可愛いベイベエ HIHI! そのニ

しかし、ゲームの兄貴に権力への妄念は感じられても、子孫作成行為への執念はあんまり感じられないのはなんでなんだろう…
あんなにエロいのに









「マダム・アローザのことを…か?」

「そーそー兄貴っ♪アローザ奥様とは、ドコまでイッたの!?A?B?C? ああ、いっそDっ!?」




KYの赤い生物は、ベホマで火傷を癒し、ピオリムでゼシカと兄のメラゾーマを掻い潜ると、 最悪のタイミングで最悪の台詞をブチかまし ました。




ピシッ

ヤンガスは、かつて旅を共にし、命を預けあったとはいえ、 その全てを台無しにして憚らない銀色の生物 の所業に、 いっそ自分が消え去りたくなり ました。








ああ、 世界はいつから“恥”というものを失ってしまったのでしょうかっ!!!






ぼうっ!!!

当然のように、ゼシカのメラゾーマが炸裂しますが、 脳みその中身まで己が髪の毛のようにピカピカっ!! なククールとはいえ、何十回も燃やされてさすがに学習能力を会得したのか、 マジックバリア発動済み でしたので、大した足止めにはなりませんでした。











赤い生物は、 己が婚約者が、怒りでその顔をその制服と同じくらいの色に染めている とは気付かず、 兄の肩を馴れ馴れしく抱く と、続けました。







「ほらー、兄貴。 恋愛のカリスマなオレ が、アドバイスしてやっけどさ。アローザ奥様みてーなオクテのタイプは、真っ当に行き過ぎるとダメだってば。いつまでたっても進展しねーっての。あーゆータイプは、 実はマゾ&レイプ願望高い から、こう… 兄貴みてーなエロカリスマ に、 思う存分無茶苦茶にされちまうと、それはもう濡れ濡れ になっちまうんだから、さっ兄貴っ!!!ここは一つ 青いケダモノ になって、 イッパツガツンっ!!!! と…ああ、勿論、兄貴!!!ダルビッシュ効果を狙うためにも、 コンドームには針で穴を開ける事を忘れずにっ!!!!!!!」














ヤンガスは見ました。


マルチェロの緑の瞳が、あの時のゴルドでククールを目にしたときよりもなお、 深い深い、怒りと憎悪に燃え上がった のを。






























「正直を言って…よく分からん…」

マルチェロは、かつての彼からは想像出来ないほど素直に、そして 少し困惑した面持ちで 返答しました。




「マダム・アローザは、賢明であり、品格があり、そして人間的にも高潔な、私が今まで出会った中で最も尊敬に値する淑女であるとは思っている。だが…ゼシカ嬢やヤンガスが期待するような、 恋愛感情 に結びつくかと言うと…私はそんな感情を抱いたことはないのでな、自分でも判断のしようがない。」



「あたしは別に期待なんかしてないからねっ!!!」

ゼシカは、ちょっと怒った顔になりましたが、すぐに続けました。




「でもね…もし、お母さんがあんたの事好きだったら、話は別よ。そりゃもちろん、あたしはあんたの事、

『お父さん』

なんて、絶対に呼ぶ気ないけど…けど…」


さすがに言いよどむゼシカの言葉を、ヤンガスが受けました。





「アローザ奥さんは、保守派バリバリのお方みたいでガス。だから、ゼシカが兄さんの敵討ちに出ようとしたときも、伝統と家訓を盾にして、強く反対したんでガスよ。けど、そんなゼシカの肩を押したのは、兄さんの

『自分の信じる道を進め』

という言葉でヤシた。そう、 人の信じる道は、家訓や伝統やモラルで押しとどめられるモンでも、押しとどめて良いモンでもねえ んでガスよ。」

「…」

「だから、ゼシカも思ったんでガス。自分もそうしたなら、自分の母親がそうしようとしても、止めるべきではねえって…な。」




ヤンガスは、


「そうだろ?」

と言いたげに、ゼシカを振り向きました。




「…」

ゼシカは、ちょっと怒り気味に頬を膨らませましたが、しかし、何も反論しませんでした。



ただ、こう、付け加えました。




「好きな人には、好きになってほしいじゃない?それが幸せだと思うじゃない?…あたし、お母さんにはやっぱり、幸せでいて欲しいもの…」




「…」

沈黙してゼシカの顔を見守るマルチェロの肩を、ヤンガスが黙って一つ、叩きました。


2007/10/6




とうに懸命な読者諸姉はご存知だと思われますが、このシリーズはどこぞの魔王聖下シリーズと結構リンクしております。だから、このシリーズとそのシリーズを続けて読むと、二度楽しい…ハズ!!!




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