判決を下す その一

ホントの本気でアロマルの続きが浮かびません。
女神さまが、この話を終わらせることをお望みにならないかのようです。
だったら終わらせないでいいかなーとも思うのですが、 中途半端な状態で投げだすくらいなら抹消する タイプの人なので、アロマルを抹消するよりは書き終える方を選びたいと思います。

と言いながら、ある日、アロマルがきれいに消え去っていらゴメンなさいね。









「どういう事だよ、エイタス!?」

驚くククールに、エイタスはリーザス像の塔での対決を語りました。

怒りのあまり自分に斬りかかってこないかと、エイタスは一瞬危惧したのですが、ククールはため息をついただけでした。


「…怒らないの?」

思わず、エイタスの方から聞いてしまいます。


「…いくらお前から仕掛けたもんでもさ。 兄貴相手に全力で行かなきゃ、返り討ちにされるのは分かり切ってるもんな。」

「そんなもの分かりいい事言うなんて、何か悪いものでも食べたの!?」

エイタスは思わず、そっちの方を心配してしまいました。




「…クラビウス王は別にお前があっさりと兄貴を殺せるたぁ思ってなかったんだろうさ。」

「…」

「まんまとワナに使われたな、エイタス。」

「…」

エイタスは ククールごとき にそう言われたことが不本意でたまりませんでしたが、この展開を鑑みるに、返す言葉がありませんでした。




「この杖を手にするとな、伝わってくるのじゃ。この杖に貫かれ命を落とした先の法王聖下のお嘆きがの。」

ニノ法王は神鳥の杖を高々と掲げます。


「オディロ院長の親友であられたから、其方を善き方向へ導こうとなさった法王聖下。」

「貴方が言うか、ニノ法王?」

マルチェロが皮肉めいた言葉を返しますが、ククールならずともその皮肉にキレがないことは皆が気付きました。





マルチェロとて、自分の言葉が屁理屈以外の何物でもないと知っているのでしょう。

あの時は自分の野心に目を塞がれていたにせよ、彼にはゆっくりと考え直す時間がたくさんあったのですから。




ニノ法王は、祈りを込めて十字を切りました。

もちろんそれでグランドクロスが発動したりはしませんでしたが、


「マルチェロ。」

その言葉は、マルチェロにダメージを与えたかのようでした。




「法王ニノの名の元に命じる。死ね。」




「…話が違いますぞ?」

クラビウス王が僅かに驚いたような顔でニノ法王に話しかけます。


「確かに死体をそちらに引き渡すとは申しましたが、マルチェロの処刑自体は…」

「クラビウス王、儂は女神から天啓を受けたのじゃ。」

「…」

クラビウス王は、ニノ法王の正気すら疑いそうな顔になります。

確かに、ニノ法王の目には、何か理性とは別のものが宿り始めていました。




「女神が望まれたのじゃ、其方の死を。だから其方はこのゴルドの地に居る。」

ニノ法王は、マルチェロを見据えます。


「思い至るであろうっ!?」

「…確かにな。」

マルチェロは小さく呟きました。




「…確かに、そうかもしれない。」

エイタスも呟きます。


「何がだよ?」

「女神さまがマルチェロさんの死を望んでいるって話。」

「何で女神さまが兄貴の死を望むんだよ!?」

そう言うククールですが、まあいくら彼だって、 まあそりゃ兄貴はあんだけのことはしたけどさ とは思っています。


「…クラビウス王がどこまでそのつもりだったのかは分からないけど、ニノ法王とどこまで密約ができていたのかは分からないけど…」

「ど?」

「マルチェロさんがゴルドに来たのは『偶然』の筈なんだよ。」

「…」

「だってさ、僕とマルチェロさんが戦うかもしれないって所までは予測できても、どうして僕がマルチェロさんをバシルーラするって分かる?しかも、 飛んで行った先がゴルドだって分かる? 呪文を放った僕ですら、マルチェロさんがどこにいくかなんて、予測もつかなかったんだよ!?」


「…おいおい、エイタス。」

ククールは無理に、軽い口調を装いました。


「な、何だよ。だったらよ、 今のこの状況全てが、女神さまのお導きだとでも言うのか?」

ははは。

ククールは無理に笑いましたが、エイタスは笑い返しませんでした。









聖堂騎士たちが、剣を抜きました。

クラビウス王は諦めたように手を上げ、それに応えるように、サザンビークの近衛兵たちも聖堂騎士たちの周囲に散開しました。




「ま、マルチェロさま?」

マルチェロは、アローザ奥さまにかけていた手を解き、両手を宙に上げました。




「用心深い配置だ。」

マルチェロは微笑みます。


「だが、其処まで厳重に包囲して頂かなくても構わん。私の利き手は傷を負っている。」

彼の利き手は、微かにぶるぶると震えていました。




「観念したようじゃな。」

「そんなに何度も同じ事を繰り返し頂かなくとも、記憶力は良い方だ。」

マルチェロはそう言うと、効き腕とは逆の手で、アローザ奥さまをククールたちの方へ突き飛ばしました。





2010/6/13




一気に話が進んだ。

そして 結末予測アンケート まだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




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