可愛いベイベエ HIHI! その三

暑さも和らいだし、そろそろ子作りの季節ですね。
とりあえず、子作りの神"ヤマダタカオ"に祈りを捧げてから、日本の出生率低下に対して、闘争を開始しましょうっ!!!









「マルチェロ…」

ヤンガスはそう呼びかけると、続けました。




「ホレた女を幸せにしてやんのも、漢のツトメってモンだぜ!!」

「ヤンガス…カッコいいっ♪」


ヤンガスの言葉は、共に旅をしたゼシカが 今まで見た事がないくらいの漢っぷり でした。




マルチェロはしばし思案顔になりましたが、ヤンガスに向き合うと口を開きます。




「お前はそう言うがな、ヤンガス。 そういうお前はどうなのだ?」

「…いや…」


イタい所をツかれたのか、ヤンガスは口ごもりました。




「そーよヤンガス、あんたこそ、 ゲルダさんとはどうなってる のよっ!?」

さすがゼシカも女の子です。

この手の話題への興味は津々のようです。




「いや、そのあいつとは…別に恋人どうしとか、そーゆー色っぺえ仲じゃあねえし…」

「ウソっ!!どう考えても、ラブラブじゃないっ!?」

さすが女の子だけあって、そのテのネタの追求には情け容赦がありません。




「いや…そりゃあよ、ちょっとゲルダのアジトに入り浸ってて…」

「やっぱり男女の仲なのねっ!?」

「いや…男女の仲なんて、そう艶っぽい仲じゃねえけど…その、一つ屋根の下にオトコとオンナがいたら、まあそういうコトも起きるわけで…」

「同棲してたんだっ!!!」

「いや…でも、よそ目から見たらそう見えるかもな…ゲルダの部下どもも、俺のこと

『兄さん』

って呼び始めるしよ…ゲルダとはそんな仲じゃあねえっての…でも、そんなこんなしてたら…」



「子供が出来たというわけだな。」

「なんで分かるんだよっ!!!!」

思わずマルチェロの胸倉を掴むヤンガスですが、マルチェロは動じもせず、理論整然と続けます。





「おかしいと思ったのだ。大概の男というものは、自分が結婚だの、配偶者の出産だのを経験すると、 やたらと人にもそれを勧めたがる ものだからな。先ほどからのお前の話運びを見る限り、そうではないかと思ったのだ。やはり、私の推測は当たっていたな。」




さすが 自分の事はさっぱりでも、人のことには神眼を発揮する男マルチェロ です。

ヤンガスは、ようやく観念したのか、事実を認めました。




「で、式はいつするの!?」

ゼシカが 乙女モード全開で目をキラキラさせながら 言います。




「そんな式なんて…俺が花婿なんて似合わねえコトしねえよ!!…だいたいゲルダの奴、可愛くもねえ、子供が出来たって俺に言っておきながら、

『子供産むなんてめんどくさいけど、デキちまったから仕方なく産むんだ』

だの

『子供が出来たからって、亭主ヅラされたり、父親ヅラされたりするのは御免だね』

だの

『結婚式!?ハン!!アタシが純白の花嫁衣裳着て喜ぶとでも思ってンのかい!?』

だの…」


「単にテレてるだけ よ。だってゲルダさんってば、 超ツンデレ だものっ!!!!」

ゼシカは、 マルチェロよりも自信満々に断言 しました。




「生憎、ゲルダという女は知らんが…女というものは、なぜか花嫁衣裳に憧れを抱くものらしいからな。式くらい挙げたらどうだ?そのくらいの蓄えはあるのだろう?」

「そーよっ!!ずぅえったいっ!!挙げるべきだわ!!大丈夫、今じゃ デキちゃった婚なんて珍しくもない コトだし。ゲルダさんも内心は、花嫁衣裳は着たいし、その隣にはあんたが花婿衣装着て並んで欲しいに決まってるわっ!! あたしの言うことに間違いはないっ!!!!!」

ゼシカの 力強すぎる断言に気おされ て、ヤンガスは、ゲルダと式を挙げることを約束させられてしまいました。






「結婚式には何を着ていこうかしら…あ、こないだポルトリンクで見た、ライトスカイブルーのドレス、あれにしようかな。うふふ、それにお気に入りの靴を合わせてぇ…あ、バッグも買わないと♪」

嬉々として、結婚式の準備を構想するゼシカに珍しく気おされたマルチェロは、同じく気おされたヤンガスと、ひっそりと話をしました。






「ま…なんだ…父親になるからには、責任は重いぞ。」

「そんなコトは分かってるでガスよ。アッシは元山賊で、まともに親の顔も知らねえ男でヤスが、作っちまったからには、子供は幸せにしてやりてえでガスからね。」

「子供だけではなく、そのゲルダとかいう女も、ではないのか?」


マルチェロの言葉に、ヤンガスはうなずきました。



「ま、ゲルダは

『幸せにしてね』

ってえ殊勝な台詞言う女じゃねえでガスが、アッシなりに 一緒に幸せになろう てえ気持ちはあるでガス。なにせ、ガキの自分からの馴染みで…そりゃ、欠点だらけの女だが…多分… 惚れてるから よ…」



ヤンガスは再び、 びっくりするくらい漢 な表情になると、マルチェロに言いました。






「マルチェロ…ゼシカのお袋さんは、そりゃあ、ちょいと年上だろうが、 賢明であり、品格があり、そして人間的にも高潔な、私が今まで出会った中で最も尊敬に値する淑女 なんだろ?だったらいいじゃねえか…幸せにしてやんなよ。 惚れてんなら よ。」


「いや、惚れてるかどうかも分からんのだが。」

「それが惚れてるってコトなんだよっ!!!」

かなり乱暴な発言でしたが、マルチェロはなにか思い当たるフシがあるのか、はたまた 彼でも場の桃色空気に呑まれた のか、うっかり頷かされてしまいました。









「しかし…婦人とは付き合ったことがないので、一体なにをしたらいいのか、皆目検討がつかんのだが…」

「一緒の時間を持つっ!!一緒に笑いあうっ!!!それが一番だっ!!」

「はあ…」

マルチェロらしからぬ返答に、ヤンガスの 無闇やたらと力強い肩叩き が加わりました。



























ちなみに、どこかでなにかが焦げ果てているというのは、もう今更言うまでもないですよね?


2007/10/7




というわけで、タイトルの「ベイべエ」は、マルチェロとかではなくて、ヤンガスの方の話だったのです。
べにいもはヤン主も推奨していますが、ヤンゲルも推奨しています。多分、ヤンガスの心の中では 「理想はエイタスのアニキでガスが、実際に惚れたのかゲルダだった」 って、そんなカンジではないかと…いや、エイタスにはミーティアがいるから。

ってか、そもそもこのシリーズは、ノット801だから。




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