判決を下す その三

昨日、胃が張り裂けそうなほど山ほど食べたので、胃の調子が悪いです。
最近、平日はものすごく忙しくて寝る暇もなく、休日はその反動で一日中寝てばっかです。
なんとか、この時間配分を上手にしたいなあ…









「貴女の御心をこの下僕が推し量ることは出来ましょうかのう?」

おやおや、いきなりどうしたというのです。

ふふふ、そんなに困った質問をいきなりされても、ね。




「貴女を

『困らせる』

などと言うことが、人の子たるこのワシに出来ましょうかの。」


あらあら、貴方にしては珍しく皮肉の籠った物言いですね。

マルチェロに似たのですか?

子が親に似ると言うならともかく、親が子に似るなんて、困った人です。









まどろこしい言い方などせずに、はっきり仰いなさい。









「もはや死したこの身、今更恐れるものなどないもの。では問いましょう。」

「ええ、どうぞ。」




「ワシが死したあの夜のことです。ワシは申しました。

『案ずるな マルチェロよ。ワシなら大丈夫だ。……だが 罪深き子よ。それが 女神の御心に反するならばお前が何をしようと ワシは死なぬ!』

と。」


ええ、言いましたね。




「…そしてワシは今、こうして貴女のお膝元におります。」

不服でした?




「いや、ワシの死が貴女の御心であったことに異論を唱える訳ではないのです。ワシはもうとうに年寄りでしたからの。遠からず、貴女はワシを人の世界からお連れ出しになられたでしょうから。」

で?




「あの子が死ぬのだとしたら、それは貴女の御心なのですか?」



ふふふ。

不思議な問いですね。

貴方も知っての通り、彼は許し難い大罪人ですよ?




「貴女はいつでも、あの子を罰する事が出来ました。そう、ゴルドのあの場で、あの子は奈落に呑まれていることが自然だったのですぞ?」

あらあら、そう言えばそうですね。

まあ、彼はしぶとい人の子ですから。




「深手を負って、それでも生き延び、逃げ延びたのですぞ?」

本当にしぶといというか、何と言うか。




「あの子を生かしてきたことで、貴女はあの子に何を見ようとしていらっしゃるのですかな?」











ご覧なさい、人の子の世界を。

おやおや、本当に彼はいつも騒ぎばかり引き起こすのですから。




ねえ。

運命とか言いますけれどねえ。

御心とか言いますけれどねえ。





本当に判決を下すのはいつも、我ではないと思わないのですか?






2010/7/11




毎度ながら、まどろっこしい物言いが好きな方です。




人の子 その一へ


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