然れども その二

正直、ギャグな展開が書けないので、とても書きづらいです。
ああ、ククールが恋しい。マルチェロに焼かれるククールが恋しい。









マルチェロは、とても大きく息をついたようでした。

闇の中、彼の頭がもう一度上げられた気配があります。




「心外です。」

マルチェロが言いました。


奥さまも、息を呑まれたようでした。

「まあ、心外と言われる方が心外です。」

そして、詰問なさいます。


「いったい、何が心外だとおっしゃるのです、マルチェロさま!?」

マルチェロは、ゆっくりと首を左右に振りました。



「貴女に嫌われれば良いと思ったのですが。」




奥さまは、少々混乱なさいました。

この告白は、

「こんな酷いことをした自分ですが、赦してくれますか?」

という告白ではなかったのでしょうか?


マルチェロは自分の事が好きなのではないのでしょうか?


だとしたら、 どうしてわざわざ嫌われようとするのでしょうか?


謎は深まるばかりですが、奥さまはレイディらしく落ち着かれて… でも本当はまるで落ち着かれてはいなかった のですけれど…マルチェロの言葉の続きをうながします。




「どうしてそんな事をおっしゃるのです?」

マルチェロは重いため息をつくと、続けました。


「愛が深くなればなるほど、失った時の傷みが増しますからな。ですから、嫌われれば良いのです。全てから。さすれば傷みなど感じますまい。」

「まあ…」




みなさまも、もうご存じでしょうけど、マルチェロは愛憎の深い男ですから、好きになるとのめり込んでしまうタイプなのです。

ですから、できるだけいろんなものを 好きにならないように 努めていたようです。

ええ、彼の鋼鉄の精神力で、あらゆるものを遮断して。

まあそれは目的達成のためならば望ましいことでしょうけれど 豊かで実りある人生、 という点で考えれば、いろいろと索漠たるものでしょうね。




マルチェロは続けます。

「嘘偽りで貴女の歓心を買っているのが心苦しくなりました。

「…」




ふと我は思うのですが。

マルチェロってそんなに奥さまにウソをついていましたかしら?


ねえ、どう思います?

確かに、今回のような いっちばんキョーレツなこと は黙っていましたが…


最初から 「王とはなんだ!?」 とか叫んでいましたわよねえ?

本性はわりと最初から剥きだしてた気 がするのですけれど…


え?

マルチェロは心のまっすぐな子だから?

少しでもウソをつくと、ものすごい罪悪感に苛まれてしまう?


心がまっすぐとはとうてい思いませんけれど まあ、 意外と正直 ではありますね。




「他人を蹴落とし、他人に憎まれてばかり来たのです。 嫌われ、憎まれる方は慣れていますから。」




「あなたは本当に、辛い人生を歩まれてきたのですね。」

「自業自得です。」

よく分かっていますね。


「辛い人生を歩んだにしても、私のような事をしていい理由にはなりますまい。」

本当によく分かっていますね。




「ですが、そうではありますが、こんな私ですが…」

マルチェロは ですが、 逆接を重ねて、 言いました。




「貴女を愛しても、宜しいですか?」




2009/10/11




「あなたを好きになってもいいですか?」
「イヤ。」
という会話って、成立したらイヤすぎですね。

好きになるのはその人の勝手です。それ以上は、合意のために鋭意努力して下さい。

そして結末予測アンケートまだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




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