占い師の彼女は言います。
「はい、わたしの
良心と信仰心にかけて
誓います。この人は間違いなく、パルミドでマルチェロという特級犯罪者といました。
あのデコを見間違えるなんてあり得ません!!」
ククールは自らの美貌と共に、
口には出さない方が良い何かを呪い
ました。
「ククール殿、イルマ嬢はこう証言していますがね?」
占い師の彼女は「イルマ」というようです。
まあまずカタく偽名でしょうが。
「へえ…イルマちゃん、オレと会ったんだぁ。ま、オレ、冒険の最中にパルミドにも行ってるしさあ。で、君が言うように
オレがマルチェロと一緒に仲良くパルミドにいた
としてさあ、君と会った時に、
君、いったいナニしてたのか、ぜひ聞きたいなあ?」
みなさまとうにお忘れでしょうが(2年は前の話ですから、ええ、リアル時間でね)、ククールとイルマがパルミドで出会ったのは、
彼女が人身売買に加担していた
からなのです。
それの調査をしていたヤンガスと、そして
確か観光旅行だったはず
のマルチェロとククールがひょんなことから出会い、そして
彼女の正体
なんぞを見てしまったわけです。
しかしまあ、
「アバヨ」
なーんて
カワイイ女の子(天ボケ属性)にあるまじき台詞
を吐いて退場したはずの彼女が、まさか今更、聖堂騎士と共に現れるとは。
悪い事態には敏感なククールですら微塵も予測できません
でした。
「わたし…」
イルマの目に
水晶のような涙がみるみる盛り上がり
ました。
「わたし、なんてバカだったのでしょう!!」
そして、手で顔を覆って、
シクシクシクと音を立てて (擬態語ではありません、本当にそういう音が立ったのです)泣き伏しました。
じー(ククールを咎めるような視線)
聖堂騎士たちからのそんな視線がククールに集中します。
なぜって?
そりゃ、
女の子を泣かせる男、即ち、悪
だからですよ、決まってるじゃありませんか?
みなさんだって、ふと行きあった男女二人を見ていて、二人が何か会話していて女の方が泣きだしたら、
男が悪い
と
直感
するでしょう?
それと一緒です。
うわ、またオレのビボーが女の子(悪属性)を泣かせちまったよ
ですが、ククールは、まだそんな事を考える余裕がありました。
イルマは、そっと手を離し、
「いえ、泣いてる場合じゃないですね。
わたし、本当のことをきちんと話しますっ!!」
と
超けなげな表情
で決然と言い放ちます。
「わ、わたし…」
それでも少し言い淀み、そして、
再びシクシクと音を立て
ます。
「イルマ嬢、無理は…」
聖堂騎士の一人が、
見かねたように言葉を挟み
ますが、イルマは再び顔を上げ、
健気さの権化のような顔を上げ
て、
「大丈夫、わたし、言えますっ!!」
と叫びました。
じー(ククールを咎めるような視線)
聖堂騎士たちからのそんな視線がククールに集中します。
ナニこの、モテない男がモテ男に向ける嫉妬の視線みたいな視線?そりゃオレ、世紀のモテメンだけどさ?今回、まったくカンケーないじゃん?
いろいろとずうずうしい思い方ではありますが、まったくそのとおりです。
今回は(彼にしては珍しく)ククールはまったく悪くありません。
「わ、わたしがバカだったんです…
わたし、利用されてたんですっ!!」
そしてイルマは延々と、
とてもか弱いかわいそうなわたしがいかにして不幸な運命に翻弄され、そして悪の道へと引きずり込まれていったか
を
涙ながらに切々と
語り続けました。
まあどこまで本当かはとても怪しいものだと、基本、カワイイ女の子には甘いククールでも思いましたが、
聖堂騎士たちの顔は完全に信じ込んでいる顔
でした。
コレだから女に免疫のない筋肉ダルマどもはよ
ククールが話し半分に聞き流していると、最後にイルマは、
「そんなかわいそうなわたし
の事情なんてまるで酌量せず、あのマルチェロというデコい男は、
わたしに恐ろしい殺気を放ちながら刃を向けた
ので、
わたしは弁明することも出来ずに逃げるしかなかったんです!!」
とシメました。
「…と、イルマ嬢は言っているが、事実と相違するかね?」
「事実としては相違ありません。」
哀しい事ですが、まったく事実ではありました。
2010/1/23
カワイイ女の子って、
泣いたら許される
という必殺技があっていいなと思います。
そして
結末予測アンケート
まだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。
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