憧れの… その二

なんか、ゼシカの公式年齢設定が 14 という個人的にはあり得ないデータを入手してしまって、イヤな気分のべにいもです。
だったら、奥様なんて30代の可能性があるじゃないですか!?(マルチェロと大して変わらん)

信じないことにしときます。この二人は、年齢差があるから 萌え なのですから。









「メラゾーマ。」

普通に、なんのモーションもなく大火球が飛んで来ました。




「どどどどどうわぁっ!!」

美形らしからぬ叫び声をあげて、ククールはとっさにぼうぎょします…手で。




「な、なんでいきなりメラゾーマなんだよ、兄貴っ!?オレ、なんにもしてないじゃんっ!?」




確かに、少なくとも今の時点では、ククールは何も悪いことはしても言いもしていません。





「ああ…確かにそうだな。」

マルチェロは、 相手が常人ならば、骨も残さず焼き焦がれていたはずの魔法 を、 仮にも血のつながった弟に叩き込んでおいて あっさりとそう言いました。



「いや、すまんどうも最近、 お前が口を開いたら、メラゾーマを叩き込まねばならん気がしてな。 いや、すまんすまん。」




世にも恐ろしい「気」 ですが、ククールは、




兄貴ってばとうとう、オレに「ごめんなさい」って言ってくれるようになったんだ。

と、 大感激 していたので、あまりに気にしてはいないようでした。









「で、何の用だ?」

仮にも血のつながった弟に叩き込んでおいて 実は、実の弟の言葉自体は、 まったく聞いていない実にマルチェロらしい台詞 ですが、ククールは慣れているのでいちいちツッコミはいれません。





「ほら、兄貴ってばたまにはオシャレとかしたいよな?」

「いや、全く。」

また、 実にマルチェロらしい返答 が返されますが、ククールは慣れているのでいちいち怒りません。




「だってさ兄貴、毎日毎日おんなじ服着てるのってどうよ?」

「同じ服?誤解を招く言い方をするな。毎日、きちんと洗濯はしている。だいたい、貴様とて毎日、もはや聖堂騎士でもないのに、その 知性というものがまるで感じられない深紅の制服を着ている だろうが。」

「オレはいいんだよ、だって、 オレにはこの服が一番似合うんだからさ。」




ククールとて、聖堂騎士を辞めた時に、 服装&イメージチェンジ を計ろうとはしたのです。


かくして、色んな服をためしてみたのですが、 超絶美形&超ナイスバディー のククールは、 何を着ても似合いすぎてしまって イマイチ「これだ」という服が見つかりませんでした。



結局、 面倒になった ので、今でも聖堂騎士の制服を着ているわけです。



ですから、先ほどのククールのセリフは、一部、語弊があります。






ククールは続けます。

「そりゃ兄貴はずっと聖堂騎士だったから、私服着る習慣がないだろうけどさ。 世間一般の人はたまにはオシャレする余裕 ってのを持ってるモンだよ?」

「理解できんな。」


まったくもって馬耳東風です。




さて、このままでは兄に 童貞ならばぴったりフィットのプリンス・スーツ を着てもらうことができません。




せっかく、せっかく奥さまが花嫁衣裳を着ている大チャンスだってのに。






と、そこに。

女神さまのご加護でしょうか、孤児院の女の子がおめかしして入って来ました。



「アンジェロさん、ククールお兄ちゃん、見てみてー、花嫁さまみたいでしょー。」

どうやら、ほかの子たちとお嫁さんごっこをしていたらしく、レースで飾り立てています。



くるりん

女の子は嬉しそうに一回転しましたが、そこでつまらなさそうに言いました。


「でもね、男の子たちに花婿さんになってもらおうとしたら、誰もなってくんなかったの。恥ずかしいからいやなんだって。」




ぴっかーん

ククールの脳裏に、激しく電球が閃きました。




「なあリトルレイディ、今、なあんとちょうど良いコトに、花婿さんの衣装があるんだよ?それでねえ、なあんと、アンジェロさんが、 花婿さんの衣装を着てくれるんだってさっ!!!」

「…」

マルチェロは何かいいかけましたが、女の子の 純真で期待に満ちたキラキラした瞳 が、 しっぷう突きのように マルチェロに先制攻撃を入れました。





「…分かった。」

かくしてマルチェロは、 童貞ならばぴったりフィットの、カッコよさ100のプリンス・スーツ を持って、別室へと消えていきましたとさ。





2008/4/29




とりあえず、子どもをダシに使うのは便利だと思います。




憧れの… その三へ


アローザと元法王さま 一覧へ

inserted by FC2 system