家無き子等 その一

土曜も日曜も休みのない、哀れなべにいもに愛の手を…ってマルチェロに言っても鼻で笑われるんだろうな、と思って耐えています、はい。









「悪徳の街パルミドで健康を追求する漢の会!!??」×2

元は敵同士だったとは思えないほど、気持ちよく唱和したヤンガスとマルチェロは、互いに顔を見合わせました。




「お前も彼等を知っているのか?」

「そりゃそうでガスよ。アッシはパルミド生まれのパルミド育ち、チャキチャキのパルミドっ子でガス。そして、チャキチャキのパルミドっ子にとっては、 悪徳の街パルミドで健康を追求する漢の会 は、なんつーか…そうでゲスなあ、一種の、 男の子の憧れ 的存在でゲス。」

ヤンガスの答えに、


「ふむ、成る程な。 私も子どもであったら憧れたであろう存在 なのは確かだからな。」

マルチェロはそう回答しました。




「……」

本来ならツッコミ役であるべき赤くて銀色の生物は、Dyingなため、誰もこの会話にツッコミを入れません。





悪徳の街パルミドで健康を追求する漢の会 のナイスガイは、 真っ白く健康的な歯健康と爽やかさの権化の如くキラリと光らせ …たような気がします、なにせ、マスクをかぶってるため、本当のところはよく分かりませんが…そして言いました。





「兄さん、そしてヤンちゃん、危ない目に会わせてすまなかったな。まさか爆薬まで仕掛けてあるとは…小娘と思って甘く見てたぜ。」

そう言う漢の手には、巧妙に切断された導火線がありました。



「まさか、あんた等が助けてくれたんでガスか?」

悪徳の街パルミドで健康を追求する漢の会 のナイスガイは、 アメコミヒーロー のように

「HAHAHAHA!!」

と笑うと、


「大したことはしていない。ただ、導火線を切っただけさ、ミスター!!」

と、 ミントの香りがしそうなほど爽やかに 言い放ちました。





「いやあ、あんたらのおかげでマジに助かったで…」

ヤンガスが素直にお礼を言いかけると、


「…なぜ、ここまで都合よく現れられたのだ?」

マルチェロが、猜疑の念のこもった緑の瞳を向けました。




確かに不思議です。

アメコミのヒーローなら、確かに時限爆弾がまさに爆発しようとする、その瞬間に登場できるでしょうが、現実世界はそうそう都合よくは運ばないものです。

いくら健康に留意していたら、肉体だけでなく精神も磨かれるとは言っても、いくらなんでもカンが良すぎです。




つまり



「…私を利用したのか?」

マルチェロの緑の瞳が、険を含みました。





「…ええっ!?」

驚くヤンガスに、マルチェロは滔々と語ります。



「今思えば、風呂場で会っただけの私(と赤い生物)に、寝床を世話してくれたこと自体を疑うべきであった。しかも、その寝床は、悪徳の街パルミドでも更に悪名高いハッテン場。更にそこに踏み込んできたのがお前だ、ヤンガス。 どう考えても仕組まれたとしか思えんだろうが?」

どう考えても、偶然と偶然が重なったような出来事にしか凡人には思えませんが、



「おおっ!!さすがガクのある人は考え方が違うでガス!!」

脳みそに表面積を増加させるためのシワが激しく少ないヤンガスは、素直に説得されました。




「………」

そして、まだまだツッコミ役の赤くて銀色の生物はDyingです。




ヤンガスは、手にした覇王の斧を手放さず、 悪徳の街パルミドで健康を追求する漢の会 のメンバーに向き直りました。



「もしや…てめぇらもグルなんじゃねぇだろな…」

いくら 金木犀の芳香剤ただよう水洗便所のように 爽やかで清い心を持つ彼とは言え、 ほんの一時間に二度も古馴染みに裏切られ た日には、疑い深くもなろうというものです。




「…」

悪徳の街パルミドで健康を追求する漢の会 の面々は、凶悪なマスクをかぶった顔を見合わせると、観念したかのように口を開きました。


2007/4/23




ヤンガスとマルチェロって、意外と似てると思う。装備品とか、鎌スキル所持(そう)なトコとか。




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