More Than その一
気付けば前回から2か月近く経っていますね。
気になる所で終わっていて、しかもしばらく休載なんて、ト○シヨシヒロ級の大物になった気分です。
でも、残念ながら、場面転換です。
三種三様の魅力的な女性たち
が、リーザス像の塔へと続く街道を歩いています。
もちろん、リーザス像を見にきたミーティア姫及び、それを案内するゼシカ、そして、アローザ奥様であることは言うまでもありませんね。
「マダム?ちょっと休憩いたしましょうか?」
ミーティア姫が声をかけます。
確かに、奥様のお顔はいつものままですが、かなり足もとがふらついていらっしゃいます。
「いえ、姫君が平気でいらっしゃいますのに、そんな…とんでもございません。」
そう、奥様はなにせ
レイディ
です。レイディとは、自分の足で歩いたりなどはしないものなのです。
遠出をするなら馬車に乗っているか、はたまた、
ステキな騎士さま
に連れ添われて、馬にでもお乗りになっているはずなのです。
ミーティア姫は、心から申し訳なさそうに言いました。
「ごめんなさいね、わたくしが歩いて行きたいなんて言ったから…」
「いえ、滅相も。ですが姫君、
やんごとなきお方の上に、妊娠していらっしゃるというのに、大層な健脚ですね」
奥様のお言葉に、ミーティア姫とゼシカは、思わず顔を見合せて微笑みました。
なにせミーティア姫は、馬に姿を変えられてとはいえ
全世界を踏破したツワモノ
です。こんななだらかな街道など
道の数にも入りません。
もちろん、そんなこととは露もご存じない奥さまは、しきりに感心なさいました。
「やはり、お若い方は違いますね。
わたくしも、もっと若ければ…」
「あら、マダムはまだまだお若いですわ。」
「滅相もございません。姫君の
光り輝くような若いお美しさ
に比べたら、わたくしなんて…」
珍しく
ひどく自嘲的な
奥様です。
これは一つには、ミーティア姫が、奥様のある意味理想の
素晴らしい姫君
であったからでもあります。
もちろん、ゼシカだって十分魅力的なのですが、奥様にとっては一つには実の娘でありましたし、もう一つは気が強すぎるということがありました。
けれど、ミーティア姫は(少なくともパッと見では)そんなことはなかったので、奥さまは
なんだか劣等感を刺激
されてしまわれたようでした。
なにより、それはミーティア姫が、エイタスという
とてもステキな伴侶
があることが、最大の理由なのでしょうが。
「本当にミーティア姫は素晴らしい方です。わたくしも
もっと美しくて
もっとたおやかで
もっと聡明で
もっと可愛らしくて
もっと気品があって…」
「うふふ…」
唐突にミーティア姫は笑い出しました。
「まあ姫君、わたくし、何かおかしいことを申しましたか?」
驚き顔の奥様に、ミーティア姫は言いました。
「マダムはワガママさんですわね。」
その言葉に、さすがにマダムはムッとされたようでした。
「まあ姫君、我儘など、レイディの申すことではありません。わたくしのどこが我儘だとおっしゃるのです?」
その問いにミーティア姫は、かつて糸瓜売りとかいう異次元の生物にも称された
天使のような美声
で、歌うように答えました。
「More Than More Than More Than もっと もっと もっと
ソレって、とっても
ワガママ
ですわ。」
「…」
「マダムは、ゼシカに聞いていたとおり、今のままでも
とってもすばらしいレイディ
で
とっても魅力的な方
なのに…」
そして、マダムの瞳を覗き込みました。
奥様は、その大きな緑の瞳
に、
とある人物
を重ね合わせてしまい、お胸がドキドキなさってしまいました。
「ねえ、マダム。女だけの秘密にしますわ。ね、だからわたくしに教えて下さいな。
マダムがそんなに
『もっと』
な風になってまで、射止めたい方のお名前を、ねっ!?」
ミーティア、強すぎっ!!!
そばで聞いていたゼシカは、
たおやかだとかなんだかんだ言って、ものすごく押しの強い
ミーティアの
破壊力抜群スマイル
をはらはらしながら見守っていました。
2008/12/3
通常EDを見る限りでは、そして彼女の「そんな、ひどい」無限ループ攻撃を見る限りでは、ミーティア姫はまさに
「可愛いフリしてあの娘もやるもんだねと」
キャラだと思います。
エイタスもなかなか大変だ…
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