売らない☆占い その一へ




限りなく久方ぶりの更新。
忘れていたわけでは有りません…でも、待っていて下さった方々、ありがとう









「命が惜しくば、知っていることをあらいざらい吐け。」

マルチェロは、闇商人の店にはいるなりいきなり、 抜く手も見せずに地獄のサーベルを抜いて、闇商人の喉元に突きつけ ました。




「あの…兄貴…?」

ククールが止める暇もあらばこそ、ってヤツです。



「…ねえ兄貴、 まだ誰が怪しいかすら分かんない…んだけど…」




ククールたちがこの店にやって来たのは、


「盗品の馬姫さますら売り買いしたんだから、この闇商人なら人身売買の手がかりくらい知ってるかな?」

くらいの軽い気持ちででした。


ハッキリゆって、なんのアテもないに等しい 調査の最初の段階なのに、 マルチェロの瞳はマジそのもの でした。




「大人しく吐けば良し、さもなくば…」

マルチェロはそこで言葉を切り、 殺気満々 で続けます。



「このパルミドでは、 闇商人の一人や二人、消えても誰も怪しむものすらない 事を、忘れるなよ?」



「…ククール、あんたの兄貴は、 ただの観光客でガスよね?」

「ああ、うんそう…だと…思いたい…」

けれど、自信のないククールです。




闇商人の顔は蒼白です…マスクをかぶっているからしかとは分かりませんが、マスクの中は間違いなく蒼白に違いありません。

それくらい、 マルチェロのまとった殺気には迫力がありました。





(オレたち…よくこの人に勝てたよな)

ククールは思います。




「でもよ、闇商人はアッシも昔からの馴染みだ。いくらなんでも人まで売買するようなヤツじゃねえ。」

「ああ、うん、そうだよな。 特やくそうを高値で買い取ってくれる人が悪い人のはずはないよな?」

ククールたちは、確かに馬姫さま誘拐事件でこの闇商人に煮え湯を呑まされましたが、それはそれとして彼には儲けさせてもらいました。なので、何の証拠もないのに、マルチェロに殺気満々でサーベルを突きつけられている闇商人が気の毒でなりません。



「兄貴、とりあえずその剣を下ろし…」

よって、ククールが スカラをかけてから 間に入ろうとすると




「許してくれ!! ほんの出来心だった んだ!!」

闇商人が悲鳴をあげました。





「…はへ?」×2




ククールとヤンガスが、マヌケな顔で向き合う中、闇商人は 涙ながらに全てを告白 しはじめました。






なんでも、ククール一行との取引で得た珍奇な品物の仲介で小金を得た闇商人は、 プレ暗黒神景気(なんでも、暗黒神崩壊後にこの大陸に訪れた景気はこう名付けられているそうです) に乗って、更に大きく儲けようとして…お約束のように大失敗し、借金のカタに人身売買の片棒を担がされていた…そうです。



「信じてくれ…確かにおれはその手伝いはさせられたが、決して!!チョクで売買に関わっちゃいねえんだッ!!だから…だから、命ばかりはッ!!」

「フン…そんな事だろうと思った。」

さも当然のように言い放つ兄に、ククールはおずおずと尋ねます。



「あの…お兄さま、どうして彼が共犯者だと分かったのでしょうか?」

マルチェロは、さも当然のように言いました。




「なに、造作もない。 とりあえず脅しを掛けてみた だけのことだ。知っていれば吐くだろうし、知らねば何にも言えんだけの話だ。」

「…お兄さま、 強要された自白は証拠にはならない って規定、ご存知っスか?」

「愚かしい… 自白を元に物的証拠が見付かったなら、それは真実だった ということだろう?」




ククールは、 そういやこの人は、疑わしきは厳罰に処す人だった と、改めて思いなおしました。






「そんな…お前がそんな奴だったなんて…見損なったぜ…」

闇商人と元から知り合いのヤンガスが、心底悲しそうに呟く中、闇商人は、 自筆の自白書 を作成されられた挙句、 血判まで押させられ ていました…もちろん、誰に強制されてかは言うまでもありません。







「ここにいるこいつが真の黒幕の居場所だ…」

マスクの上からでも分かる涙を流しながら、闇商人はややこやしいパルミドの地図に、バッテン印をつけました。

「うむ…これが真実であったなら、 情状酌量くらいはしてやってもいい」

「お願いですダンナ、何でも吐きますし、臭い飯を食ってもいいんで、 どうか命ばかりはッ!!」




「ねー兄貴…」

「なんだやかましい。」

「兄貴って、 一介の観光客だよねー?」

「当たり前だろう。貴様、私がここの住人だとでも言いたいのか?」



なら、なんでそんなに 絶対君主みたいに振舞う んだよ?

いいかけてククールはやめました。


だって兄は元々絶対独裁体制を敷いていた人だったからです。






ともかく、自白されたからにはその場所に行くしかありません。

一行はややこやしいパルミドの街を歩き、そしてたどり着いたのは…









「いらっしゃいませー、占いの館へよーこそーぉ♪」

あの、 占いにすらならない新米占い師の館(つーかテント)でした。






もしかして、あの闇商人にからかわれた?

ククールがそんな呑気な感想を抱いたその瞬間、



「下手な芝居はよすのだな、女ッ!!」

マルチェロは、 やっぱり殺気満々 で、地獄のサーベルを抜き放ちました。


2007/3/7




このシリーズって、書いてる奴すらオチも展開も読めないスゴいシリーズかもしれない。
つーか、兄貴の行動がさっぱり読めない…




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