修羅道とは倒す事と見つけたり その三

どうもカラダ中がガチガチしてます。血行が悪いのか?









さて、リーザス像の塔にやって来たマルチェロです。

もちろん、ゼシカがお茶の席で話した事だけでやって来た訳ではなく、ひっそりと彼に信服しているリーザス村自警団ことポルクとマルクから詳細を聞いてきています。




「うん、最初はサーベルト兄ちゃんの墓の近くで声がしたんだ。

『リーザス像の塔が…』

って、サーベルト兄ちゃん…の声じゃないような、でも、サーベルト兄ちゃんみたいな若い男の声だよ。」


「でね、ポルクと昼ご飯食べてからリーザス像の塔に行ったら、 ヒーッヒッヒッ って、すっごい不気味な声がしたんだよ。」


「おれたちがその声がした方を向いたら、塔の上の方に 長い杖みたいなモンを持った背の高い奴 がなんかちょっと光って塔の中に入ったんだ。ゼシカの姉ちゃんが話してくれた、サーベルト兄ちゃんを殺したドルマゲスって奴とそっくりだから、すぐ追っかけようとしたら、マルクが…」


「だって怖いじゃないか。、塔の中ってまだ魔物がいるんだよ?追いかけるのも危ないから、村に戻ったんだよ。」


「で次の日、こんどは母ちゃんにおやつ貰ってから行ったら、また同じように光りながら塔の中に入ろうとして…」


「それが何回か続いたんだ。しかも

『満月の夜に…』

ってつぶやいてさ。そしたらポルクってば満月の夜にホントに行こうとして…ほんっと怖かったよ、アレ。」


「お、おれは追いかけようとしたんだよ、アンジェロ長官。そしたら、その光ってるヤツがものすごく怖い顔で睨んできてさ…こいつが悲鳴上げて逃げるから…」


「だって怖いじゃんっ!!」


「…で、まあ、リーザス村自警団の手には負えないなと判断して、ゼシカ姉ちゃんに言ったんだ。以上、ジジツホーコクであります、アンジェロ長官!!」




コツコツコツ

リーザス像の塔を登りながら、マルチェロはポルクとマルクから聞いた内容を反芻します。


「若い男の絵。ドルマゲスらしき姿の背の高い光る生物。何度も繰り返され、見せつけるような姿。子どもを怯えさせるのに十分な、しかし、決して危害を加えようとはしない挙措。何より、ポルクとマルクが何者か知っている…」

リーザス像の塔内にはまだ魔物は生息していますが、もちろん、 マルチェロに襲いかかろうなんて了見を起こす命知らずは一匹もいません。

でも、時折すみっこで

「ぼ、ボクは立派なアークデーモンになるために勇気を見せるんだっ!!」

って顔をしたミニデーモンが

「め、めがんてー…」

とか小さく呟いては、 一瞬で眼殺され てたりするばかりです。

マルチェロの名誉のために付け加えておきますが、別にマルチェロは無用の殺生をするつもりなんてこれっぽっちもありはしません。

ただ、 声のした方向を反射的に向いただけで相手が死ぬだけの話 です。


残念ながら、 これが魔王の業というもの なのでしょう。

彼は一応生まれは人の子であった気もしますが。




ヒーッヒッヒッ

見上げると、確かにポルクとマルクの言うとおり、 長い杖みたいなモンを持った背の高い奴 がいます。

そして、マルチェロとて忘れもしないドルマゲスの姿であるように見えます。




「…」

マルチェロはですが、彼の最愛のオディロ院長を殺した男への殺意を抑え、ゆっくりと深呼吸します。




「…魔力は、杖か…」

冷静になって、相手の放つ魔力を感知します。

本体部分からはほとんど魔力は感じられず、手にする杖からだけ力が感じられます。

まあ、経緯を考えれば当然ともいえますが、それが発する力が邪悪なものとは感じられません。


「…」

マルチェロはしばし沈思黙考し、そしてまた階段を上ります。

一旦外に出ると、再びドルマゲスらしき姿です。

それはこちらを向くと、 ニタリ と笑ってから、 常人ならおしっこチビりそうな顔で睨みつけて きました。


「…フン。」

ですがもちろん、マルチェロに効くはずもありません。

ドルマゲスらしき姿はそれを確認したのかしないのか、塔の最上階に消えて行きました。




コツコツコツ

リーザス像の塔の最上階への階段を登りながら、マルチェロは腰にさした地獄のサーベルに何度も触れます。




最上階。

魔力によってか、消えぬ灯りに照らされた、柔らかな笑みを浮かべた瞳のないリーザス像の斜め前には、マルチェロを見つめるドルマゲスらしき姿。

いえ、マルチェロの希代の記憶力をもってしても、それはドルマゲスそのものの姿です。




「…」

すらり

マルチェロは地獄のサーベルを抜きます。

それに合わせるように、ドルマゲスらしき姿も杖を振り上げ、なにやら呟くような面持ちになります。




ずい

ドルマゲスらしき姿が一歩踏み出そうとするのに合わせ、マルチェロも歩を進めます。

そして、向こうが、急に踏みこんでこようとした瞬間。

マルチェロは 鋭い風を感じました。




後ろから。






2010/1/10




みなさんきっといろいろとお忘れだと思われますが、マルチェロはこの村では「アンジェロ」で通っています。
そして、ポルクとマルクはリーザス村自警団員として「マルチェロ長官」に忠誠を誓う身です。
裏の「王を殺せ!」では反逆者の方に立派に加担してたのにね、少年たち。

しかし、リーザス像の塔ってイベント多い塔ですよね。こないだ3度目クリアしましたが、都合3回もリーザス像を拝観できるって…かなり飽きます(微妙に構造がややこしいんで迷うし)特に最後のオーブ集めは、ほんっと 作業 で、心踊らなかったな。リメイクではイベントを。
オーブとるたびにミニムービーをっ!!
せめて「なかま」でコメントを入れてくれ。
暗黒神倒すために行きたくもない町めぐりしてるのに、なかまたちに寄り道扱いされたんじゃ僕たまんないよっ!!

そして 結末予測アンケート まだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




十面埋伏 その一へ


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