いまはむかし その一

竹取の翁といふものありけり…
っていうのが、一つの伏線です。









我の昔話をいたしましょう。

え?

何億年前の話 かって?

ほほほ




あんまり我をナメると、地獄の業火の中で無限の苦悶を舐めることになりますよ?




まあ…

ま、 億までは行きませんね、億までわっ!!







コホン。

まあ、我が若かったころの話です。

いやですね。

もちろん、今でも我は若いのですよっ!?

ええ、 今でも若い 我が、まあ…そうですね。


そう… ぴっちぴっちの青臭い小娘であった頃 の話です。


ほらね。

そりゃ年を重ねていなければ若いとは言えましょうけど、 人には成熟して行く美しさというものが…



そこっ!!

なんですか、 なまあたたかい笑み を浮かべてっ!!



え?

年を重ねるほど美しくなるのは、 美しい女性として当然 だ、と。


ふふふ、 若くして死した人の子の割に、よく分かっているではないですか?


え?

ウチの奥さんがそうだから。


はいはい、ノロケは結構です。


なになに?

第一、 あなたは人の子の身ではないだろう って?


おっと、そうでしたね。

ふふふ、あまりに長く人の子と関わっていると、我も人の子である気がしてきますよ。




えーっと、何の話でしたっけ?

そうそう、 今も若い我 が、更に若く ピチピチギャル であった頃の話でしたね。





…ちょっと、そこっ!!

生温かい笑みもムカつきますけれど、 全てを達観したような笑み もまた、 ものっすごいムカつく んですけれど。




いくら聖者だからって、我をナメてんじゃないですよ!?




は?

それは邪推だって?

いいから早く話の続きをして欲しいと。

ここでは時は無限かもしれないけれど、人の子の時は有限、いや、一刹那しかない。


あの子が地の極に堕ちきってしまう前に

ですか。




そうですね。




ココホン。

では、 今もじゅうっぶん若い我 が、更に若く ぴっちぴっちムチムチぷりんのぎぃゃる であった時の話です。







我は、我のいた世界を見回っていました。

我は我の使いであるラー…


じゃなくて、ええと、この世界では何と言う名で呼んでいましたっけ?

ええ、そうですね、この世界ではレティスと呼んでいたのでした。

レティスに乗って、世界を見回っていた時に、我は、その世界に を見つけました。


それは、「悪」と呼ぶにはあまりに些細なものであったかもしれません。

でもその「悪」は、意外に根深くその地に根を張っていました。

我は一度は見逃したのですが、次第、次第にその「悪」は成長し、看過できない程育ってしまったのです。


そして我はどうしたのかって?

ええ、我は若く、だから思い切りが良く、何より潔癖でしたからね。




思い切り良く、全てを聖なる水の底へと沈めてしまいました。




ほら、お掃除だって、どうしようか迷った時は、 全部捨ててしまうと気分がスッキリ するでしょう?




2010/8/14




拙サイトのこのお方は、ククールより更に外貌にこだわりますが、なんかコンプレックスでもあるのでしょうか?
まあこのお方は、天界の方々のなかでも指折りの美しさを誇るそうなんですが。




いまはむかし その二へ


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