=(いこーる) その二

ゲームをしていると更新が出来ません。
更新をしていると、ゲームが出来ません。

ま、どの二次創作さまでも同じ悩みを抱えているはずなんですけどね。









エイタスは続けます。




「僕はそんなクラビウス王を見ていました。いや、ホント、僕の叔父のはずなのに まったく似てないな って。確かにチャゴスとも似てないし、別に血縁関係にあるからみんなそっくりという訳じゃないんですけど。」

「当たり前だ。 私とククールと一体どこが似ているというのだ?」

「いや、なかなかよく似てますけど?」

マルチェロは 心底不本意そうな顔 をしましたが、エイタスはそ知らぬ顔で続けました。




「だから僕は言ってみたんです。

『僕は父とそっくりみたいですけど、貴方は父と似ていたんですか?』

って。クラビウス王は答えました。

『まるで似てなどおらんかったよ。』

と。なんだかそれが突き放したような言い方に聞こえたので、僕は更に聞いてみたんです。

『貴方は父のことをどう思っていたんですか?』

と。」


「微妙な問いだな。もっとも私ならククールのことをどう思うかと問われたら…」

「分かりきった回答はもういいいです。 クラビウス王は微笑みました。

『うらやましかったよ、いろいろとな。儂にはないものばかり持っていた。儂は国王とはああであるべきだと思っていた…君のように、人を惹きつける問答無用の魅力を持っているべきだとな。だがな…この歳になって、兄の結末を知って、儂は思うのだよ。』

クラビウス王は、こう続けました。

『兄上も、儂のことをそう見ていたのかもしれん、とな。』

と、そしてため息をつきました。」


「…」

マルチェロは眉を顰めます。


「マルチェロさんは、クラビウス王の国王としての能力をどう見ますか?」

「…国王とは治安の維持が第一の責務だが、あの国の犯罪率はおそろしく低いからな。それに国も富んでいる。バザーに代表されるように各国との物産の交流も進めている。総合して、実務能力は高かろう。」

「マルチェロさんでも、国王を褒めるんですね。」

「事実は事実だ。」

マルチェロは言いますが、


「ま、それも平和が続いたからだ。なにせ平和ボケしたような国ばかりだからな。一旦、戦争でも起これば、軍事能力は分からんぞ?」

でも、やっぱり とりあえず何かはけなさずにはおれないマルチェロ です。


「ゴルドで貴方を倒しておいてよかったです。あのままにしておいたら 貴方がその当の”平和を乱して”いたっぽいですからね。」


「…」

あえて否定しないマルチェロです。




「…でね。」

そして、エイタスも 深く追求するのは止め ました。

なぜって下手に深入りしてしまうと やっぱりマルチェロを退治しなければならなくなってしまう からです。




「クラビウス王は、僕の差し出したアルゴンリングを弄びながら言いました。

確かにウチのチャゴスはどうしようもない大バカ息子だが ”父親”としては、君とミーティア姫のしたことは非常に腹立たしい。いくらバカでも、 公衆の面前であそこまで恥をかかされたら可哀想だ とは思わなかったかね!?』

と。いや、ま、確かにちょっと派手だったかな、とは思いましたよ。 可哀想とは一欠けらも思わなかった んですけど。まあ、そこらへんは軽くごまかしながら、僕はうんうんと頷きました。そしたらクラビウス王は続けました。

『…だがな、”エルトリオ王子の弟”として、儂は兄の遺児の君には… 幸せになって欲しい と思う。』」


「…ほう…」

マルチェロが驚いたように呟きます。


「クラビウス王はいい人ですよ。そして、 僕とミーティアの結婚を祝福 してくれたんですから。

『儂の父も、そして兄上も、立場に縛られて、愛する人と結ばれることすら出来なかった。そして儂も…』

クラビウス王は、そこで言葉を切りました。何があったんでしょうね、僕には分かりません。でも 僕の目をしっかりと見て 言ってくれました。

『だが、過去の呪縛を君がひきずることはなかろう。 若い君たちは、全力で幸せに成るが良い。』

って。僕はかなり感激しましたよ。」


「…」

マルチェロは 何か嫌味を言ってやりたいけど、嫌味を言う隙がないのでイライラしている という雰囲気で、眉に皺を寄せていました。




ですからエイタスは、ちゃんと オチ を話しました。




「でもね、世の中って世知辛いですね。感動する僕に、クラビウス王は続けたんです。

『ま、”父”と”弟”の立場はこれで済ませた。では、最後に サザンビーク国王として の立場をとるとしよう…我がサザンビークが、あの事件で貴国に多大なる恥をかかせられたのは事実だ。』

そしてクラビウス王は ウインク しました。

『この国辱という名の不利益は実利的な弁償を要すると、国王クラビウスは考えるが、いかがかね?未来の女王婿殿下?』」




「いいオチだ。」

マルチェロは 心から満足そうに そう言いました。



2009/2/9




というわけで、結局メンツとかなんやかんやの話は、利権の割譲とかで話をつけたんじゃないかと考えます。まあ、復興したばかりのトロデーンには かなりイタい損失 ではありますが、大事な姫様をチャゴスにとられるとか、戦争になるとか考えたら、まあ、受け入れられる結末かな、と。

かくして、どんどん マルチェロの恋バナから遠ざかってます が…次回は戻るから、安心してね?




= その三へ


アローザと元法王さま 一覧へ

inserted by FC2 system