Happiness その一

というわけで、見事後継ぎを確保したトロデーン王国の未来にまずはバンザイ三唱をお願いします。
それから、今回のお話をご覧ください。









「トロデ王ー♪」

お祝いの品を抱えて 祝賀モード大全開 なトロデーンにやって来たゼシカとククールは、トロデ王を見つけて声をかけました。


「ぶわっかもんっ!!」

いきなり怒鳴られました。


「…ナニ?」

ゼシカとククールはびっくりします。

なんでしょう、何か無礼をしましたでしょうか?

それともお祝いの品でも気に入らないのでしょうか?


「えっとぉ…トロデーンでは王族の赤ちゃんが生まれた時とか、なんか特別のお祝いの品を持参しなきゃなんないとか…」

「んなモンないわいっ!!」

やっぱりトロデ王は不機嫌そうです。


「あー…」

ククールは何か言おうとしますが、なんにも思い浮かばずに困った顔です。


「…」

チラッ

トロデ王は 何かを期待する眼差し で、ゼシカとククールを見ます。


「…?」

「…」

ですが、ゼシカとククールも見当もつきません。



チラッ

トロデ王は もっと何かを期待する眼差し で、ゼシカとククールを見ます。


「…」

ゼシカは相変わらず見当がつきませんが、ククールは何かを思いついたようです。

ゼシカにそっと耳打ちします。


「ああ…」

ゼシカも納得しました。



チラッ

トロデ王は 「今度こそ分かったろう、早く言え」と言いたげな眼差し でこちらをみてせかしますので、ゼシカが


「せーの…」

とまず言いました。




「おめでとう、トロデ“おじいちゃん”♪」

「おお、よく祝いに来てくれたのう、ワシもうれしいぞいっ♪」

トロデ王は、 今にもとけてなくなりそうな緩んだ笑顔 で、ようやく愛想よく答えてくれました。




「いやあ、各国から祝いが来ててのう、忙しくてかなわんわい♪」

言葉とはうらはらに、トロデ王は 一歩一歩がとても高いスキップ で、 そのうかれっぷりが一目瞭然 です。


「そー、それは大変ねー、 トロデ“おじいちゃん”♪」

「何せ王家の後継者生誕だからな、大変なのはわかるぜ、 トロデ“おじいちゃん”♪」

「はっはっは、孫が出来るのも考えもんじゃのうっ♪」

「トロデ“おじいちゃん”」 と呼びかけられるたびに、トロデ王のスキップはだんだん高くなります。

ゼシカとククールは、 あと十回も言ったら天井にあたまをぶつけるんじゃないか と、王宮の高い天井を見上げて思いました。




ミーティアがまだ休んでいるらしい部屋の外には、彼女と愛する我が子を守るようにエイタスが立っていましたが、ゼシカとククールを見ると、笑顔で手をふりました。

「おめでーとエイタス♪」

「よっ、パパ♪」

「もうっ…」

トロデ王ほどではないですが、 テレていることには違いはない ようです。


「ゴメンね、ミーティアと娘はまだ休んでてさ。もうすぐ起きると思うから、そしたら…」

「おめでとー、ホントおめでとー。ミーティアが起きたら真っ先に会わせてね。」

「ところでさ、まだ トロデーンの未来の麗しの女王陛下 のお名前をうかがってねえぜ、未来の王婿殿下?」

「おおう、うっかりしとったのう、ワシの可愛い孫娘の名前はのう…」

「エステル。」

エイタスが言葉を先取りしました。


「キレイな名前ね。」

「ありがとう。」

「…確か、聖典に出てくる絶世の美女の名前だよな。意味は確か…」

「星、だよ。」

「すごーい、ロマンチックー♪」

ゼシカがため息をつきました。


「きらめく満天の星たちの中でも、ひときわ輝く美少女になるように、だな?」

ククールは言って、エイタスにウインクします。


「まっ、両親がコレだ。心配しなくてもトロデーン一の美少女になるさ。」

「ぶわっかもんっ!!トロデーン一とは何事じゃっ!!世界一と言わんかいっ!!」

「祖父がトロデ王じゃなきゃ、そう言ったんだけどなあ…」


あはははははは

和やかな笑いが起こりました。


「まあ、ミーティアが起きるまでゆっくりしてってよ。ヤンガスも来てるし。」

「あっ、ホント?もしかしてゲルダさんも?」

ゼシカが言うと、エイタスは意味ありげに微笑みました。


「何だよ、エイタス。」

「そーいや、あの人たちいつ結婚式すんのかしら。はやくしないと赤ちゃん生まれちゃうんじゃ…」

「…実はもう、 遅かったりして。」

セジカは一瞬、意味が分からなくてきょとんとしましたが、しばらくして叫びました。




「まさかっ!?」






2009/10/29




タイトル通り、 幸せに充ち溢れた空間 であります。スキップトロデ王を想像してみましたが、 エステル姫よりむしろカワイイのではないか と思われまして。

二人の間の子どもを女の子にすることは決めてたんのですが、名前を決められず、「まあ決めなくても書けるかな」と思ってパソコンの前に座ったら、なぜか一瞬で出てきました。いや、お母さんが「ミーティア(隕石っていうか流れ星)」なんでそれつながり(しかもなんとなく、エイタスとも感触似てるし)で。「エステル」って名前自体は旧約聖書の エステル記 の知恵と勇気と献身と美貌の持ち主であるヒロインから取ってるんですが、どうやら元は イシュタル らしいです。ええ、金星と戦と 性愛 の地母神さま(メガテニストにはおなじみですね)。
…いいのか、エイタス?

そして結末予測アンケートまだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




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