コードネームはTORA TORA TORA その一




どこぞではあないな事になってますが、もちろん、この連作の基本は「つつしみ」と「恥じらい」ですから!

ちなみにアンジェロというのは、リーザス村で兄が使ってる偽名です。









もちろん、奥様は博識な方なので、 勝負下着とはなんたるものか についてはご存知でいらっしゃいます。



が、もちろん、貞淑な奥様ですからそんなもので 勝負をかけるっ!! 必要性は一度もなかったので、もちろん、お召しになった事はありませんでした。




幸い…奥様がお美しくいらっしゃったからか、旦那様が誠実な方でいらっしゃった、または、 家族にはとても言えない解消法があった からかは分りませんが、奥様と今は亡き旦那様との間には、倦怠期とかセックスレスとか言えるようなものは存在しなかったため、 奥様は マンネリ解消アイテムなどという下卑た代物 とは、まあったく縁のないままお過ごしであったのでした。






奥様は、生まれて初めて目にし、手に取った勝負下着を、つくづくとご覧になります。


「まあ…いくら寝室でとはいえ、このようなもの 淑女の身に付けるべきものではありません!」




ちなみに、奥様が丹精こめて育てた令嬢のゼシカは、 サヴェッラ大聖堂 の内部を アブないビスチェ いっちょでうろついた事がありました。(当人談「だって、 聖堂騎士たちは誰も注意しなかったわ」)


奥様がそんな事実を耳になさったら、 奥様の心臓はその場で砕け散ってしまわれた 事でしょう。そのくらい、奥様は謹厳な方なのです。







奥様は柳眉を顰められましたが、服飾商はここを勝負と喋ります。



「まあ奥様、 男女の秘め事に、モラルもタブーもありませんわっ!!」




奥様はそれだけで赤面してしまわれましたが、服飾商は止まりません。




「そもそも、 精力的な殿方というものは、こんな格好がお好きなものですもの。」



精力的な殿方…まあ確かにマルチェロは、 めっちゃ精力的な殿方 ではありましょう。




「奥様、ご想像下さいませ。あんな素敵な殿方との、 灼熱の夜をっ!!」

奥様は、ご自身の想像力の翼が、はるか彼方まで力強く羽ばたかれるのを感じました。



























まあマルチェロさま、わたくしは寡婦でございますよ。そんな、娘も大きい身で…


あ、マルチェロさま。そんな強引な。あ、だめ…だめですわ、そんな…わたくし…


いやっ、そんな…明るいままなんて…お願いです…明かりを消してくださいませ…


ああん、そんな、そんなところを…あ、あ、いやッ!!そんなところに、お触れにならないで…


はぁ…ん…マルチェロさ…ま…マルチェロさまぁ!!


あ…はぁ…ああ、ステキ…ステキですわマルチェロさま…


ああ…ン…そんな、まだお続けになりますの?…は…ああ、お強いお方…(ポッ)





























奥様は、奥様の想像力の翼が極限まで羽ばたいた所で、ふと正気におかえりになりました。






ボッ(燃え上がるような赤面)









ぱたっ
















「お、奥様?アローザ奥様っ!?…だ、誰か来て下さいッ!!奥様が、奥様がお倒れにっ!!」































奥様は卒倒してから、なんだかご自分の意識が、別世界の自分とリンクしていらっしゃいました。



そこでは、なんだかいつもより ちょっぴり鬼畜 な法王姿のマルチェロがいて、なんだかご自分はそんな彼と、 どろどろの愛欲生活 にふけっていたような、そんな奥様としては正気度ギリギリなインモラルな夢でした。


















「…マダム?」


そんな呼びかけにようやく正気づかれた奥様は、すぐ目と鼻の先にマルチェロの顔があるのを認められました。

そして


「きゃあああああああああああっ!!」



奥様の、 奥様としては有り得ないくらいに取り乱しまくった絶叫 に、マルチェロは驚愕して、彼にしては珍しくなす術もありません。


奥様の絶叫に、屋敷中の者が集まってきます。




「お、お母さん…?」

娘のゼシカもです。そして彼女は、珍しくビビりまくるマルチェロに向かって叫びます。


「お母さんになにしたのよっ!!!?」


「わ、私は何もしていない…」


傍にいたメイドも、口を挟みます。


「ええその通りですわ、ゼシカお嬢様。アンジェロさまは、奥様がなかなか目覚められないので心配なさって覗き込まれただけなのです。そしたら、奥様が突如叫ばれて…」


「ホントでしょうねっ?」

「嘘も本当も、なぜ私がマダムにその“何か”をせねばならんのだ。私の方が驚いたわっ!!」




口論を続けるマルチェロとゼシカを見て、ようやく今のが全て ただの悪夢 だと気付かれた奥様は、ゼシカを制止しました。




「もうおやめなさい、ゼシカ。」

「でもお母さん…」

「真に失礼いたしました、マル…アンジェロさま…ちょっと…夢見が悪かったようで…取り乱しましたわ、お恥ずかしい…」

「夢?夢の中で、 このデコになんかされたのねっ!?」

「…」
奥様は、さすが大魔術師リーザスの血をひいているだけあって鋭すぎる娘のツッコミはあえて聞き流しました。




「あ、ああ、左様か…その…リーザスの塔の再建計画で根をつめられ過ぎましたかな?」

「え、ええ…少々疲れていたようです…」


なんだかぎこちない二人の会話を心配したククールが、 場を少しだけ和ませよう と、口を挟みます。




「ほらもうー、兄貴ってば、 精力的過ぎっからさぁ…」


どきん。奥様の心臓がまたどきどきし始めました。




「自分のペースで動いたら、 奥様がもたねえっての…」


どきどき、奥様の心臓が400mダッシュの直後のように高速運動を始めました。




「ホント、兄貴ってば、 人の都合も昼も夜もナシでガンガンいき…」







「わたくしは疲れているので休みますッ!!もうみんな、出て行って下さいっ!!」







奥様からまとめて部屋から追い出された一堂は、しばらく、 奥様に一体、何が起こったのか? について、激しく議論しました。



ええもちろん、正解者なんて一人も出ませんでした。








でもね、結局後日、奥様はしっかりとドレスと勝負下着は購入なさったんだそうですよ♪




2006/10/15






慌てる兄貴が書いてみたかったのです。いくら鋼の心臓を持つ彼でも、自分の顔見ていきなり叫ばれたら、びっくりくらいするだろうさ。
しかし、ぴゅうぴゅあ兄貴の方が、パラレル世界での自分の“醜行”を夢に見たら、どういう反応を示すか気になります。
@「夢だ」と鼻で笑って即忘却。
A何も言わずに、しばらくとっても不快
B「節制とはなんだっ!」と、パラレルな自分に説教しに行く。

しかし、サヴェッラ大聖堂でゼシカを先頭にすると、自分でやっててなんですが
「注意しろよ、聖堂騎士」
と言いたくなります。ノーマル衣装も教会内として相応しくないのに、踊り子の服やら神秘のピスチェやら…兄貴なら目にした瞬間、 即座にビンタ食らわす 事間違いなしなんですが。




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