剣では奪い取れないもの その二

トップにアンケート作成しまして幾日か。そろそろ50票に手が届かんといたしております。ご協力いただけたみなさま、厚く御礼申し上げます。
しかし、アロマル強いっ!!強すぎるっ!!
さらに、好きキャラでもマルチェロがぶっちぎりすぎです、みなさま、こんないろんな意味で危険な男の、一体どこが良いのですか?

いや、どうやら 危険なところが良い ようですね。

べにいものマルチェロが真実とまで書いてくださったかたもいらっしゃいます、二次創作駄文書きとして冥利に尽きる言葉ですが、一言。

「このマルチェロは、かなりマルチェロではないですよ!?」









12分経ちました。




「失礼ながら、ムッシュー。 かなり長い間お待ちしたが、返答はまだですかな?」

「こちらこそ失礼だけどマルチェロくん、 君はちょっと気が短すぎないかな?」


本当にその通りですね。

マルチェロはきちんとカルシウムを取っているのでしょうか?




ですが、マルチェロは不審げに問い返します。




「“しばらく” と仰ったので かなり“しばらく”御待ちしたと思いますがな?」


アルバート卿は何か言いたげに口を動かしかけましたが、止めました。

彼は見た目こそ若いものの、 マルチェロよりはるかに大人 であったからです。




「…まあ、人によって時間感覚は違うからね。」

一言だけ呟くと、彼はマルチェロに再び相対峙しました。




「マルチェロ君、一つ聞こう。」

「ムッシュー、先ほどから私は、貴方の問いに何度も答えているのだが、どうしてそうも私は何度も貴方に問われねばならないのですかな?」

「それは君が、いっこうにコミュニケーションが成立しそうな答えを返してくれないからだと思うんだけどなっ?」

とうとうキレそうになってしまったアルバート卿です。


「… 私は常に真摯な回答を御返ししていますが?」

「…」

アルバート卿は、 キョーレツなツッコミを入れたい衝動 をかろうじて抑え込みました。

人格者ですね。、本当に。




「…とんでもない事を引き受けてしまったな。」

アルバート卿は呟きます。


「あの人は聖者様なのは間違いないだろうけど、邪気のない笑顔でけっこう無茶ぶりするものな。」

そしてもう一言呟きます。



「何か?」

「いや、何でもない。でまあ… 可哀想な亡霊の質問 だから、そのくらい答えてくれても良いと思うのだけどな?」

人格者のアルバート卿は、それでも自己を抑えて下手に出ますが、



「仕方ありませんな。」

でも、やっぱり帝王…というかむしろ 魔王然と傲岸不遜なマルチェロ です。


まったく…この人には 好きになった人の元夫に敬意を払い、謙譲を示すという配慮 がないのでしょうか?

一体、どんなしつけを受けて来たのでしょうね?


いえいえ、別に貴方を責めているわけではありませんよ、まあ、かなり大きな責任は貴方にあるでしょうけれど。







「…そうか、ありがとう、マルチェロ君。」

アルバート卿は どうして僕はここまで下手に出ているんだろう と言う顔をしながら謝辞を述べました。




「いえいえ、 感謝には及びません。」

「…」


アルバート卿は、 もしかしてコレはイヤミ? と思いましたが、マルチェロの顔を見る限り、 礼儀ではあっても、イヤミではなさそう です。




「…で、問うね。」

アルバート卿は、マルチェロと出会って会話をしてほんの少しですが、 この世にはこんなに理解しがたい人間がいるんだ という、いっそ感動に近い感覚を覚えました。




でも、それはそれとして。

アルバート卿は呼吸を整えると、問いました。




「剣で奪い取れるものは何か?」

「権力であり、地位であり、富であり、名誉であり、そして、命である。」

超即答です。

さすがマルチェロです。



ですが、アルバート卿は初めて、 期待通りの回答 が返ってきたことに…それって、人と人との会話としては当然のことなんですけれどね… 新鮮な喜び を覚えました。




「では問いを変えよう。 剣で奪い取れ“ない”ものは何か?」

「存在しない。」

さすがに驚いたアルバート卿に、マルチェロはわずかに表情を緩めて付け加えました。







「…と、 かつての私なら 答えたでしょうな。」







2009/5/3




マルチェロと会話をしたら、直後に疲労で立っていられなくなるくらいの緊張感と虚無感があると思うのですよ。




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