告白 その二

アロマルの結末予測アンケートへの投票&コメント、重ねがさねありがとうございます。
本当は今回の分を早く書いてしまいたかったのですが、 忙しすぎて それどころじゃありませんでした。









「…」

奥さまは、じっとマルチェロをお見つめになります。


「懺悔、とおっしゃいましたわね。」

「はい、申しましたとも、マダム。」

そしてマルチェロも、緑の瞳で奥さまを見返しました。


「マダムは仰いました。

とても口ではいえないような忌まわしい罪 とか何か、と。ですから、それを御話しようと言うのです。」

そしてマルチェロは 厳しい表情 で奥さまに問いました。


「さてマダム、貴女は如何なる悪事を為したか、具体的に御存じですか?」

「…」

奥さまはお考えになります。


「…法王庁から下されました文面には、あなたが 特級犯罪者 であるとありましたわね。あなたは、聖堂騎士団長、マイエラ修道院院長、法王警護隊隊長、そして法王の座にあった男ながら、 とても口ではいえないような忌まわしい罪 に手を染めた、と。そして、 全ての公職記録を剥奪の上、新法王ニノの名のもとに記録抹消刑に処されている と…。」

「左様。ですが法王庁は私が具体的に何事を為したかは言っていない。何故ならそれは、 法王庁の威信を根底から揺るがす悪行と言うもまだまだ生温い所業 だからですよ、マダム。」

奥さまは、更にじいっとマルチェロの瞳をお見つめになります。

法王庁の威信を根底から揺るがす悪行と言うもまだまだ生温い所業 と言われても、 天使のように善良な奥さま ですから、ピンと来ようはずもありません。



「マダムのような善良な淑女には、御想像も出来ぬ事であるのは当然ですな。」

マルチェロは苦笑します。

奥さまはそのマルチェロの笑いに、侮りの成分をお感じになりました。


「まあっ、ではマルチェロさま、教えて下さいませ。わたくし、わたくし、あなたのなさったことなら…」

「ではマダム、質問を変えましょう。」

マルチェロはそこで、話題を転換しました。


「マダムは、私の法王即位式で何が起こったか、御存じですかな?」

「マルチェロさまの法王即位式?」

そして奥さまは、その即位式で身にまとったという法王の衣をご覧になります。


「…法王即位式に 暴漢4人組 が押し入ったとお聞きしますわ。そして、式がむちゃくちゃになってしまったと…」

ふふん

マルチェロが堪え切れずに笑いを洩らします。


「まあ、何がおかしいのですか?」

「これは失敬。ですがマダム、その 暴漢4人組 の全員に、貴女は御会いになった事がございますよ。」

「ええっ!?」

奥さまはびっくりなさいます。


「わたくしがこのアルバート家にそのような怪しげな者たちを上げるとでもお思いですのっ!?」

マルチェロは皮肉な笑みを浮かべたまま返答します。


「まず一人はヤンガス。貴女もお会いになった盗賊上がりの男です。」

「あら…」

奥さまは拍子抜けなさいます。


「あら、あの方が…まあ確かに 暴漢と言われても納得は出来そうですわ、いい方そうですけれど。」

ヤンガスが聞いたら傷つきそうな台詞です。


「いや良い方“そう”どころではありません、善人ですよ、あの男は。」

ヤンガスが聞いたら、喜びというよりショックを受けそうな台詞です。




「御次は、エイタス。 現、トロデーン王太姫の御夫君 です。」

「まあっ、あんな優しそうな青年がっ!?」

そうして驚かれると、聡明なマダムはお気づきになります。


「…まさか…あとの二人は…」

マルチェロは頷きます。


「そう、」 貴女の御令嬢と、我が愚弟 ですよ。」

そして、 呪いをかけられたかのように動けない奥さまに、マルチェロは止めの言葉を投げつけます。




「法王即位式の壇上で、私と、その4人は、 殺し合ったのですよ。」




2009/9/17




閲覧者の方々には既知のことですが、実は奥さまは御存じなかったんですよね、この事実。
ですが、マルチェロの告白はまだまだ続きます。

そして結末予測アンケートまだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




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