ずっぽしの場合







兄貴のオレの返答を聞くや否や、オレの腕をひっぱって一番近くの大きな街へ入り、ラブホに直行すると
「スーパーDXルームを宿泊で頼む。」

と、受付のおばちゃんが困るくらいの真面目な顔で頼んだ。



スーパーDXルーム…回転ベッドから、SM用具まで、どんな夜にも対応できる、当店イチバンのお部屋です♪最近マンネリがちなお二人さんへ、刺激イッパイの夜をどうぞ♪



…確かに兄貴は森羅万象に詳しい人なのはオレも知ってたけどね… ラブホの部屋にまで詳しい兄貴だとは、ちょっと知りたくなかったな…






兄貴は、 法王即位式に臨む法王のように、荘厳かつ自信に満ちた足取りで ラブホの廊下を闊歩する。

うん、途中で出会った何組かのカップルが、みんなジロジロ見るくらい、兄貴の存在は浮きまくってた。









部屋に入ると、兄貴はどかりとベッドに腰を下ろし、同じく腰を下ろしたオレを 睥睨 した。



「ではククール、 契約内容を確認 しようか?」

「兄貴…これって契約なの(泣)?」


オレは兄貴とラブラブしたいのに…
オレのそんな切ない乙女心を、兄貴は完全に無視して続ける。



「さきほどお前も聞いた通り、頼んだのは“ご宿泊”だ。よってお前は 朝の規定時間になるまで、私を好きにして構わん




無機的な言い方だけど、それはそれとして オレの股の間の“偉大なる大神” は兄貴の台詞に激しく反応した。


好きにして構わない…なんて甘美な響き♪





「はいはいはーい、オレもかくにーん。」

「なんだ?手短にしろ。」

「ホントにナニしてもいいの?」

「そうだ。だからわざわざ特別料金がかかる“スーパーDXルーム”を頼んだのだろうが!!」

料金を払ったのは、実はオレだった気がしたけど、オレはまあそれは気にしないことにした。


「ちゅーしてもいいの?」

「ああ。」

「舌入れてもいい?」

「ああ。」

「兄貴のムダな肉が一片もない腹筋とか、さわりたくってもいい?」

「ああ。」

「兄貴のキュートでセクシーなヒップとか、その中身とかに指とか舌とか入れてもいい?」

「ああ。」

「もちろん、そこにオレの“偉大なる大神”とかねじこんでもいい?痛くしないから。」

「別に痛かろうが、痛くなかろうが構わん。」

「オレ、うまくやるつもりなんだけど、兄貴の後ろは初体験だから、気持ち良過ぎて、うっかり中に瀉しちゃっても怒らない?」

「ああ。」

「ところで銜えてくれたりなんかもするの?」

「ああ…」

「んでもって、ちょっとAVチックに顔射なんかになったりしても…」


ええい、しつこい!!ナニしてもいいと言っただろうが!! 私の肉体の穴という穴に、何をつっこんで、何を出そうが構わん!! どうせ今更の体験だ、相手が貴様だろうが今更何を躊躇する私でもないわっ!!



「兄貴…“どうせ今更の体験”って…どゆこと(泣)?兄貴はぴゅあぴゅあじゃ…」

「黙秘権を行使する…質問は以上か?だったらさっさとやれ!!」



オレは激しく気になったけど、 まあ、ぴゅあぴゅあでなくても兄貴の事を愛してる 事実に変わりはないので、それ以上は気にしないように努めることにした。










というワケで、定石どーり



ちゅーして(もちろん舌もちゃんと入れて)

おさわりして(ところで兄貴って、オレたちがゴルドでボコボコしにしちゃったのに、どうして割りと元気なんだろう?ベホイミしか使えないのに)



そいでもってオレは、最終目的地に達しようとしていた。



ただ、オレはそん時、下半身は割と納得してたんだけど、上半身はいろいろと納得がいっていなかった。

だって






兄貴ってば、すげえ勢いでマグロなんだもん(泣)!!



「兄貴ー、も少し積極的に動こうよー?」

「私は“ナニしてもいい”とは口にしたが 何かしてやる、と口にした覚えはない。」

「だからって、抱きしめたら抱きしめ返してくれたっていーじゃん!!」

「何が悲しくて、貴様にそんなコトしてやらねばならんのだ。」

『愛してるよ、兄貴』
ってオレがゆったら
『私もだよ、ククール』
ってゆってくれたっていーじゃん!! フーゾクだって、そんくらいのサービスはしてくれるよー!!


「私がいつから風俗店従業員になったというのだ、貴様!!」



「兄貴はぜんぜん分かってない!!ずっぽしってモンを全然分かってない(泣)」

「吐精行為に、そんな大層な理想があるとでもいうのか?」

「違うのー!!全然ちがうのー!!そりゃ、瀉すモノ出すのは大事だけどさ、 同じくらい大事なものが二人の間には必要なのっ(泣)!! それナシでカラダだけ好きにしたって、仕方ねーじゃん(泣) オレ、そこまで即物的なニンゲンじゃねーもん!!繊細だもんっ!!


兄貴は不審そうな目で(ところで、今までオレがあんだけサービスしたのに、どうして兄貴はまるきり感じてる風でないのかすげえ気になるんだけど)オレを見上げた。

「貴様の言う“同じくらい大事なもの”とはなんだ?」


兄貴の問いに、オレは オレの最大出力エンジェルスマイル で答えた。

「そりゃあもちろん…」

「もちろん?」


愛♪





















兄貴は答えた。


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