堂騎士団員の団長トークです。
バカエロです。もう、どうっしようもなくバカです。
ジョゼッペ…貴族出身のロン毛。生真面目だが、ナルシー。団長の事が大スキ。
グリエルモ…スキンヘッドのヒゲ。団長室警護当番。酒と女が好き。団長の事はもっと好き。
アントニオ…美形ぞろいとの前評判の割に、美形が希少なこの騎士団で、珍しく割と美形。髪が眉上。団長がだいすきなので、ククールが嫌い。丁寧で冷静な言葉遣いで、サラリと妙なコトを口走る。
トマーゾ…タラコ唇。マルチェロの同期。「その顔でアンタ、聖堂騎士団員なの?」といわれるのが大嫌いなので、美形なククールがキライ。団員の中では、珍しくノーマルで、弱いツッコミ。
カルロ…チビな団員。拷問室見張り係で、マルチェロ団長の拷問見物のスペシャリスト。おかげで、普通の恋愛ができなくなってしまったので、今では団長一筋。
エステバン…パルミド出身の元ゴロツキ。世間の狭い他の隊員とちがって見聞が広く、おかげで四六時中天ボケのキツい面々にツッコミを入れるハメになってしまった。
ニノ大司教…いばりんぼで好色でごうつくばりでワガママでうっとおしくてチビでデブでハゲな、自称「次期法王最有力候補」。聖堂騎士団員全員から、“ブタ”と蔑まれているが、マルチェロの直接の上司。
マルチェロ…マイエラ修道院院長兼、聖堂騎士団団長。
聖地ゴルド。護衛兵待機宿舎において。
グリエルモ「諸君!!只今から、緊急会議を召集する!!」
わらわらわら、他の騎士団員登場。
ジョゼッペ「うむ、同志グリエルモ。緊急会議とは穏やかでないな。一体どうしたのかね?」
ジョゼッペ、芝居がかった口調で言う。
グリエルモ「どうしたもこうしたもない!!諸君!!これは緊急事態も緊急事態!!かつて暗黒神がこの世界を破壊しようと暴れまわったことにも匹敵する悪事であるッ!!」
グリエルモ、テーブルを拳で叩く。
エステバン「やれやれ、グリエルモ。あんたのいう事はいつも大げさだぜ。」
アントニオ「まあ、先に話してみて下さい、同志グリエルモ。」
トマーゾ「うん、それがどの程度の悪事かは話してもらわなければ分からんしな。」
団員、口々に語るが、グリエルモは一喝し、静まらせる。
グリエルモ「諸君!!われらが敬愛すべきマルチェロ団長が、あの忌まわしき肥え太ったブタこと、ニノ大司教の護衛をも、遺憾ながら勤めていらっしゃることはご存知であろう。」
ジョゼッペ「うむ、わたしと同じ貴族ながら、その気品のかけらもないあのニノ大司教の護衛を、もったいなくもマルチェロ団長がしていらっしゃることは、当然、われら全てが承知のことだ。」
ジョゼッペ、カッコをつけて髪をかきあげる。
エステバン「で?あのブタ坊主がナニかしやがったのか?」
エステバンの発言に、グリエルモは激しく二回、テーブルを叩き、悲憤慷慨する。
グリエルモ「それだっ!!同志諸君、聞きたまえ。世にもおぞましい、拙者のこの言葉を聞きたまえ。ああ、拙者もこの目で見なければ、いや、たとえそうであったとしても、ここが女神の聖地、ゴルドでなければ、悪魔の幻惑と思ったろう。」
カルロ「女神の御許で、悪魔の所業が成り立つハズはないであります。同志グリエルモ、その目で見、その耳で聞いた事を我らに。」
グリエルモ「では語ろう。その前に、まずは女神に祈らせてくれ。おお女神よ、あなたの正義はどこへ行ってしまったのかっ!!われらは、あなたの正義をこの世に顕在さすべく戦う者だと言うのに!!」
トマーゾ「いいから早く話せ。」
グリエルモ、大きく息を吸い、そして血を吐くように叫ぶ。
グリエルモ「マルチェロ団長の…我等が汚れ無きマルチェロ団長の花の操が汚されたッ!!」
騎士団員、総員、騒然。
ジョゼッペ、芝居がかった動作を振り捨てて、グリエルモの胸倉を掴む。
ジョゼッペ「なにをっ…なにを証拠にそのような…マルチェロ団長の処女の名誉を汚すような事を言うなら、わたしは貴様を許さん!!」
ジョゼッペの発言に、グリエルモは男泣く。
グリエルモ「拙者とて、信じたくはないっ!!だが、わが眼は見たのだ。マルチェロ団長が、あの呪われしブタの部屋から、マルチェロ団長が服装を乱して出てこられるのを!!」
アントニオ「それは…あの団長が服装を乱すなどとは…」
アントニオ、眉をしかめる。
グリエルモ「しかも…おお、拙者の目はあんなものを見てしまうくらいなら、悪魔に食われてしまえば良かったのだ!!…マルチェロ団長の優美な首筋に、紅いものが!!見えているのをっ!!」
グリエルモ、号泣する。
アントニオ「それは…中で…」
アントニオ、言葉を濁すが、ジョゼッペが静かに続ける。
ジョゼッペ「あのブタ大司教に、マルチェロ団長が操を散らされたという事だな。」
ジョゼッペの発言に、トマーゾがおずおずと反応する。
トマーゾ「その発想は、あまりに短絡的だと思うが。」
ジョゼッペ「同志トマーゾ!!では、中で他に一体ナニがあったと考えるのかっ!?いやっ!!他に考えられなかろうッ!!」
アントニオ、沈痛な表情で小声で呟く。
アントニオ「団長が…あの清純な団長が、ニノの弛んだ腹の上で、腰を振らされていたと…」
ジョゼッペ、怒りに身を打ち震わせながら。
ジョゼッペ「あのっ!!あのっ!!団長の清らかにも、鍛え上げられた肢体をっ!!あのブタは、あの芋虫のような指ではいずったというのかっ!!」
グリエルモ「あの忌まわしい豚は、団長のあの涼しくも整ったお顔が淫らに歪むのを、下から見て楽しんでいるというのだっ!!これが怒らずにおれようかッ!!」
三人が盛り上がるのを見て、エステバン。
エステバン「おいおい、団長がブタ野郎とヤるのに、騎乗位なハズはねえだろ。あの体格差だ、ニノの野郎が潰れちまうよ。」
その発言に、トマーゾもうなずく。
トマーゾ「というか、なんであれだけの情報で騎乗位にまで話がトブんだ?」
カルロ、うんうんとうなずきながら発言する。
カルロ「小官も、エステバン同志のご発言に同意であります。」
エステバン「だろ?」
カルロ「ですから、小官が愚考いたしますに、大司教がマルチェロ団長に強要したのは、後背位であろうと思われます!!」
一同、激しくざわめく。
カルロ「しかも、大司教はマルチェロ団長に緊縛まで施したものと、小官は推察いたしますっ!!」
さらに激しくざわめく一同。
グリエルモ「同志カルロ!!貴官の推察の根拠を述べよ!!」
カルロ「小官は常日頃、マルチェロ団長が異端を審問なさるご様子を観察申し上げておりました。異端を改悛させるマルチェロ団長のお手並みは、ため息をつくほど見事であり、小官はおもわず劣情まで催すほどでありましたッ!!」
グリエルモ「うむ、まことにその通りである。」
エステバン「そこはツッコむトコじゃねえのか?」
エステバンの言葉が聞こえなかったのか、カルロは続ける。
カルロ「でありますからしてっ!!そのようなマルチェロ団長を逆に拷問にかけてみたいと思うのは、これはもう、自然の摂理といわざるを得ないッ!!そう、小官は愚考いたします!!」
ジョゼッペ「同志カルロ、貴官の洞察、見事であるな。マルチェロ団長と、自然の摂理といえば、これはもう屈辱プレイに持ち込むしかあるまいよ。まったく、見事な論理展開である。」
トマーゾ「おーい…今の話のどこに論理展開があったんだー?」
カルロ「お褒めに預かり、光栄至極であります。また愚案ながら、緊縛は亀甲縛りである可能性が極めて高い、という推察も披露申し上げます。」
アントニオ「なるほど。後ろ手に縛り上げたマルチェロ団長を、後背位で後ろから突き上げたという訳ですか。確かにそれならば、あの体格差でも、マルチェロ団長を喘がせることが可能ですね…」
アントニオ、しきりに感嘆し、うなずく。
トマーゾ「いや、だからさ。いつからマルチェロ団長が喘いだことに…」
トマーゾの発言に、グリエルモ。頭髪のない頭に青筋を立てて詰め寄る。
グリエルモ「なんとっ!!貴君っ!!拙者の耳を疑うというのかっ!?」
トマーゾ「いや…てか、グリエルモ。お前、何聞いたんだ?」
グリエルモ、号泣し、吠えるように叫ぶ。
グリエルモ「おお!!この耳で聞かなければっ!!拙者とて信じたくはなかった!!マルチェロ団長が、あのような淫ら極まりない言葉を、あの整った唇から漏らされたということをっ!!だが…おお、あの発情したブタは永遠に呪われよ!!団長は確かにおっしゃったのだ!!もうご勘弁下さい、ニノ大司教…と」
ついには泣き伏したグリエルモに、アントニオは哀しげな視線を向ける。
アントニオ「グリエルモ…敬愛する団長の、そんな淫らな発言を聞かされてしまったあなたの心に女神の慈悲がありますように…」
トマーゾ「なあ、エステバン。おれにはちいとも淫らに聞こえないのは、おれの感性がおかしいからなのか?」
別の意味で泣きそうなトマーゾの肩をバンバンと叩き、エステバンは耳元に口を寄せる。
エステバン「もう、そういう事にしとけよ。世の中ってそういうものだろ?」
ジョゼッペ、部下の報告を受け、一同に向き直る。静かな口調。
ジョゼッペ「マルチェロ団長と、ブタ大司教が、また私室にこもっているらしい…」
一同、さまざまな憂慮の表情で黙る。
ジョゼッペ、神に非道を訴えかける司祭のように叫ぶ。
ジョゼッペ「しかも今回は、マルチェロ団長含め、四人でらしいっ!!」
エステバン「おおー、4pか、大変だな、マルチェロ団長も。」
エステバン。軽い口調で言い放つも、グリエルモに胸倉をつかまれる。
グリエルモ「エステバン貴様ー!!マルチェロ団長の可憐なる花びらが、忌まわい情欲で満たされた棍棒に貫かれるのみならずっ!!朗々たる説教を発される、形のよい前のお口に、劣情の余残たる白い粘液が流し込まれるなんぞと、神聖なる聖堂騎士団長で淫ら極まりない妄想を為すかー!!」
トマーゾ「ゆってない、ゆってない。エステバンはそんなコトゆってないよ、グリエルモ(泣)」
アントニオ、激情したグリエルモに近寄り、エステバンにかけた手を離させる。
アントニオ「お止めなさい、グリエルモ。」
グリエルモ「しかしっ!!」
アントニオ、たしなめる様に語りだす。
アントニオ「マルチェロ団長が、涜神の行為をも恐れない野ブタ大司教をはじめとする、聖帽をかぶった下衆どもに、カラダ中の穴という穴に、欲望の残滓を注ぎ込まれているという事実をここで憤慨しても仕方ないでしょう…」
エステバン「妄想をここまで膨らませられる聖職者って、すげえよな。いや、今は俺もそうなんだけどよ。悪徳の街パルミドでさえ、ここまでイッちっまった思考をする奴等はそうめったにいなかったなあ(しみじみ)」
エステバンの発言を耳にも入れずに。
アントニオ「我々に必要なのは、それでもマルチェロ団長に畏敬の念を抱き、たとえ明日、団長の腰が立たなくなっていたとしても、それでも団長を恋慕し、守護し続けること…違いますか?」
アントニオの発言に、ジョゼッペ、グリエルモ、カルロが感涙を滝のように流す。
ジョゼッペ「うっうっ…確かにその通りだ。」
グリエルモ「拙者は、チビブタに殺意を抱くあまり、一番大事なことを忘れていた。」
カルロ「小官も自分が恥ずかしいですあります!!例え今夜、どんな痴態を演じておられたとしてもっ!!明日にはムチを持った女王様にお戻りになるのが、思えば団長でありましたっ!!」
アントニオ、優しく微笑み、語る。
アントニオ「では、もう休みましょう。ここまで話してきて、いろいろと我慢できないコトもおありでしょうから。」
その微笑に促され、騎士団員退場する。
途中、トマーゾ、一旦足を止め、独白。
トマーゾ「おれ、もしかして職業選択間違ったのかな…」
トマーゾ、立ち去る。
ニノ大司教の寝室。
声「…ニノ大司教…お願い…ですから、もうご勘弁を…」
ニノ「ふふふふふ、甘いぞよマルチェロよ。そんな哀願に耳を貸すワシと思うてかッ!!まだまだ夜は長いッ!!覚悟するがよい、マルチェロよ。」
マルチェロ「ですが…もう毎日連夜です…いくら私とはいえ、もう…」
ニノ「なれば早う、出すべきモノを出すがよい。」
マルチェロ「…大司教…お早く…」
ニノ「ふははははは、あと少し、あと少しじゃぞっ!!」
マルチェロ「では…これっ…で…」
ロン
聖職者@「頭ハネ、3900です、ニノさま。」
ニノ「うぬうッ!!ワシの三倍満をそれしきで蹴散らすとはッ!!おのれっ!!ワシは次の法王じゃぞ!?」
聖職者@「勝負に法王もへったくれもありません。では次局」
じゃらじゃらじゃら…
ニノ「ははははははは、清一色気配濃厚の好配牌じゃッ!!これならば、早い順にアガれ…」
聖職者A「ツモ、1500です。」
ニノ「ぬわにいいいいっ!!…くっ!!ワシは勝つッ!!勝つまでやめんからのっ!!マルチェローッ!!ワシが勝つまで相手をするのじゃー!!」
マルチェロ「…本当にご勘弁下さい…あークソ、さっきから蚊が(ぺちっ)また噛まれた…クッ、首を噛まれるとどうしようもなく痒いな(目立たないように服を少しまくりあげてぼりぼり)クッ、本気で全身痒いっ!!」さっきみたいに、服を脱いで掻きたい…」
弱いくせに、どうしようもなく負けず嫌いなニノ大司教につき合わされ、徹マン三日目で珍しく弱気なマルチェロ団長は、もちろん、部下の騎士団員が自分でナニをしているとは知らず、卓を囲み続ける。
だからなんだというお話でした。いや、部下のオナペットにされてる団長はエロいかなーって。
聖堂騎士団は、団長の厳しい教育の元、厳格な風紀の中で暮らしているだけに、妄想力だけが肥大化してそうだな…と。
ちなみに団員の名前は、マルチェロに免じて?イタリーにしてみましたが、パルミド出身の彼だけは、毛色を変えてみるつもりで、スペインにしてみました。いやあ、好きなんですよ「エステバン」って名前。英語だったら「スティーブン」なのに、カッコいいよね?