告白 その一

アロマルの結末予測アンケートへの投票、コメント、本当にありがとうございます。
50票に届かんとするあのアンケートを見ると、「がんばって更新しよう」という気持ちになれます。
しかし本当、これだけのご支持を頂いているこのシリーズが終わったら、 拙サイトは門前雀羅じゃないか と思うと、痛し痒しなんですが…

さて、というわけで宴果てて、 二人っきり
マルチェロはどうして法王服なんて狂気の沙汰の衣服をつけてきたのかというお話。









「…くたくたですわ…」

奥さまはそう仰って、奥さまには珍しくも自室のソファーに身を投げ出されました。


「やはり年ですわね。」

そして、ドレスの上からですが、ふくらはぎをお揉みになります。




結局、夜中まで延々と踊り続けた奥さまです。

マルチェロはまあマルチェロだからとても平気 なのですが、奥さまは生身の人間…しかも、 若くはないお年 なのです。

それはクタクタにもなりましょう。




「うふふ」

そう仰いながらも、奥さまはとても嬉しそうに笑います。


「でも、本当に今晩だけはお姫さまになった気分でしたわ。」




そう仰いながらも、奥さまは身につけられた宝石類を一つずつ丁寧に宝石箱におしまいになります。

お疲れになった奥さまは、そうするごとにわが身の重みが消えていくような感じをお覚えになりました。


「でも…もう、夢は終わり…」

けれど、それと同時に 一抹の寂しさ も覚えられます。

みなさんも経験がありませんか?

アクセサリーを身に付けた時の胸のトキメキを。

そしてそれを外す時の、小さな夢が終わったようなあの寂しさを。




「…」

髪飾りをお外しになると同時に、小さなノックが鳴りました。




「はい、どうぞ。」

入って来たのは、




「…マルチェロさま…」

でした。




「御身仕舞中とは存じておりましたが…」

「いえ、よろしいですわ。でも、どうなさったのです、こんな夜更けに…」

そして奥さまは、パーティーも終わったというのに、まだあの衣服のまま(奥さまはこの衣服が法王即位式のものであるなどとはもちろん御存じありません)のマルチェロを眺めます。




「やはり…御気になられましたか?」

その視線に気付いて、マルチェロは言います。


「まあ、申し訳ございません、ぶしつけな視線を向けなどして…」

そして奥さまは言い淀まれ、そして




「とてもお似合いですわ…今さらですけれど。」



頬を赤らめながら

おっしゃいました。




ふっ

マルチェロは失笑のような息をもらしました。


「そうですか、似合いますか…」

「あ、あの…どのようなお召し物ですの?その…マイエラの聖堂騎士団の制服にとても似ているような気が…」

「似ている気もなにも、 それそのものです、マダム。」

奥さまは返答に詰まられます。


「更に申し上げましょう、マダム。 この衣服は、私が法王即位式に身に付けたものをそっくりそのまま再現したもの です。」

「…」

奥さまは、問いた気に視線をお上げになります。


「何故、と御聞きになりたいのでしょう?」

「…」

奥さまは、黙って頷かれます。


「法王庁に追われる身であるこの私が、たとえ内輪の者しか無い席とは言え、法王服を身に着けるなど狂気の沙汰だ、ということは、分かっています。」

マルチェロは奥さまのソファーの前に跪くと、奥さまのドレスの裾に 接吻 しました。




「申し遅れましたが、素敵な御召し物です。」

「…」


「今更ですが、 今晩の貴女は、本当に一国の姫君と仰られても過言ではないほど、麗しい御姿でいらっしゃいます。」


奥さまは こそばゆい程の褒め言葉 を受けながら、心臓が高鳴るのをお感じになりました。

恋のときめき のせいではなく、 何かとても恐ろしいことを起こるのではないかという予感に です。




「マルチェロさま…あの、マルチェロさま?本当に今更なのですけれど…お聞きしてもよろしいこと?」

不安なお顔の奥さまに、マルチェロはほほ笑みます。


「どんな事でも、何なりと。」

「あの…あの…あ…の…」

奥さまはお言葉に詰まりそうになりながら、それでもお心を鎮められ、はっきりとした口調で仰いました。




「あなたの逮捕状が回って参りました時に、そこにございました。あなたは とても口ではいえないような忌まわしい罪 を為したと。その…」

ですが、さすがにそこでお詰まりになられます。


「…マダム…」

マルチェロは再び頭を垂れます。




「…懺悔をすれば罪は女神が引き受けてくれるなどという考え方は好かぬ のですがね。それでも、そんな私でも…」

そしてマルチェロは、奥さまを見上げました。




「許しなど求めはしませんとも。ですが、聞いていただけますか、 私の女神。」




2009/9/10




奥さま、まだ話は始まっていません。

「ええ、許しますわ。」
とか言っちゃダメですよっ!?

結末予測アンケート設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




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