亡国☆フランチャイズ その三
また8がやりたい、そしたらネタも浮かんでくるだろう…と思い続けて、もう1年です。
でもやってないのは、別館のゲームの2周目が途中なのと、借りてやろうとしているからでしょう。
9も出たし、そろそろどっかで安売りしてるだろうから、買おうかな…
「…ニノ法王?」
ゼシカが不安そうに問い返します。
「もちろん。」
「そりゃ、あいつに対しては優しくなれはしないだろうけど…」
「優しくなれねーくれーじゃねーよ。
ハラワタえぐりだしてやりてー
と思ってるよ。だってさ、自分を殺されかけたダケじゃなく、罪も何にもねー高徳の先の法王サマを
卑劣にも暗殺
したんだぜ?」
「…」
「…ま
もっとシュラ場な理由
もあっかもしんねーケド」
「なんか言った?」
「いやいや、修道院育ちだとついつい…ま、
レイディに話すような話題じゃナイ。」
よく思いとどまりましたね、ククール。
そう、このお話は
気高いアローザ奥さまが主役
の
乙女なラブコメストーリー
です。
そーゆー勘ぐり
をしてはなりません。
「ま、ともかくだ。公式には兄貴は存在ごと抹消されてるから、この世には存在しなかったコトになってる。ケド、生きてるってコトはみんな知ってるからさ。じゃ、どうしたいかって言ったら…」
「こっそり消したい?」
「ザッツライト。法王庁の名の下じゃ行動しにくいからよ、サザンビークが消してくれたら御の字ってヤツさ。」
「じゃ、チャゴスはそれを狙って?」
「…オレがクラビウス王なら、
あのチャゴス
にそんな危険かつ重大な任務任せようたあ思わねえな。チャゴスがどう思ってんのかは知らねーケド、少なくともクラビウス王はウチに兄貴がいるとは思ってねーだろ。」
「じゃあ、ホンっトにただの恐喝なのね、あのブタ王子の発言は。」
「おう、だから兄貴がいなけりゃコトは簡単なんだが…」
そしてククールとゼシカは、やっぱりそっと室内を見回します。
マルチェロは聞いているでしょう。
でも、これを聞いて黙って姿を消してしまったりしたら…
「そのような事、言うものではありませんっ!!」
室内に、
りん
とした声が響きました。
「…お母さん、いつの間に…」
奥さまはゼシカたちが驚くにも構わず、つかつかと室内に歩み入ると、ドアをお閉めになりました。
「…」
明らかにお怒りの表情
にククールはたじろぎますが、それでも言います。
「ですが奥さま…じゃなくて、おかあさま。兄がおかあさまにご迷惑をおかけてしているのは事実です。自分の兄にこんなことを言うのもなんですが、
兄は立派な悪党
です。ですがそれと同時に…
兄は貴女にとっての騎士でありたい
と思っています。だから、お守りするはずのレイディの負担になることは、兄にとっても望むところではありません。」
まあ、ククールってばどうしたことでしょう。
こんなことを言うなんて…
まるで賢い子のよう
です。
「…」
奥さまはお口をお閉じになり、
何気ない仕草で室内を見回し
なさいます。
「…あの方が、素晴らしい方であることはわたくしとて存じております。」
奥さまは静かに口を開きなさいます。
「ええ、あの方は
わたくしにとって、いえ、この世界で一番素晴らしい騎士さま
でいらっしゃいます…」
「残念ながら、わたくしはあの方に相応しい
世界一の淑女
ではありません。」
奥さまは、少しさびしげにほほ笑みます。
「ですが、わたくしも淑女は淑女。淑女としての誇りもございます。」
一転、奥さまは力強い口調におなりになります。
「わたくしは淑女として、一度口に出したことは守り遂げます。わたくしはあの方を信じると申しました。お守りすると誓いました。ですから、
たとえこの身が焼き尽くされようとも、その言葉を肯えないことなどありませんっ。」
そして奥さまは、強い瞳できっぱりとおっしゃいました。
「迷惑になど思うものですか。わたくしは貴方を命をかけてお守りいたします、わたくしの騎士さまっ!!」
こう言われて、感動しないものがありましょうか。
ええ、そんな人の子など、人の子の名に値しません。
ククールは目頭を拭いました。
ゼシカも、ハンカチで目を押えました。
「…だってよ、兄貴。」
ククールは聞かせるように呟きます。
「愛されすぎだぜ?この色男。」
「…」
「…分かったわ、お母さん。お母さんのその決意、ものすごくよく分かった。あたしたちも、もう文句言わない。チャゴスが何を言おうが、何をしようが、あたしたち、絶対耐え抜いてみせるから。」
その時の奥さまのお顔は、
魔王だって惚れ直すほど
のお美しさでした。
2009/7/23
愛には障害が必要です。
良かったね、チャゴス、立派な障害になれて?
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