Touch My Lips

久々の拍手コメントを貰って とても嬉しかった ので、チョーシのってもう一本番外編









出入りの化粧品屋に、今回の注文をなさる奥様を見て、 奥さまの最愛のナイト が言いました。



「失礼ですが、マダム。ルージュは御注文になられないので?」


奥様はお答えになります。

「マルチェロさま、わたくし、夫を亡くした身でございますので、ルージュはつけないことにしております。寡婦がきらきらしく装うのは、不謹慎というものでございましょう?」




マルチェロは、 とても残念そうな顔 になると、言いました。



「そうですか…確かに、ルージュを御付けになった御姿は拝見したことがありませんでした。ですが、 とても残念 です。 貴女には深紅のルージュがとてもお似合い と思っておりましたのに。」





マルチェロのその言葉に、 奥さまの心はメラミ並みに燃え上がり ましたが、奥様は淑女の誇りで、なんとかそれを押し隠しなさいます。




「まあ、まるちぇろ さま。わたくし もう そんな いろ が にあう とし では ありません わ。」

奥様は、平静を装った 超不自然な棒読み科白 で対応なさいますが、マルチェロは 奥様のはしばみ色のお美しい瞳をその緑の瞳でじっと覗き込み


「少しでいいので、お付け下さいませんか?」

有無を言わせぬ艶めいたバリトンで 言いました。





「は、はい…」

蚊の鳴くような声で了解なさる奥様に、マルチェロは クリムゾンのルージュを手ずから引き ました。












奥さまの麗しい唇に、甘い恋の感触が…













「よくお似合いです、マダム。」




マダムは、鏡でなく、 深い森色の瞳 に、ご自身の姿が映るのをご覧になりました。














「あ…いけません、マルチェロさ…ま…」















ちゃーらーらーらーらっちゃっちゃー




奥様は、いつもの安楽椅子でお目ざめになりました。




「いやだわ、うっかりまどろんでいたようで…」

「奥様、化粧品屋が参りました。」

なんともタイムリーに メイドが告げました。





何故か、マルチェロを始めとして、奥さまの家族一同(銀色の生物含め)が広間に集まる中、奥さまは 夢と同じように 化粧品を注文なさいます。




「あれ?奥様…じゃなくて、おかーさま。ルージュは注文しないんスか?」

夢とは微妙に違い、 赤銀の生物が質問します。


「おかあさんは、お父さんが死んでから、ルージュは付けない主義なの。」

そして、奥さまが答えない内に、我が娘が返答します。




やっぱり夢の通りにはいきませんわね。

奥様が微妙に内心ガッカリなさっていると




「でも、付ければいーのに。あたしが小さい頃…お母さんが正装してて、 真っ赤なルージュをつけてた 時があったけど、 おかーさんてばすごくキレーだった のに。ね、 どう思う?マルチェロ?」




グッジョブ!!我が娘ッ!!

奥様は、心の中でそう叫びなさいました。






どきどきしながらマルチェロの様子を窺うと、

「真赤なルージュですか?」

マルチェロは、 夢と同じように奥様をじっと見つめ そして、ゆっくりと答えました。









「私は、派手な化粧は好みません(どきっぱり)」


「…」




そして、 奥様が心の底からガッカリなさっているなどとは夢にも思っていないだろう表情で



「化粧というのは、身だしなみと同じ。清潔で上品であるものであり、今のマダムの装いで十分だと思われますが。」

と、 超ソツなく まとめましたとさ。





終わり




2007/7/10




マルチェロって、憧れてる分にはいいんでしょうが、うっかり彼氏にしてしまうと、 耐えがたいほどムカつく男のタイプ ですよね?
まあ、マルチェリストの皆様には、今更の言葉でしたか。

ちなみになにが“ある意味際どい”かと云うと、唇というのは、あの形状とかもろもろから 第二の性器 であり、つまり奥さまのあの夢は、本当はマルチェロに唇でなく…

なーんて精神分析の本を奥さまに読ませたら、奥さまはきっと二度とマルチェロと顔を合わせようとしない でしょうね。
DQ世界に精神分析がなくて、本当に良かったです。

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