Shall We Dance? その二

べにいも家では、家族のお誕生日には家族みんなでお祝いをします。
そしてみんなでケーキを食べ、プレゼントをあげます。
絵にかいたような幸せ家族かもしれない、というわけでそんな幸せを噛みしめつつ、奥さまのお誕生会の続き。









お客のほとんどはリーザス村関係者なので、彼らはアスカンタの童謡を知りません。

ポルトリンクに出入りしている船乗りたちも少しはいますが、彼らも知らないようです。

そしてゼシカとククールも、アスカンタには件の事件ぐらいでしか関わっていないので、やはりその童謡を知りません。


が知らなくても、メロディーさえあればダンスというものは出来るものです。




メロディーは、軽快です。




「踊りましょ、踊りましょ♪」

その童謡が奥さまの少女の記憶を呼び覚ましたのでしょう。

奥さまはなんと珍しくも、メロディーに合わせて歌を口ずさまれます。



「私と一緒に踊りましょう♪

奥さまに合わせて、 艶のあるバリトン が似合うような似合わないような、そんな歌詞を口ずさみます。



「さあ踊りましょう、夜の色のキャンパスに、ダンスで文字を描くように♪」

「さあ踊りましょう、踊る軌跡が輝く文字となるように♪


「踊りましょ、踊りましょ♪」

「私と一緒に踊りましょう♪




歌を知らない一同も、単調なその繰り返しのフレーズはすぐさま覚えました。

そしてすぐに広間は、 「踊りましょう」 の大合唱になります。

老いも若きも、

男も女も、

誰もが自ら相手の手を引いて、軽快なメロディーに合わせてくるくると舞い踊ります。




「なんつーか…スゲー楽しいな、コレ。」

ククールが舞いながらも、満面の笑みでゼシカに話しかけます。


「ホント、なんてゆーか… サイコー!!」

ゼシカは、明るいオレンジのドレスをふわふわとなびかせながら、くるくると舞いました。



「はは、でもこの中の誰も…オレたちも、ムカツくことに あのご両人には絶対幸せさで勝てねー んだぜ?」

そう言いながらもククールは、 とびきり幸せそう な表情です。


「ほんっとそうね。 すっごい悔しい わ。」

もちろんゼシカもそう言いながらも、 嬉しくてたまらない口調 です。


なぜってゼシカは いつも厳しい母のこんな幸せそうな顔を見るのは初めてだから です。


そしてもちろんククールも、 マルチェロがこんな表情で踊る日が来ようとは夢にも見た事がありません でした。




ククールの夢に出てくるマルチェロはたいがいが、


ククールを無視している

か、


ククールを虐待している

か、


世界の覇権を握ろうとしている

か、


大魔王として魔界に君臨しているか


なのですから。




夢にでも兄に愛されないククールって、なんて不憫な生物(アホい)なのでしょう。




すみません、 思わず目頭に熱いものを感じた ところで、閑話休題しますね。


ともかく、周囲の思惑など何のその、 世界はわたしたちだけのもの とばかりに それはもうくるくるぐるぐるぐぅるぐぅる と歌い踊り狂う二人です。




「あなたはわたしの騎士さま♪」

「貴女は私の御姫様♪


「さあ踊りましょう、夜のただ中で踊りましょう♪」

「さあ踊りましょう、夜がすり減るまで踊りましょう♪


「夜が明ければ、全ては夢♪」

「夜が明ければ、全ては幻♪」


「夜の魔法の中♪」

「鮮やかな夜の中♪」


「この夜だけは、あなたはわたしだけの騎士さま♪」

「この夜だけは、貴女は私だけのお姫様♪」


「踊りましょ、踊りましょ♪」

「私と一緒に踊りましょう♪


「夜の魔法の中♪」

「鮮やかな夜の中♪」


「魔法が解けるまで♪」

「全てが夢幻と消えるまで♪」


「踊りましょ、踊りましょ♪」

「私と一緒に踊りましょう♪







2009/9/7




二人でダンスもステキですが、二人で歌の掛け合いというのも、歌垣ぽくて好きです。そしてどちらも 限りないトランス状態に二人をいざないそうなところ もとても好きです。

まあともかく、アロマルのトップにも置いてありますが、結末予測アンケート設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




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