ぶっちゃけトーク その三

結末への道は見えているのですが、辿りつきません。
関西人ぽく例えれば、通天閣の先っちょは見えてるんやけど、荷物重い上に道がゴミゴミしてるし、他にも美味しいたこ焼き屋とか寄るつもりやし、友達に写メ送るって約束したからその場所は通んなきゃいかんし、やから真っすぐいけへんねんーっ!!
とか、そんなカンジです。

良く分かりません?









神鳥の杖を突きつけられても、マルチェロは僅かに眉を顰めただけで激痛を顔には出しませんでした。

「空惚ける。何をですかな?」

相も変わらず不遜なマルチェロです。


ニノ法王は、哀しげな顔で言いました。


「『背教者であるということより、私が貴方を裏切った事が気に食わないのだ。』

そう言うたな、マルチェロよ。確かにな…そなたに裏切られたのは辛かった。 儂はそなたの事を愛していたのでな。」







え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛




声にならない 驚・愕っ!! の叫びが木霊しました。

ククールはもちろん、エイタスも口をパクパクさせます。

とりあえずクラビウス王も驚いたようですし、秘書官のレベッカも「あらあら、このお話はそういう展開アリでしたかしら?」と呟きます。

聖堂騎士ずも、 そういうのはアリで有りますかっ!? という顔をして、彼らの至尊の君を見つめます。




「儂は見た通りの醜い小男じゃからな。 そなたのような美丈夫が羨ましかった し、 それに傅かれるのは快感であったものじゃ。」


「オレの兄貴がーっ!!」

はやぶさの剣改を手にじたばたするククールを、エイタスを押さえます。


「落ち着きなよ、ククール。どうやら、 君が想像している意味ではない みたいだよ。ほら、だって言ってる当のニノ法王とマルチェロさんが平然としてるもの。」


確かにその通りです。

マルチェロにもまったくうろたえた気配は見えません。

「まあ、マルチェロさまはそれほど、聖下にお可愛がりされていらしたのですか?」

奥さまだって、 まったく気にしていらっしゃいません し。




「ふふん、私を 犬のように飼い慣らせた とでもお思いで有ったか?」

「違うもんっ!!兄貴は猫系なのっ!!プライドの高っけー、黒猫なのーっ!!」

「ああっ、もうっ!! 君の方がよっぽど妖しい よ… ものすごく今更だけどっ!!」


「飼い慣らせた…か、確かにそう考えていた事を否定はせぬよ。野心は天をも衝くほど高いが、儂の引き立てなしではどうともならぬ。ならば儂が引き立ててやろう…そう思いあがっていた事を否定はせぬ。」

ものすごく喧しい周囲の雑音 を物ともせず、ニノ法王とマルチェロは語ります。


「そして、その思い上がりは、私の裏切りによって、完膚なきまでに打ち砕かれた。」

「…然り。」

ニノ法王は、沈思します。

そして、瞳を見開きます。


「じゃがな、儂は見誤っておったよ。儂を引きずり落としただけでなく、 まさか、至尊の身たる法王聖下まで弑し奉るとは思わなんだっ!!」




ざわ…ざわ…ざわざわ…

先ほどよりもざわめきが大きくなりました。

ええ、当然です。

法王庁は、先の法王の死は「事故死」としてして発表していません。

なぜって、それは当然でしょう?

どこの世界に、先の法王を殺した男が法王になるという法があるというのです?




「…」

クラビウス王に驚きの色は見えません。

おそらく、トップシークレットとして、聞かされていたのでしょう。

もちろん奥さまも、改めて驚きはなさいませんが、お顔に不安の色が濃くなります。




「…」

エイタスも黙ったままですが、非常に不安そうな表情になっています。

なぜって、そりゃあそうでしょう。

これほどの極秘事項を、ただの聖堂騎士や、サザンビークの近衛兵のいる前で当の法王が語ってしまっているのです。

とんでもない事態、ですよ?




「次の法王の座を狙っていたのは、貴方も同じであろう?」

「聖下の御万歳を待っていなかったとは言わん。じゃが、 自ら弑殺奉らんなどとは、考えた事すら無いっ!!」

ニノ法王は激昂します。


「神聖にして不可侵なる法王聖下の玉体を、畏れ多くも弑逆した貴様を、新たな法王の身として許す訳には行かぬのよっ!!」

そうして神鳥の杖を振り上げるニノ法王に対し、マルチェロは聞き腕を地獄のサーベルへとのばし掛けましたが、ほんの僅か、顔をしかめて、その手を止めました。




「何で抜かねーんだよ、兄貴。もうこうなりゃ、いざとなりゃ奥さま連れて駆け落ちするつもりで、暴れるしかねーだろ?」

救世主の一行としては穏やかならぬ台詞を吐くククールに、エイタスは言います。


「…マルチェロさんは、抜けないんだよ。」

「何で?」

「…僕がさっき、マルチェロさんの腕に入れた一撃が、相当効いてるみたいだから。」





2010/5/16




ニノたまは、先の法王のことをどう思っていたのか。
まあ、後釜狙ってたみたいですが、それなりに人柄は尊敬してたんじゃないかと思ってます。世の中そんな奇麗ごとじゃ乗り切れないとか思いつつ、その高潔さを敬愛してたとか、そんな感じ。
ウチのニノたまはマルチェロにほれ込んでみたりと、自分にないものを持ってる人を割と盲愛しちゃうタイプみたいです。まあ不憫。

そして 結末予測アンケート まだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




判決を下す その一へ


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