隣同士貴女と その二




問題
今回のサブタイトルは、一体どのような意図をもって名づけられているか?出典及び、べにいもの命名意図を簡潔に答えよ。
最速正解者には、拙駄文のリクエスト権を与える。(辞退可)

期限:「隣同士貴女と」その三 掲載時まで。

兄貴と下ネタで盛り上がるのは一見無理そうですが、「神学的論議」の形にしたら、そうとうキッツイ事まで喋ってくれる筈です。ええ、ボキャブリーが豊富でないと、よく話が理解できないでしょうが。






マルチェロは、部屋でバリバリ仕事をしていました。


やだなー、シチュ最悪じゃーん。


ククールは何もせずにその場を去りたくてたまらなかったのですが、そんな事をしたら今度こそ、 ノーガート&0距離 でマダンテを叩き込まれて即死でしょう。



そしたら兄貴、オレにザオリク唱えてくれるかな…無理かな…


ククールは、自分の葬式の光景を思い浮かべ、 激しく鬱 になりました。



「…一体なんだ?用があるなら、さっさと済ませろ。私に用があるならさっさと話せ。どちらでもないなら、さっさと部屋を出ろ。目障りだ。」

兄のいつも通りの反応を聞き、ククールは言いました。

「…忙しそうだね、兄貴。」

「リーザスの塔の再建の仕事が入ったからな。」

「だったら、オレの話聞く暇なんか…ないよねっ?」



ククールは、兄に

「ない、失せろ」

と言われる事を期待しました。そうしたら、ゼシカに

「兄貴、忙しすぎて話すらしてくんなかった、あはははー」

と報告する事が出来るからです。




「…なんの用だ、話せ。」

ですが、兄は機嫌が良かったのか、はたまた気まぐれからか、体すらこちらに向けてくれてしまいました。




「…(涙)」

ククールは、涙を浮かべました。




「…なんだ?早く言え。」

気短な兄は、机をコツコツと叩いて急かします。



ククールは、必死で脳をフル回転させました。


ここは世間話からいくべきでしょうか?でも、兄は無駄話が大嫌いです。

自分の恋愛話…やっぱ、無駄話と同じ扱いでしょう。




ククールは、極限まで悩んだ末に、 もういい!!ゼシカの手を汚すくらいなら、兄貴の手にかかろうっ!! そもそも 地獄堕ち確定 の人だから、 弟殺しの罪の一つや二つ今更だろうし…

と、 悲壮極まる覚悟 を決めて叫びました。





「兄貴っ!!ぶっちゃけ、兄貴はアローザ奥様とヤったのっ!?」


そしてククールは、 反射的にスカラとマホカンタを重ね掛けしようとした 自己の防衛本能 を押しとどめ、 兄の攻撃を待ちました。






兄貴の攻撃で死ぬならどれが一番痛くないかな?メラゾーマは、オレ猫舌だから勘弁して欲しいし、かまいたちも、切り傷は神経チョクで来るからヤだなあ…おとなしくグランドクロスで女神様の元に召されるか、さもなきゃレイピアで一突きが…あ、でも今の兄貴の所持は地獄のサーベルだ、オレ、地獄に堕ちるほど悪いことはしてねーけど、でも、オレみてえな美形、生きてるだけで罪だしなあ…




とまあ彼は 殉教者のように崇高な意思 の元に死を待っていましたが、いっこうに剣や魔法が飛んでくる気配がありません。




おいおい兄貴ってば、もしかして一思いに殺すには飽き足らず、オレを弄り殺す気?…ちょー…勘弁してよ…オレ、どうせ死ぬなら綺麗な死体になりたいのに、兄貴の拷問くらったヤツって、どうとも悲惨な死体になるからなあ…






ククールはうっすらと目を開けて、兄の様子を確認しようとして、兄とバッチリ目が合いました。







「ククール…」

兄は、神に語りかけるかのような 荘厳かつ荘重かつ峻厳な声 で言いました。












「私は 童貞だ。」























「…え…」

ククールは、小さくそう呟く事しか出来ませんでした。









ククールは唖然としたまま、そっと、兄の表情を窺いました。














兄の顔には 一滴の羞恥 も浮かんではいません。



















ククールは、 思わず顔を真っ赤にして うつむきました。





















「だから何だ?」

激しく平然たる兄の声 に、ククールは返答する事すら出来ませんでした。
















「…何でもないです…お兄さま…」

そしてようやくそうとだけ返答すると、 逃げるように 部屋を出ました。
























そうして。

ククールはゼシカの部屋に入ると、即座に叫びました。



「兄貴と君のお母さんとの間には、絶対に何もないっ!!」



そして、反論しようとするゼシカの反論を 完全に威圧する勢い で、彼は女神さまに誓いました。





「オレは誓う!!女神にかけて誓いますっ!!もしオレの言っていることに偽りがあるなら、 オレの美ボーを台無しにしてくださいっ!!…たとえ 日が西から昇り、海の水が干からび、岩塩の採れる荒野が緑に覆われ、 暗黒神ラプソーンが慈善活動をし、闘技場のモリーのマフラーがなびかなくなり、 メタルキングが80ターン逃亡しない事があったとしてもっ!! 兄貴とアローザ奥様との間に何かある事なんて有得ませんっ!!」








ククールのその言葉に、ゼシカは完全に威圧され、そして最後に彼女は






「ご…ごめんなさい…」

と我知らず、謝ってしまったそうでした。




2006/9/29






中世キリスト教社会においては、処女と童貞は同じだけの価値があったそうです。だから「神聖なる処女」という言い方と同様に「神聖なる童貞」という言い方もあったようです。
DQ世界も中世社会的価値観を持っているわけだから、当然、聖職者たる兄は童貞たる事を誇りに思っているだろう…と思って、こんな事に。
でもなんつーか…その…タテマエと実態がズレると、こういう事になる訳で…
『童貞聖者』シリーズですら、兄貴に「神聖なる童貞」とか言わせるたびに、なんだか生暖かい笑みを浮かべてしまうべにいもは、近代的「女は貞潔でなくてはならないが、男は性的に精力的であるべきだ。」という価値観に毒されすぎですね。
いやでもね、兄って性衝動自体は強いと思いますよ。だから、いざ“禁欲”のカセが外れたら、モテる事もあいまって、スゴい事をしてくれそうです。ええ、極端から極端に走る人ですから。




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