戯曲。麗しの双調曲


なにがどう戯曲かと言われると激しく困ります…との書き出しも四回目ですな。
マルチェロ団長時代の、聖堂騎士団員のマルチェロトークです。今回はマイエラ修道院名物?イベントに非協力的な団長への弾劾?トーク…のハズ。
バカエロです。もう、どうっしようもなくバカです。
ところでこいつら、いつ、マイエラ修道院とマイエラ地方の平和を守ってるんだろう?





登場人物



グリエルモ…スキンヘッドのヒゲ。このシリーズ最右翼の団長好き。彼のアタマの中には団長のエロいトコしか入ってないんじゃないかという風説が囁かれている。基本的に吼える男。

アントニオ…髪が眉上の美形団員。丁寧で冷静な言葉遣いで、サラリと珍奇なエロ妄想を口走る男。実は、(団長除く)聖堂騎士中で一番ヤバい人なのではないかとの風説が囁かれている。

カルロ…チビな拷問室見張係。拷問陵辱妄想のプロ。妄想を実行に移さないのは、良識が故なのか、それともそっちの方が萌えるからなのか…それは彼以外誰も知らない。

トマーゾ…マルチェロの同期のタラコ唇。聖堂騎士団の唯一最大の良心…だが、この騎士団はこの良心を痛めつける事ばかりしている。激しく善人。激しくノーマル。それが彼の不幸の原因。もちろん、今回も激しく不幸。

ククール…食欲と睡眠欲と性欲と兄への欲情という、四大本能で生きている聖堂騎士団…というより世界レベルの問題児。とても美形。

ジョゼッペ…名家出身のロン毛の騎士団員。ナルシストというけっこう美味しい公式設定があるくせに、変態濃度の高すぎるこのシリーズではいまいち目立たない人。

エステバン…パルミド出身のチンピラ?団員。ただ発言がチンピラ的なだけで、中身はそうとうまっとうで良心的な人。トマーゾの唯一の心の友。シャレはシャレと割り切れる、一番オトナな人。

マルチェロ…卓越した剣の技量、怜悧な頭脳、頑健な肉体、強固な精神力に加え、ほとばしるエロカリスマによって団員みんなの心をガッチリ掴みまくっている聖堂騎士団団長。ちなみに最後のは当人は自覚ナシ。だからこそ毎日毎晩、うっかり妊娠しそうな視姦の嵐の中で生きていけているのである。

オディロ院長…マイエラ修道院院長。七賢者の末裔にして、モノホンの聖者さま。その広すぎる心とあまねく注がれる慈愛は、実ははいろんな人を歪めまくっている…事にあんまり気付いていない。











聖堂騎士団員トマーゾ、一日の職務を終え、団員談話室に入ろうとする。


トマーゾ「あー疲れた。まったく、イベント前の大掃除だってのに、ククールは一体どこに行った… どうわあっ!!」



その声に、他の団員が一斉に室内に入る。




ジョゼッペ「一体どうしたのかね?騎士団員トマーゾ?」

トマーゾ「く…くく…ククールが…ククールが… バニーにっ!!(泣)」


一同が見つめる中、 激しくキュートなバニー姿のククール は、 恥じる気配すらなく、くりん、と一回転し、



「えへへー、似合うー?」


と発言する。




一同、バニーククを囲み、事実と因果関係の確認をする。


トマーゾ「…つまり、アレなんだな?お前が今日の大掃除をサボってたのは、 マイエラ修道院秋の祭典名物「ミス・聖堂騎士団コンテスト」 の衣装の着付けの為だったと…そういう訳なんだな…」

トマーゾ、既に涙声。しかしククール、そんなトマーゾの気持ちを一切斟酌することなく、 軽薄極まりない 口調で返答する。



「うん、そう。」



そして、 激しく生真面目な表情と口調 で続ける。




ククール「だってさ、 五年連続優勝者 としてはやっぱ 今年もディフェンスしたい じゃん。」


トマーゾ「おま…だからって… 二十歳すぎたオトコがバニー…

トマーゾ、それ以上は言葉にならない。




ククール、絶句するトマーゾを見て、他の団員に言う。


ククール「なにさー、そんな 言葉も出ないほどオレの美麗さに感激 しなくたっていいじゃんなー?」


エステバン、面白そうに答える。

エステバン「確かにめっちゃ似合ってるぜ、ククール。それなら、ベルガラックのカジノのバニーだって勤まるってモンさ。」

ククール「えへへー、たりめーじゃん♪コレで、今年の優勝も頂き…」



それまで黙って、ぶるぶると身を震わしていたグリエルモ、ついに耐え切れなかったのか、はね起きると、叫ぶ。


グリエルモ「我輩は納得いかんっ!!」







唖然としてグリエルモを見つめる一同。

グリエルモはそれを意にも介さず、吼えるように訴える。


グリエルモ「そもそも貴公たちは疑問に思わなかったのかっ!?マイエラ修道院の行事といえば、全て宗教的な儀式であり、 ミスコンもまた同じっ! で、あるならば、当然、我々聖堂騎士が行事に参加するのは 聖堂騎士としての義務であり責務っ!! よって、当然、 マルチェロ騎士団長殿も、ミスコンに参加すべきであろうっ!?」










一同、グリエルモの発言に息を呑む。










アントニオ、寂しい笑みを浮かべる。

アントニオ「遂に口にしてしまいましたね、グリエルモ。…我々聖堂騎士団員全てが、 心底、切望しながら口には出来なかった禁断の欲望 を…」


エステバン「うっわー、やっぱそうだったんだー。俺も、ぜってえこいつら、それ狙ってると思ってたよー。」

エステバンは軽く流すが、 他の団員の表情は、一挙に深刻さを増す。







沈黙を破り、ジョゼッペが発言する。


ジョゼッペ「…わたしも毎年、ミスコンの度に密かに思っていた…どうしてこの場に団長のお姿がないのかと…ああ、思っていたよ。この場には やんごとなき貴婦人のようなドレス…もちろん、団長のあの裾を翻す優雅な挙措を引き立たせるような、フリルとレースをふんだんに用いたモノだ!!…をお召しになった団長のお姿が、ぜひとも必要だとっ!!」










一同、ジョゼッペの発言に深く考え込む。


ククール、一人だけやたらと嬉しそうに 脱がせ甲斐があって、いーなー♪ などとはしゃぐが、幸い、グリエルモの耳には入らない。


とりあえずトマーゾは、さめざめと泣き続ける。



エステバン、ちゃかすような笑みを浮かべ、口を開く。


エステバン「なんだよ。そんなに脱がせてぇなら、いっそ団長にゃ、 花魁 をやってもらっちゃどうだい?あのデコにゃ、仰々しい簪が似合うぜ、きっと。」










「花魁っ!?」

一同、同時に絶叫する。


グリエルモ、文字に出来ない吼声を上げ、エステバンの胸倉を掴む。


グリエルモ「き、貴様ぁ、エステバンっ!!事もあろうに、 神聖なる処女 であられるマルチェロ団長に、女郎の格好をさせるだとぉっっ!?」



エステバン、もうとうに慣れっこになっているので、顔色すら変えずに言い放つ。


エステバン「おっと…まさか不服かよ?あの団長が 真っ赤な布団の上から 手招き してくれんだぜ?男冥利に尽きるんじゃねえのかい、グリエルモ?」














グリエルモ、血管をブチ切れさせて、血をほとばしらせながらブッ倒れる。










ジョゼッペ、しきりに感心し、うなずく。

ジョゼッペ「東洋の神秘、黒髪を見事に用いた女装であるな。」


アントニオ、共感しながら言葉を続ける。

アントニオ「ややオリエンタリズムに頼り切った嫌いはありますが、なかなかの発想力です。見直しましたよ、エステバン。」

エステバン「へへ、光栄だな、お二人さん。」



トマーゾ「ちょ…感心してないでグリエルモを何とかしろよ!?グリエルモー?死ぬなよー?ホイミ、ホイミー!!」










黙って聞いていたカルロ、遂に口を開く。

カルロ「…小官は愚考いたします。 団長ならば、女王サマでありましょうっ!!」










「じょ…」

一同、同時に絶叫しようとするも、感極まって中途で声を止める。










カルロ、静寂の中、一人語る。

カルロ「団長といえばムチ捌き でありますっ!!それを最大限に生かすには、あの格好しかありますまい!そう、小官は愚考いたす次第でありますっ!! そして、 団長のあの蟲惑的な太腿!!肉感的なふくらはぎっ!! 更には 股間のモッコリまで余す所無く堪能出来るという、まさに理想の服装ッ!!」














グリエルモ、再出血。血を噴出しながら再度ブッ倒れる。










エステバン、手を打って笑いながら。

エステバン「あっはっは、こりゃいいや。そりゃ、団長のムチムチなプリプリも堪能出来るだろうさ。」

トマーゾ「…カルロが変質者なのはもう今更だけどさ…エステバン!!なんでお前、こんな異常な会話で笑えるんだっ(泣)!!」

トマーゾの涙ながらの抗議に、エステバンは真顔に戻って答える。

エステバン「だってもう 笑うしかねーだろ?」










一同がマルチェロの女王サマルックについてアツく語り合っている中、バニーククが一人不満そうに叫ぶ。


ククール「なにさなにさー、みんな分かってねー。だんちょーはホントはそんなんじゃねーもん。ホントは家庭的でかーいーんだもん。だからだんちょーどのの女装つったらやっぱ 裸エプロン♪だろ?」










「…」

一同、驚愕の極みで声も出ない。










隣人の心音すら聞こえそうな静寂の中、ククールは一人得々と語る。


ククール「キッチンでご飯支度するだんちょーに、オレが

『だーんちょ♪ごはんまだー?』

って聞いたら、だんちょーは、まだ出来てない、って答えるけど、 オレは後ろから抱きついて、つーかそのままバック攻めでイクんだっ♪」




ククールの、

そんでもって、エプロン…かわいーピンクか、純白がいーな♪の上から、だんちょーのキュートなでっぱりをうりうりしてぇ…

などという言葉が続くが…



トマーゾ「あの…グリエルモの出血が止まんないんだけど…」


アントニオ「大丈夫です。」

トマーゾ「でも、グリエルモの皮膚が青白くなって来てんだけど…」

ジョゼッペ「同志グリエルモは、 出血多量ごときで死ぬほど、ヤワな男ではない。」


カルロ「人体というものは、全身血液の半分を失わねば死ぬ事はないでありますっ!!」

トマーゾ「いや…半分つーか もう四リットルは流れ出てる んだけど…?」













とんとん…がちゃ


小さなノックの音の後、オディロ院長が姿を現す。










オディロ「おお皆、こんなところでお喋りかい?楽しそうじゃのう、ワシも混ぜてくれんかの?」

トマーゾ「…院長、俺、全然楽しくないです…(泣)」


トマーゾ、院長に訴えようとするも、ククールが割り込む。




ククール「オディロいんちょー♪」

オディロ「おおククール、どうしたんじゃ? 可愛いウサギさん になって。」

ククール「えへへ、似合うー?」

オディロ「おうおう、とてもよう似合うぞ。」


オディロ院長、ククールの頭を優しく撫でる。ククール、 激しく図にのり 院長に言う。




ククール「あのさー、オディロいんちょー?せっかく、たのしーミスコンなのに、 どーしてマルチェロだんちょーは出ないのさー?」

オディロ院長、優しい目をぱちくりさせて。


オディロ「おお、そうじゃのう。せっかくのイベントじゃ、 あの子も出れば良いにのう。…では、そう言うてみよう。」










マジでーっ!?

一同の声なき声の期待を一心に背負い、オディロ院長、マルチェロに直談判に行く。


聖堂騎士一同、 沢山のいかがわしい期待 と一人分の危惧と共に、それを物陰から見守る。















聖堂騎士団長マルチェロ、オディロ院長の発言を顔色も変えずに聞き、返答する。


マルチェロ「オディロ院長…それは… ご命令でありましょうか?」



オディロ院長、マルチェロの発言に困惑し、とっさに返答に迷う。

マルチェロ、続ける。


マルチェロ「それがご命令でありますならば!! 不肖マルチェロ、院長に絶対の忠誠を誓う聖堂騎士団長として、また、院長を親とも思慕する私情からして、 どうしてそれに逆らいましょう。 未だ嘗て、一度の例外も無く、院長に忠実であったこの私です!! ええ、如何なるご命令であろうとも、私は院長のご命令とあらば否とは申しますまい。ええ… 院長が死ねと仰るならば、すぐさまこの場で…」




















オディロ院長、団員談話室に戻り、一同に、激しくすまなさそうに言う。


オディロ「…すまんのう…無理じゃった…」



一同、一人の例外も無く、心底納得する。




オディロ院長、盛り下がった雰囲気を見て、言う。


オディロ「では、マルチェロの代わりに、 ワシが出よう。」










え゛え゛え゛え゛え゛ーっ!?

一同、声にならない叫びを上げるが、院長には通じなかった。



























ミスコン後。

ククール、心底悔しそうに。



ククール 「負けたっ!!」










終幕


2006/10/3







なんつーか…院長は妖精みたいで、絶対可愛いと思うとですよ。ただ、そんな院長の姿を見た団長がどんな顔したか気になりますが。
相方とメールした「団長に似合う女装はなんだっ!!」というトークの内容です。今回はそんなにエロくなく、あっさり風味……と思う。
ちなみにあそこで院長が「命令じゃ」とゆったら、団長は裸エプロンでもなんでもしてくれたと思いますが、直後に間違いなく腹切ったと思います。
べにいもは想像力が貧困なので、こんくらいしか浮かばなかったのですが、皆様、団長にはどんな女装が似合うと思われますか?

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