隣同士貴女と その一
問題
今回のサブタイトルは、一体どのような意図をもって名づけられているか?出典及び、べにいもの命名意図を簡潔に答えよ。
最速正解者には、拙駄文のリクエスト権を与える。(辞退可)
期限:「隣同士貴女と」その三 掲載時まで。
結局リーザスの塔の謎の大破壊事件は、ククールの
あの塔には実は、不発弾が多量に埋まっていたんだよ。んで、それがなにかのきっかけで爆発したんだ。え?ンな訳ないって?何言ってんだよ。あの塔は、建築の街リブルアーチから嫁いできたリーザスの像を祀った塔だろ?そりゃ
発破用の魔法の球の百や二百は埋まってる方が自然だろ!?
という、
激しく苦しい言い訳
がまかり通り、そういう事になりました。
ゼシカが、激しく不愉快そうな様子ながらも同席する食事の場で、マルチェロはアローザ奥様に語ります。
「マダム、大変不幸な事故でしたが、不幸中の幸いか、リーザス像は無傷です。」
さすが、大魔道士の魔力のこもった像。
マダンテ直撃くらいではビクともしませんでした。
「そして…リーザスの塔には
損害保険
が掛けてありますので、再建費用もそこから出せるでしょう。」
さすがやり手のマルチェロです。万事にぬかりはありません。掛け金支払い期間が短すぎるとか、
そもそもこれは人災である
とか、そういう事も全て彼がなんとか
事実を捏造してくれたのでしょう。
ククールは、有能な兄に大感謝しました。
「あらあら、そうですか。しかし、わたくしもこの村に嫁いできて二十年以上になりますが、まさかあの塔に不発弾が多量に眠っていたなどとは知りませんでした。」
そりゃ、そうでしょう。
「でも、あの塔も大分とガタが来ておりましたし、魔物も住み着いていましたものね。これもリフォームのいい機会でしょう。」
ククールは、塔内部に生息していた魔物たちの冥福を、そっと女神さまに祈りました。
「左様ですな、マダム。では再築にあたっては、魔物が近寄らないような工夫を…」
「ええ、それに加えて、わたくし内装が…」
マルチェロと奥様が、リーザスの塔再建計画に夢中になっている間に、ゼシカは食事を終え、小さい声で
「ごちそうさま…」
と言うと、席を立ちました。
「…もう…」
仕方ねえハニーだな。
そんな言葉を呑み込み、ククールも急いで食べ終わると、そっと奥様に一礼して、ゼシカの後を追いました。
ゼシカの部屋に入ると、ククールはさすがに彼女に言いました。
「なあゼシカ、こないだといい、今回といい…いくらなんでも、
マダンテ発動しすぎ
だぜ?今んトコ、(ゼシカ当人以外)死者が出てないからいいようなモンだけどさ…」
ククールはさらっと言いますが、そもそもこれは
大量破壊兵器無差別使用
という、立派な極悪犯罪行為です。
「…だって…だって…
デコキャラ大量生産
だったのよ…」
ゼシカはぶつぶつと、マルチェロお父さんがどうとかこうとか、異父弟妹がデコとか、なんでそれで幸せ家族なのよとか、ひたすら呟きました。
ククールはなんとなく、塔内でゼシカが見た
幻視
の内容の見当はつきましたが、それでもいつもより強い調子でゼシカに言います。
「でもよゼシカ。そもそも、ホントに兄貴が奥様と付き合ってるかなんて、分かりゃしねーじゃん!?あの宿屋のおばさんが言ってただけだし、だいたいオレとゼシカも一つ屋根の下に住んでるから、兄貴と奥様が、そんな一晩とか一緒にいたコトなんてねー…」
「一分半よ…」
ゼシカは呟きます。
「…なにが?」
ククールは、まるきり理解できなくて聞き返します。
「一分半あれば十分なのよ…」
「だから何が…」
『霊長目ホモサピエンスの交尾所要時間は文化人類学的に言えば、一分半』
なのよー!!」
そうして、ゼシカはベッドに泣き伏しました。
「…」
婚約者がわんわん泣く声を聞きながらククールは、
それはいくら何でもあんまりだろ!!
と思いました。
それが、兄の名誉毀損に対する抗議なのか、また、奥様の名誉毀損に対する抗議なのか、はたまた、文化人類学者の人類定義に対する
カリスマ色男としての魂からの怒り
なのか…は分かりません。
ゼシカはひとしきり泣いた後、それでもキュートな顔を上げてククールを睨むようにすると、言いました。
「…でも、こうやって疑っていてもキリがないわ…」
ようやくゼシカも、不毛な八つ当たりに飽きてくれたようです。ククールはほっとしました。
「そーだよゼシカ。疑ったって仕方ねーから…」
だから、もう
兄貴を敵視したり、奥様とケンカしたり、スネたり、
マダンテ発動させたりするのはやめよう?
ククールはそう続けようとしましたが、ゼシカに機先を制されました。
「事実を確認しなきゃ。」
ゼシカは、意志の強い瞳でククールを見据えると、
ククールの肩をがしっ
と掴みました。
「…ゼシカ?」
「ククール…確認しなさい…」
「ゼシカ、めっちゃ目ェ怖いんスけど…一体ナニを…?」
ククールが恐る恐る問うと、ゼシカは答えました。
「あんたのデコ兄貴とお母さんの…
ナニ関係の有無をっ!!」
もちろん、ククールは必死で拒否りました。
なんせ相手はあの兄であり、あの奥様です。気軽に
「ぶっちゃけ、何回くらいヤったんですかー♪」
なーんて聞ける相手ではありません。ククールは涙ながらに婚約者にそれを訴えましたが、
疑惑の鬼と化した
ゼシカは、聞く耳持ちませんでした。
「そんなに言うなら、自分が聞けばいーじゃん!」
ククールはしまいにはそうとまで言いましたが、ゼシカに
「なによっ!あたしにお母さんに、
デコ団長とはいつどこでどうやってヤってるの?ちなみに一セット何回?
避妊はゴム?それとも外出し?てか、
ちゃんと生理来てる?
とでも、聞けって言うの?…あたし…あたし…
良家の子女だから
とてもそんなコト聞けないっ!!」
と
逆ギレされ、しぶしぶマルチェロに聞きに行くことになってしまいました。
「…オレだって、良家のご子息なのにぃ…」
とぼとぼ歩くククールの足取りは、とても重かったそうです。
2006/9/28
詳しくは一分三十七秒だった気がする…
ちなみに人類の交尾時間は、霊長類の中ではかなり長いほうです。(確か、ゴリラだと五秒らしい。)
しかし、DQ世界の「明るい家族計画」はいかにして行われてるのでしょうか?(以下、下ネタと嫌なネタなので要反転)
そりゃあ法王庁の公式見解は「生めよ増やせよ」に違いありませんが、お金のない庶民や、また金はあっても性道徳が糜爛している貴族なんぞは、それなりに色々と必要だと思うのですが。
基本はやっぱ、禁欲と外出し?でも、外出しは危険性が大きいし、そもそも確実性が低いし。かと言ってゴムはなさそうだし…羊の腸とかならオッケーか?(コンドームは元々は動物の腸を加工したものが最初です。)
または「魔法」(笑)
または、中世世界によくあるように避妊よりも堕胎がメインだったのかもしれません。つーか、ザキの呪文ってうまい事使えば、母体を損傷せずに胎児だけを…(ごにょごにょ)
ううむ…マル兄に是非、この世界のそういう事情について教えてもらいたいものです。(ククのが詳しいかもしれんけど、兄は無駄に博学な人だから、神学定義から実態まで幅広く「講義」してくれそうだ。)
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