尋問 その一
ビミョーに刑事モノ?(ペル4をそう呼ぶのは間違ってるとは思いますが)にハマっておきながら何ですが、基本ミステリーとか、金曜サスペンスとかを全く見ない人なので、テレビの中の刑事さんがどうしているかすら知りません。
実際に尋問にはカツ丼は出るのでしょうか?
教えて克哉さん！！
ククールはテーブルに不遜な肩肘をついた姿勢で、自分を囲む小山のような聖堂騎士たちを見上げていました。
「そろそろ本当の事を話してもらいたいものですが。」
「言ってるイミが分かんないね。」
大仰に両手を上げて、薄ら笑いながら首を横に振ってみせます。
聖堂騎士たちはヒソヒソと言い交わします。
そして、その中でも隊長らしき男がククールにもう一度声をかけます。
「暗黒神を倒し世界を救った勇者の一行であるあなたが、このような女神をも恐れぬ所業に関わっているとはこちらも思いたくないのです。」
言葉は丁寧ですが、ククールに向ける瞳にはまったく好意が感じられません。
まあ、それもそうでしょう、聖堂騎士とはいえ、ククールとこの男はまったく顔見知りではないのですから。
ククールがマイエラにいた時の、いわゆる古馴染みの騎士たちは、
例のゴルドのアレ
でほとんど死に絶えてしまいました。
まあ、マルチェロに付いて行くことにしてしまった時点で
悪の道
に踏み込んでしまったのは自業自得と言えなくもないですが、それはそれとして、ククールだって顔見知りの彼らの為に祈りを捧げてやるくらいの哀惜の情は持っています。
まあともかく。
例のゴルドのアレ
のせいで、兄についてゴルドにいた聖堂騎士の幹部類はほぼ全滅し、
兄に役に立たないと判断されてマイエラに置いてけぼりをくらった面々
は、まああの体たらくでは当然というかとっととクビにされました。
よって、今の聖堂騎士を名乗るメンバーには、かつてククールが知ってた者はほとんどいません。
暗黒神を倒す旅が終わりを告げニノが法王になった時にククールは、
「聖堂騎士団長にならないか。」
というお誘いは受けましたが、
神速で却下
した理由の末の方の一つにはソレがあります。
まあ、ホントの理由は他にたくさんありますが。
「さっきから、マルチェロ、マルチェロ言うけどよ。
ショーコとかあるワケ?ショーコとか?」
そしてククールは
居直ったふてぶてしい笑み
を向けてみます。
まあもちろんククールだって内心はドキドキしてはいますが、
マルチェロに説教し続けられ歴十うん年
の彼です。
居直りにかけては超ベテラン
です。
ククールは、聖堂騎士たちがまたヒソヒソしている間に、
ちらり
と扉を盗み見ます。
ゼシカはもうリーザス村に着いて、兄にこの事態を伝えられたでしょうか。
村人たちは本当に黙りとおせるでしょうか?
コトがバレれば、彼一人の問題では済みません。
アルバート家や、下手をするとトロデーン国をも巻き込んだ大問題になるのです。
そして、考えたくないことですが、
マルチェロは再び大魔王化する可能性
だって十分にあります。
「ふう」
ククールはそっとため息をつきます。
もう何十万回と思ったことですが、
どうして自分と兄とはフツーの兄弟としていられないのでしょうか?
別にそんなに大層な事を望んでいる訳ではないのです。
ただ兄と、そして親しい人たちと幸せに穏やかに暮らしたいだけなのです。
「ああ…」
そしてククールはため息をつきます。
「やっぱ、オレが世紀の美青年なのが悪いんだよな。」
そしてもう一度、
「はふう」
とため息をつきます。
この期に及んで懲りない、顔とイカサマだけが取り柄のこのロクデナシ
のことはとりあえずさて置きましょう。
聖堂騎士の一人が扉から外に出て、そして戻って来た彼は一人の女性を連れていました。
「…」
一応余裕の表情は保ちましたが、ククールの背中にひっそりと冷や汗が流れます。
赤紫色
なんてビミョーな髪の色をした
一見愛らしい天ボケ占い師風の彼女
にククールは
バッチリ見覚え
がありました。
「確かにマルチェロと一緒に居たのはこの人です。ククールさんです。」
キャワイイ声
でそう断言した彼女は、更にこう続けました。
「人違いの可能性?あり得ません。
こんな美青年、他に絶対いませんから。」
やっぱりオレの、一目見たら二度と忘れられない世紀のビボーは罪だったよっ！！
とりあえず、
ようやく本当に「美しさは罪」な事態になって
良かったですね、ククール?
２０１０／１／１８
占い師?という人は、パルミド編辺りを復習して次回に臨むように。
そして
結末予測アンケート
まだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。
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