パルミド良いトコ一度はおいで その二




ハァ、どっこいしょーどっいしょー…と続いてしまいましたね
なんか微妙にアホモ風味 かもしれません。









「折角、こうやって兄弟水入らずで温泉に来たのだ… 背中の流し合いでもしないか?」


マルチェロのその言葉に、ククールは 今までの兄への不平不満が全て消え去りました。



「なんだ、嫌なのか?」

ククールが、 歓喜の余り絶句した のを見て、マルチェロが言ったのに、ククールは間髪いれずに、



「お兄さま、光栄ですっ!!」

と叫んで、兄と 背中の流しっこ をする事にしました。







わしゃわしゃわしゃ


マルチェロの広い背中をタオルで擦りながらククールは、 感涙に咽び ました。




初対面で いきなり拒絶 されて以来、苦節二十年弱…ククールはようやく兄と 本当の兄弟 になれた気がしました。


…普通の兄弟は、 背中の流しっこ なんてあんまりしないんじゃないか…なーんて発想は、ククールの中にはありません。





「…痛い…ククール、そこは古傷だ。あんまり強く擦るな。」

「あ、ゴメン兄貴。…でも、兄貴が背中に傷を負ってるなんて、珍しいな。」

「何を言うか。ゴルドでの戦闘で、貴様の仲間が 渾身の力で斧で殴りつけた 傷ではないか。」

「ああ、ヤンガスね。」

「まったく、背骨が砕けるかと思ったぞ。」

「ダイジョーブだってぇ♪兄貴ってば昔から、骨は丈夫だったじゃん。」

「ま、そうだな。」


はははははははは

楽しげな笑い声を上げ、ククールとマルチェロは笑いました。

そしてククールは笑いながら、

なんてフツーの兄弟っぽい、埒も無い会話なんだろう♪

と、喜びを噛み締めていました。



ええ、 普通の兄弟は、そもそも殺しあったりしない とか、 どんなに丈夫な骨の持ち主でも、斧で力いっぱい殴られたら、普通は砕ける、つーか普通は命が無い とかいうような発想は、もちろん、ククールの中にはありません。


なんせ彼は念願の、 お兄ちゃんに背中をゴシゴシしてもらう という喜悦の体験をして、至福状態でしたから。







まだ時刻が早い為かほとんど貸切状態の風呂で、洗髪をする兄を眺めながら、ククールは思いました。


「やっぱオレの兄貴って、 脱いでもスゲえ人 だなあ。」



まあ、あの露出度の低い聖堂騎士団長の服を着ていても分かりきっていたことでしたが、脱いだマルチェロは やっぱり、超絶ナイスバディー でした。



ええ、同じく 脱いでもスゲえ美青年 なククールは、心の底から、 オレの裸は金を取れる!! と思っていましたが、そんな彼の目から見ても、 兄の裸体は見物料を取れる 代物でした。




ふう…勿体無い…

ククールはため息をつきました。

「こんなナイスボディーを持ちながら、 三十でも童貞なんて、勿体無いお化けが出ちまうよ…」


兄の事ですから、 よしんば勿体無いお化けが出たとしても、 ニフラム一発で撃退する でしょうが、それでもククールは、 最愛の兄の一日でも早い脱童貞 の為に、 明るい家族計画 を推し進めねば…と、強く心に誓ったのでした。




んー…でも、兄貴は健康で頑健な成人男子だし、いっそ 明るいハレム計画 でもいいかもしんないな…

ほら、奥様はあーゆー人だから、 レイディの誇りとして、お妾の五人や六人に嫉妬するようなハシタナイ真似はしない と思うし、兄貴は あのデカさであの気性だから、ぜってぇ絶倫 だと思うし…ほら、アレだよ。そりゃ、お妾ってのはあんまり良くないかもしんねーけど、兄貴の性格が歪んだのは、「メイドの子」だからっていびられたからであって、 ちゃんと愛してあげれば、生まれた子どもも素直で良い子に育つ 筈だしさ。うーん…でも、あんまりポコポコ出来ると、子育ての手が回んないかも…ま、オレはあんま子ども好きじゃないけど、兄貴の子どもだったら、きっと 兄貴に似てキュートな子だから、オレだって可愛がるし、何よりゼシカは子ども好きだから、四人で育てりゃ、ガキの十人や二十人…




ククールが、兄の意図を完全に無視して、幸せな妄想にふけっている間に、マルチェロはさっさと温泉に浸かっていました。



「ああ、いい湯だ…身も心も生き返るようだ…」

彼にしては平凡極まる感想を口にしながら、マルチェロが温泉を楽しんでいると…




どやどやと、やたらと男の汗のにおいがする 一団が入ってきました。



「臭っ…」

自称・薔薇の香りの美青年 のククールは、耐え切れずに鼻を押さえました。



思わずバッチリ目に入ってしまった男たちのタオルの上からでもはっきりと分る股間のモッコリ にげんなりしたククールは、そのタオルに赤々と印字された、



パルミドで健康を追求する漢の会



という一文に、ますますげんなりさせられたのでした。


2006/11/21




珍しく仲良しな兄弟…やっぱなんかズレてますが。
兄貴は超絶ナイスバディーで絶倫の童貞だといいです。無駄が嫌いな人の癖に、 勿体無さの極致 ってカンジがいい(笑)
この回みたいな事をアホモでやったら、それはそれは大変な騒ぎになるんだろうな…アホモの兄貴は、 たとえ死すともそんなコトはしてくれない に決まってますが。
ところで、兄貴の全裸を見物するためになら、幾ら出せますか?




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