Meet The Brotherーー善良なお兄ちゃん、邪悪なお兄ちゃんー




リーザスの塔の、リーザス像の前。

そこには若い恋人達が、そっと跪いていました。


ゼシカ「サーベルト兄さん…あたしたち、今度結婚することにしました。だから、兄さんにも、あたしの最愛の人、ククールを是非知って欲しくて、今日、こうやって来てもらいました。」

クク「サーベルトさん…あなたの妹さんをオレに下さい。」



どこからともなく声が聞こえる。


「僕の大事な妹を“あげる”訳にはいかないな。」

ゼシカ「…兄さん!?」

「ククールくん…ゼシカは僕の大事な妹だけど、僕の“モノ”ではない。ゼシカは自分の頭で考え、そして行動出来る子だからね。」

クク「…」

「だから、ゼシカが選んだからには、君はとても素晴らしい人なんだろう。」

ゼシカ「…」

「ククールくん、僕はもはやゼシカの幸せを心から祈ることしか出来ない。けれど、こうしているゼシカの顔は、とっても幸せそうだから、僕は安心してゼシカと君の結婚を祝福出来るよ。」

ゼシカ「兄さん…(嬉し涙をこぼす)」

ククール「サーベルトさん…オレ、絶対に彼女を幸せに…いや、彼女“と”幸せになります!!だから安心して、女神のお膝元で安らかに過ごしてください。」

「…ありがとう、ククールくん。そして、おめでとう、ゼシカ。僕はとっても嬉しいよ…」



どこからともなく聞こえた声の主は、嬉しそうに微笑んだ…気がした。






ゼシカ「(微妙に涙声で)サーベルト兄さんがああ言ってくれて良かった…」

クク「(ゼシカを優しくかき抱きながら)うん…そうだね…」

ゼシカ「(いきなり素な顔に戻って)けど、こっから行くトコを考えると、すんごいローな気分だわ。何が哀しくて、 あんなデコい生物 に、結婚しますって言いにいかなきゃなんないのよ!?」

クク「ひでーよゼシカ。オレだってサーベルトさんに報告に行ったんだから、君だってオレの兄貴に言ってくれたっていいじゃん。」

ゼシカ「そうね…仕方ないわね。」

クク「ああ、ゼシカ。それと兄貴に会った時なんだけど、ちゃんと

『お兄さん、弟さんをあたしに下さいッ!!』

って言ってくれよ?」

ゼシカ「…は!?それって男の側の台詞じゃないの?」

クク「何を古臭い事を言ってるんだ(めっちゃマジな顔で)時代は男女平等なんだぜ?男の側が下さいっつったら、女の側も下さいって言うべきじゃん!?」

ゼシカ「…なんか、いろいろと間違ってる気もするけど、まあいいわ。」

クク「あ、それと、も一個。」

ゼシカ「…なに?」

クク「ほら、キンチョーするから、微妙に噛んだりするかもしんねーけどさ。」

ゼシカ「あんなMデコ相手に、なんで緊張しなきゃなんないのよ。」

クク「(聞いてない)決して、

『お兄さん、弟さんをあたしに下さいッ!!』

を言い損なって

『お兄さんをあたしに下さいッ!!』

なーんて言っちまったらダメだぜ?」

ゼシカ「言わないし。」

クク「(心底真面目な表情で)もし、そう言われた兄貴が

『私でいいなら、喜んで…』

とかゆっちまったら…」

ゼシカ「くれるっつっても心底いらないわよ、あんな電波男。」

クク「(心底苦痛に満ちた表情で)オレ… いくら君でも、殺意を抱かずにはおれねーよ…」

ゼシカ「…(やっぱりこのアホ美形と結婚すんのやめようかしら)」






いん ふろんと おぶ マルチェロ


ゼシカ「(心底いやそうに棒読みで)

『おにいさん おとうと さん を あたし に ください』」

マル「(眉間に皺を寄せて黙り込む)」

クク「(なぜかちょっと嬉しそうに)兄貴…オレとゼシカは心底愛し合ってるんだ。だから、いくら兄貴が可愛いオレを手放したくなくて

『そんな結婚は許さーんっ!!(ちゃぶ台返し)』

とか

『ククールが欲しくば、この私を倒してみるのだな(大魔王微笑)』

とかしたって、無駄だかんな?なっ!?だから、いくらオレが大事だからって、ここは一つ穏便に結婚を認め…」

ゼシカ「ククール…あんた、結婚したいのか、反対して欲しいのか、一体どっちよ?」

マル「…ゼシカ嬢…(真摯な面持ちで頭を下げる) ふつつかな弟だが、これからもよろしくお願いする…」

ゼシカ「…ああ…はい…(あまりの事に狼狽しながらも、お辞儀を返す)」

クク「え゛ー!?(心底がっかりした顔で)なんであっさり認めちゃうのー?」

マル「(ククの発言を完全無視して)私にはまったくもって理解しがたいことだが、 顔とイカサマだけが取り得のダメな生物 相手に、貴女が結婚まで決意したという事は、なにかしらそやつには瑣末な長所でもあるのだろう…私にはその生物は 一滴の好意を持つべき点も見当たらないのだが、まあ、 蓼食う虫も好き好き という奴だ。…だが、これだけは言っておくッ!!(超、真面目な顔で)」

ゼシカ「…はい?」


クク「なになにー?

『ククールを粗末にしたら、私が許さんぞ』

とか

『三日に一回は里帰りさせろよ』

とか?もおっ、兄貴ってば弟想いが過ぎるんだからっ!」

マル「(完全に黙殺して)その生物は貴女にノシをつけてくれてやるのだから、 二度と再び、私の視界に入れてくれるなよ!?

うむ、煮るなり焼くなり、好きにしてくれてまったく構わん から 返品は如何なる理由においても断固拒否するッ!!

私の言いたい事は以上だ。後は好きにしたまえ、ゼシカ嬢。」

ゼシカ「…(何かいってやろうと口を開きかける)」

クク「ひでえよ、兄貴ー(泣)なにさなにさ、その言い草!!弟がおムコに行くんだから、兄貴としてはトーゼン、

「辛くなったら、いつでも帰ってくるのだぞ」

とか

「お前の顔が毎日見れないなんて…寂しくなるものだ」

とか、ゆってよーッ!!(泣きながら抱きつく)」

マル「ええいっ!!デカい図体で抱きつくな、暑苦しい!!そもそも私は、貴様のような弟を欲した覚えは一度たりともないッ!!」

クク「(必死でしがみつきながら)やだやだー(泣)兄貴が

『ククール、愛するお前をどこにもやりはしないッ!!』

ってぎゅっと抱きしめてくんないなら、絶対離さないっ!!」

マル「ええいっ!!誰がそんな世迷言をほざくかっ!?…まあいい、離さぬというのなら、貴様を死体にするだけの事だッ!!食らえ、ククールッ!! ゼロ距離グランドクロスッ!!(テンションMAX)









クク「(黄色HPで泣きながら)兄貴のバカ…」

ゼシカ「(巻き添えをくい、同じく黄色HPで)バカはあんたよッ!!」

クク「(泣きながらもすがるような瞳で)もういいもん…兄貴が愛してくんなくても、 ゼシカで我慢するから…」

ゼシカ「(ピキっ、と可愛いおデコに怒りマークを浮かべ、それでも声だけはやたらと優し気に)ククールぅ?」

クク「ゼシカー♪」

ゼシカ「死にさらせっ!!(双竜打ち、怒り満タンver)」




しーん




きららん




ゼシカ「(祝福の杖でHPを回復させ)さっ、おうちに帰ろ。今日の晩御飯はなにかしら…やっぱり 自宅が一番 よね、うふふ。」










2007/5/30

元拍手話。
べにいもはククゼシが大スキですが、もしかしたらククマルゼシはもっとスキかもしれません…賛同者求ム inserted by FC2 system