おたんじょうかい その二
生まれて二回目のバタフライの練習。
「400mはクネクネで泳ぐ」
と自分ノルマを決め、
「しなかったら爆死」
と自分ペナルティを決めました。
自分ノルマがきちんと守れる自分ってエラいんじゃないかと自画自賛中…けど、しんどいぞやっぱ。
はやく25Mくねくねで泳げるようになりたいです。
そしてここは、奥さまの私室でいらっしゃいます。
「アローザ奥さま、こちらのお色はいかがですか?」
出入りの服飾商の婦人が問います。
「まあ、そんな派手な色。」
奥さまはためらいなさいます。
「それに、そんなに胸元を広げて見せるのは…その…
レイディとして相応しくありませんわ」
「まあ奥さま、もともとイブニングドレスというものは、胸元が開いているものですが?」
「あら…」
奥さまは、ちょっとお考えになって
「でもわたくし、未亡人ですし…」
と
蚊の鳴くようなお声
でおっしゃいます。
「まあまあ、そう仰らずにお召しなさいまし。」
婦人はせかすように奥さまに着付けました。
「やっぱり…その…
胸が…」
そう仰る奥さまのえりぐりも大きく開いた胸元は、
ぱっつんぱっつん
でした。
「奥さま、お羨ましいですわ。
胸に張りがおありになって。」
「…そう?」
「ええ、
とうてい、娘さんが結婚なさるお年には見えません。せいぜい、ゼシカお嬢様とご姉妹ですわ。」
「まあ、姉妹?」
奥さまのお顔が、
みるみる輝き
ました。
まあ奥さまは賢明な方ですけれど。
それはそれとして。
若く美しく見られるというのは、女性にとってはとてもうれしいものです。
ま、さすがに
ゼシカと姉妹に見えると言うのは150%なお世辞
であるにしても、奥さまが
羨ましいほどのナイスプロポーションだというのは万人が認める事実
でしょう。
うん歳
だというのに、
ぱっつんぱっつん
なのですから。
こう考えると、淑女な生活というのは、
美容上とてもよろしい
のかもしれません。
背筋を常にシャッキリしていますから、二の腕もたるみにくいですし、猫背になって年寄りくさい印象を与える事もありません。
常に丹田に気合いが入っていますから、おなかだってポッコリしないでしょう。
今すぐはじめよう、淑女ダイエット
と銘打てば、平和になったこの世界で大流行して
更に財産が倍加させられるかもしれません
ね。
「ほほほ、
カレシがお若い
んですもの、奥さまもお若くて当然ですわね。」
「え、ええっ…そんな、彼氏とか、そんな…」
と
いまさら蚊の鳴くようなお声
でおっしゃる奥さま。
「素敵な恋人でいらっしゃいますわねえ。」
婦人は畳みかけます。
「お背いはスラリと高くていらっしゃるし、
あの涼やかな額、
美しい緑の瞳に、
意志の強そうなおでこ、
唇もきりりと結ばれていますし、お顔の形も良いこと。いいえ、殿方を外見ばかりお褒めしてもしかたありませんわね。
あの富士額の知的なことっ!!」
どれだけデコネタ多いんでしょうねっ!?
「まあっ、そんなに褒めていただくとわたくし、恥ずかしいですわっ!!」
ですが奥さまはそんなことにはまるで頓着なさらず、
力いっぱい嬉しそう
です。
「おほほ、失礼。ともかく、
あれだけ素晴らしい殿方はまずめったにいらっしゃらない
です。
まさに奥さまのような淑女と好一対!理想のカップル!!」
「まあっっ!!もうっ、やめて下さいませんかっ!?」
「世界一素敵な奥さまのナイトですわね。」
「いやん、もう、恥ずかしいっ♪」
…
というわけで、
まんまと言い値で、かなり高額の買い物をなさってしまった奥さま
ですが、大丈夫、たまの散財、誰も気にしません。
それに、
マルチェロの資産運用の御蔭で、このくらいハシタ金
ですから。
2009/8/23
奥さまが、あのアローザ奥さまが
「いやん、もう、恥ずかしいっ♪」
なんて言い出す日が来るとは…
まあともかく、アロマルのトップにも置いてありますが、結末予測アンケート設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。
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