我が最大の敵 その二

ベクトルがかなりペル4(つか足立)に向いているので、創作意欲はそっちのが高いのですが、なにせべにいもは 恋すると舞い上がってしまう乙女(座) なので、心余りて言葉足らずの業平状態です。

なんで、書きやすいアロマルに逃避してみます。(なんてやる気の無い前書きだ)









しん

静まり返った墓所。


ただ、マルチェロの足音だけが響きます。




墓参りに行くというのに、 しっかり地獄のサーベル持ち のマルチェロの面持ちもまた、 決闘にでも赴きそうな厳しさを湛えて います。




まあ、気持ちは分からないでもありません。

なにせ、墓所の住人は 恋人の死んだ夫 なのですから。









ずざっ!!!

たどり着いたマルチェロは、 あたかも敵と対峙したかのように 足を構えます。









生温い風が、吹きました。









我が眠りを妨げるのは誰だ…





どう好意的かつ楽天的に解釈しても、 この世ならざる者からの声 としか聞こえないような響きが、しかも 墓の中 から聞こえました。




「そちらから御指名の筈だがな、ムッシュ・アルバート…」

マルチェロは 平然と 返答します。



ええ、ここでククールがいたら

「いや兄貴、ソコは驚いておこうよ、人としてっ!!」

とツッコミを入れてくれたでしょうにね。




「だが、お問いになられたからには名乗っておこう。」

マルチェロは、優美に墓に向かって一礼しました。




「我が名はマルチェロ。」




そして、生ける者に対するかのように、付け加えました。




「マダム・アローザの… 恋人 と、申し上げても過言にはなりますまい。」




あらあら、ついに自分で 恋人宣言 です。

かつてのマルチェロからは想像も出来ませんよね?


ま、事実にはほぼ相違ないですけれど。






この世ならざる者からの声 は返答しません。




「私の自己紹介が貴方の御気に召すとは思っておりませんよ、ムッシュ・アルバート。御指名なさってまで私を呼びつけられたのだ。 私も覚悟は出来ているっ!!」

マルチェロは いきなり抜剣 しました。





「もはや聖堂騎士でも何でもない身だ。騎士の決闘などという奇麗事は申すまい。 貴方は、マダム・アローザの側にうろつく私が目障り であろうし、 私も死してまでマダムの心を大きく占める貴方が気に食わんっ!!」




ちゃっ

マルチェロは剣を構えます。




「互いに互いの存在が疎ましいのだ… どちらかが永劫に消えるのが、解決法として一番手っ取り早かろう…」




………

この世ならざる者からの声非常に長く 沈黙しました。









マルチェロは、墓場から揺らめく薄暗い光を目にしました。

そしてそれは、人の姿はしていましたが、ぼんやりとしすぎていて輪郭は定かではありません。

もちろん、顔など判別出来ようもありません。




ですが、紛うことなく、分厚い剣を手にしていました。




「…アルバート家の剣は、レイピアではなくグレートソードだったな、確か。」

昔、サーベルトと剣を交えたことがあるマルチェロは、冷静に分析しました。




「亡霊の剣だから斬り結べぬ…などと無粋は…」




がきっ

返答代わりに、空間でも切り裂いたかのような速さで、その剣が振られました。




「…無い…か。」

マルチェロは、 薄笑い ました。




「では参ろう、ムッシュ・アルバート。 マダム・アローザをかけてっ!!!」






2009/3/21




だからどうしておまえはそう好戦的で血の気が多いんだね、マルチェロや?




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