Happiness その二

「秋のくせにあったかいじゃん」
とか言ってたら、明日から寒くなるらしいですね、 明日、遠足なんだけどな

でも大丈夫、このトロデーンは幸せパワーであったかです。









先にゼシカが見つけました。

「ヤンガスー!!ゲルダさーん♪」

「おっ、ゼシカ嬢ちゃんじゃねえか…」

どけしっ!!

ゼシカたちの元に駆け寄ろうとしたヤンガスを 相っ当キョーレツな蹴りで蹴り落とした ゲルダの胸元には、 しっかりと大切そうになにかが抱きしめられ ていました。




「ッ痛…ナニしやがんだ、ゲルダっ!!」

「嬉しそうに呼びとめてんじゃないよっ!!」

「…?なんでだ?久々に仲間に会えて嬉しいだけじゃ…」

「いちいち言い訳してんじゃないよっ!!このトーヘンボクっ!!」

「…今の、言い訳だったのか?」


さて、今の蹴りの キョーレツな音 に驚いたのでしょうか?

ゲルダの胸元の何かが、


ふえええええーん

と泣き始めました。




「あ、ああ… なんで泣くんでちゅかー?こわくないでちゅよー」

ゲルダの口から出たとは思えない台詞 です。


「ママがついてまちゅからねー?」

本当に、ゲルダの口から出たとは思えない台詞 です。


「まったく、アンタのせいで泣いちまったじゃないかっ!?どう責任とるんだヤンガス、ああっ!?」




ちなみに、今までのゲルダの台詞の全ては ヤンガス以外の人間にはまったく視線を合わせないで行われ ました。




「…すまねえな、いきなり見苦しいトコ見せてよ。」

ヤンガスが困惑顔でエイタスたちのところへやって来ます。


「何にも説明してねえで、さぞやビックリした と思うが実は…」

「いや、だいたい分かったから説明はいらねーぜ?」

「ほんと、ものすごくよく分かったわ、幸せそーで何よりね。」


二人の対応に、ヤンガスはビックリします。


「エイタスのアニキ、もうこの二人に説明なさったんでガスか?」

「ううん。」

「じゃ、説明もナシで何が分かったってんだ!?」

まったく呑み込めない顔のヤンガスに、ゼシカとククールは 生温か優しい祝福の笑み を浮かべて、答えました。




「『デキ婚なんてこっぱずかしい真似なんか出来るもんかいっ!?』

ってゲルダさんが意地はり続けてたのよね?」

「そんなこんなしてるうちに、 ベイビー誕生しちまったんだよな?」

「嬉しくて嬉しくてたまんないんだけど、恥ずかしいから、 誰にも言えずじまいだったんだよね?」

「でも、まさかいつまでもそのまんまじゃいれねーからよ、 エステル姫ご誕生をいい都合とやっとお披露目できて、ラッキー♪ ってなモンなんだよな。」

「でもやっぱり、まだ恥ずかしいのよね、いろいろと。 いいじゃないねえ、幸せなんだから。」


そしてゼシカとククールは声を合わせていいました。


「って事情で、間違いないっ!!」

「何で分かるんだっ!!」

ヤンガスは 世界の謎の解答の全てを突き付けられたように大驚愕 しました。




「エイタスの兄貴に言い当てられた時は、 エイタスのアニキの神算鬼謀に恐れ入った もんでガスが、まさかゼシカの嬢ちゃんやククールにも…」

「いや多分、誰にだって分かると思うよ?」

エイタスは一応ツッコミをいれましたが、ヤンガスはしきりに首をひねるばかりでした。














ゲルダが ウチの可愛い赤ちゃんの話をもっとして♪ と言いたげな視線でゼシカたちを見ています。

見てはいますが、視線がそちらに向きかけると、 あわてて視線を逸らしちゃう のです。




もちろん、一同はゲルダの扱いを ダンナの45倍は心得ています から、直接問うなんてことはしません。


「男の子、女の子、どっちかしら?」

「フンッ、男のガキなんて腹の中でやたらと騒いで、うっとおしくって仕方なかったよ。」


「誰似かな?オレ的にはゲルダさんに似た方が美男子になると…」

ゲルダは 見せつけるように赤ん坊をこっちに向け ます。


「お父さん似…かしら?」

「僕は目元はゲルダさんに似てると思うんだけどな、どう?」

「いやあ、あのほっぺたはヤンガス似だろ。」

「ふ、フン、そんなのまだ赤ん坊だから分かったモンじゃないし…」

「でも、かわいいわよねー。」

「ねー。」

「だよなー。」


「が、ガキとか可愛いとか言う気持ち分かんないねっ!!こんなの手間がかかるばっかで…」

と言いながらゲルダは、 蕩けそうな笑顔 で、我が子をあやしています。




「が、まあしかしでガスな、アニキのトコのエステル姫さんと同い年になって嬉しいでガスよ。」

ようやく疑問が解けたのか、 はたまた何に悩んでいたのをもう忘れたのか ヤンガスが言いました。


「そうだね、僕も嬉しいよ。エステルに幼馴染が出来るんだから…」

「これも、アッシとアニキとの、アツい愛情の結果ということで…」

「なんで愛情の結果がそっちにいくんだよっ!?」




ヤンガスは 痛恨の一撃レベルの蹴り落とし をくらいましたが、それはそれとして、 この空間の幸福レベルはまったく落ちない のでした。







2009/11/1




このツンデレママを何とかしてほしいような、このままでいいような。

そして結末予測アンケートまだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




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