我、汝の手を取る事叶… その一

11月末まで、ロクに一日空かないです。
そして平日夜は常に帰って寝るだけの多忙さ…女神よ、 文化的で健康的な生活は、日本国憲法で日本国民に保障されてはいなかったでしょうかっ!?









ぽっかーん


先ほどのマルチェロの言葉への反応より、更に唖然とした雰囲気が一同を支配します。

言葉としては、 明らかに元気に生きているように見える マルチェロの

「私はもう生きてはいないのだ、マダム。」

という、 あたかも禅問答のような言葉 (あら、自分で言っておいて何ですが、「ゼン」とは一体何なのでしょうね)よりは 遥かに分かりやすい のですが。








「マルチェロ、意味を図りかねておる者が余りに多い。今少し詳しく説明せよ。」

ただ一人、すぐさまその意味を理解したニノ法王が、表情を変えずにマルチェロに言います。

マルチェロは、ニノ法王にそう促されたことは嫌そうでしたが、言葉通り、自分の言葉の意味を詳しく付け足します。




「意味を図りかねるも何も有りますまい。言葉通りの意味です…私を地上には置いては置けぬ。 但し、私は一人で女神の御許に召されずとも構わない。」

そしてマルチェロは、自分の手にお手を重ねられたままのアローザ奥さまから、 礼儀正しくも決然と 自らの手を離しました。




「マルチェロさまっ!」

僅かに咎める口調の奥さまに、マルチェロはその緑の瞳を


ひた

と向けます。




「私の手をそう易々と御握りあるな、マダム。」

そして、突き放すような言葉を発します。


「マルチェロさまっ?」

先ほどよりお声が大きくおなりになる奥さまに、マルチェロは続けます。

「先程申し上げましたな。私が女神に賜った選択を。そう、 『あなたも、女神も御許に御連れするかという選択』 の事を。」

マルチェロは己が手を、アローザ奥さまに示します。


「貴女を御連れするかどうか、選択権を持つのは私だ。私のこの手が貴女の手を握れば、私は貴女を共に女神の御許に御連れする事が出来る…」

マルチェロの声が低まります。


「仮令、貴女が拒絶なさってもな。」







しん

今度は、全てを理解したが故の沈黙が一同に走りました。













しばし






「兄貴の行く所なら、オレ、どこへだって行くよーっ!!」

と、 どっかの誰か (いちいち明示せずとも分かりますね?)が、 猛ダッシュ して、マルチェロの手に 猛タックル を行いました。






「ビデブバっ!!」

北斗の拳の中ボスのごとく(あら、二度目ですね、これ。ほんと何なんでしょう「ホクトノケン」って?) 奇声を放っ て、 どっかの誰か (いちいち明示せずとも分かりますね?)が、 ゴルドのどこまでも続く空を舞い上がり ます。












とことことこ

エイタスが 足取りからしてやる気なさそう に、 どっかの誰か こと赤銀の生物つまりはククールの吹き飛んだ先に歩み寄り、 ホイミ を唱えます。

ええ、 ベホマでもベホイミでも、当然ベホマズンではなく わざわざ ホイミ を唱えたのです。





「あのさ… 空気としてはスルーすべき なのは分かってるけど、さすがに 見ててかなり痛々しい から言うけどさ…」


「う…うう… 兄貴の愛が痛い♪」


エイタスは、舌の上にのせかけていた 落ちぶれてしまったものの、かつては命と使命を共にした戦友への忠告 を喉の奥へ呑み込み、すぐさま 人生の伴侶を選ぶという重大な選択を確実に過ちかけている、かつては命と使命を共にした別の戦友を、婚約破棄によって救済するための説得の言葉 を代わって舌の上へと用意したのでした。










2010/11/7




久々にエイタスが喋った。
ククールの残りHP、多分42くらい。




我、汝の手を取る事叶… その二へ


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