彼は何故勇者の肩書きを捨て、女神に反逆するに至ったか

ジョギングしながら こんな兄はイヤだ!! ネタを考えていたら思いついたネタ。

開発者さま、キャラクターを試しまくる。









「わたくしの慈悲は通じたようですね。さすが世界を救ったククール、兄とも仲良く旅が出来ているようです。まこと、喜ばしい…」

囁く、声。


「いと高き方、我は考えます。ククールが兄を許容出来ているのは、兄が己が理想の兄であるからです。 兄が彼の理想から離れたら 彼が貴女さまに感謝するか…」


「…分かりました、では、汝に任せましょう。 彼がいかなる兄であっても許容するのか 否かを。」


「…お任せを…我、愚考いたしますに、かの弱き人の子は、貴女さまを恨み、 世界すら滅ぼさん と致しましょうに…」


低い、笑い声。


















「食らえ!!忌まわしき魔物めっ!! 死神の鎌っ!!」


優美な動きで一振りされたマルチェロの死の刃が、おどろおどろしい魔物の命を無慈悲に刈り取る。



ボストロールAの息の根を止めた

ボストロールBの息の根を止めた

ボストロールCの息の根を止めた…




「ふん…他愛もない…」

刃の血のりを落し、事も無げに言い放つマルチェロ。


「さっすが兄貴♪ボストロール一グループを一撃壊滅かよ!!」

心から嬉しそうに言い放つククール。



「フウ…鎌スキルはアッシの十八番でガシたがね、すっかりお株をとられちまったでガスよ。」

「厳しい敵ばかり出てくるこのダンジョンだけど、マルチェロがいれば安心だね。」




ククールと共に、元は、マルチェロの野心を止めんと戦った面々も、今は彼をパーティーの一員として信頼するようになっていた。




ぱらぱらぱっぱっぱー




「お…レベルが上がったようだな。」

「レベルアップおめでとう、マルチェロ。」




ちからが2あがった

かしこさが1あがった

すばやさが1あがった…





【▼】











「あ、兄貴、なんか新しい呪文か特技が覚えたぜ?なんだろな、楽しみ、楽しみ…」





















マルチェロは、ステテコダンスをおぼえた












え?











「おお、そういえばそんな技もあった…」


「ナニが起こったあーーーーーーーーーーー!!!!!!」







ククールは絶叫したが、マルチェロは涼しい顔だった。



「なにを驚く?」

「ココで驚かずに、一体、ナニに驚けっつーんだよ!?」

ステテコダンス か?そんなもの、 私は前々から習得している ぞ?今、レベルアップと共に思い出しただけの話で…」


「そんなの初耳です、お兄さまっ!!」

「おや、そうだったか?よく 出張礼拝先で披露 していたのだがな…寄付金集めの秘策として…」

「秘策は大人しく、お夜伽にしといてください、お兄さまっ(泣)!!!!」





ククールの叫びもなんのその、マルチェロはひさびさに思い出した ステテコダンス に喜びでも感じたのか、




「おお、次の魔物が現れたな。よし、では今思い出したばかりの ステテコダンス をさっそく試してみるとしよう。」

「やめてぇーっ!!兄貴、キャラ違うーっ!!!!!!」





















「うう…オレの兄貴の すぅえっくしーな上腕二頭筋やエロチックな背筋やコケットな腹筋や爆裂したフトモモ が…みんなみんな… 「ステテコダンス で台無しに…」




ちなみに、ククール以外の全員は時間が止まっ ていた。








かくして ステテコダンス に喜びを見出した(らしい)マルチェロは、しばらくステテコダンスを踊り続け、そのたびに敵味方を混乱させたり幻につつんだりMPをゼロにしたりといった パルプンテ効果 を発揮していた。











そして




「さ、また敵だ(少し嬉しそう)では、さっそく ステテコダンス を…」








ステテコステテコ…

アホみたいに軽快な音楽が流れる中、 無駄に優雅な体捌きステテコダンス を舞い始めるマルチェロに、






ククールにまばゆい光が降り注いだ!ククールは500のダメージを受けた。




「く、ククール?」

心配して駆け寄るゼシカ。


あわてて呪文を用意するエイタスやヤンガスを尻目に、まばゆい光を浴びたククールは、なぜか 銀色に輝くドラゴンに変身 して、魔物たちを焼き払い始めた。










「…なんで、ククールは竜に変身しちまったんでガショ?アニキなら分かりやすが…」

「うーん…マルチェロさんの ステテコダンス には、どうやらパルプンテの効果があるみたいだから、ソレでじゃないかな?」



他の三人は、 微妙にいろんなものから視線を逸らしながら 論じ合った。













戦闘後。




「兄貴っ!!頼むからもうステテコダンスはやめてくれよっ!!ついにオレ、ドラゴンにまで変身しちまったよ…兄貴の姿を見るのが嫌さにっ!!」


もう、何百度目かのククールの請願が行われた。



「…そうだな。」

「…え?」

「しばらくステテコダンス を踊り続けてみたが、確かに、 普通に攻撃したほうが効率的 だな。よし、もうこの特技を使うのはよそう。」

「愛してます、お兄さまっ!!!!」



かくして、竜にまで変身したククールの 愛と真心 が通じたかどうかは知らないが、マルチェロは ステテコダンス を踊り続けることを断念した。
















かくして、また何事もなく旅が始まった。




そんなある日。




「ついに 神秘のビスチェ が錬金出来たわね。うふふ、さっそく着ましょ♪」

「おお、ちょっと待つでガス。アッシはさっき にんじょうスキル120 で、新しい特技 インパス を身に着けやした。せっかくだから試し使いするでガス。」


「ん、いーわよ。」


神秘のビスチェ 守備力105 攻撃を回避しやすい 装備可能者 ゼシカ マルチェロ














しーん









「ふむ、守備力が105もあり、しかも回避力も高いというのなら、今私が装備している闇のころもより効果的だな。しかも、もう一つくらい錬金出来るのだろう?だったら早速 装備を変更するとしよ…」




オレの着てるメタキン鎧あげるから、どうか思いとどまってくださいっ!!!!!!お兄さまっ!!??」











「インパス…う゛…コレもでガス… バニースーツも網タイツもうさ耳バンドもガーターベルトも魔法のビキニも ぜんぶ、ぜーんぶ、 マルチェロが装備可能になってる でガス…」


「おお、私の装備可能品はそれほど多かったのか、ならば…」


「ステテコダンスにあきたらず、そ…そんなモノ着ようとするなんて…」 アンタなんかオレの愛した兄貴じゃないやいっ!!!!!!」

















ククールは、一目散に走り去った。




















太陽の光届かぬ地底の奥。

四人は進む、ただ、無言にて。




扉の奥、鎮座するのは、











「ククール…何故、世界を滅ぼさんとする?」

静かな問い。



「お前は、私の野望を止め、世界を救わんとしたのではないのかっ!?」




マルチェロの叫びに、銀の髪をした、今は人の仇と成り果てた、美しい人の子は口を開いた。




「オレは、女神の構成した世界の理を拒絶する。」



その問いへの答え。



「オレの大好きな兄貴…その兄貴を 色物キャラに仕立て果て ちまう そんな世界なんて滅びちまえっ(泣)!!」













「ご覧下さい、いと高き方、我の考えた通りです。ククールが兄を許容出来ていたのは、兄が己が理想の兄であったからです。 兄が彼の理想から離れたら 人の子など、脆いもの…」

低い笑い声が響く。


「…弱き者は人の子。」

ため息。


「我の創造したる世界の理に反逆するとは…」


「いと高き方の創造は絶対。 美形キャラがステテコダンスを踊 ろうが、 バニーシリーズを着こなし、あまつさえ、それが着せ替えシステムによってビジュアルに反映されようが それに逆らうなどとは有り得ぬ筈…でしたな。」


再び、美しい女の声が、天上の鈴のような声でため息をつく。


「仕方ありません。では、再び汝に始末を任せましょう。」


「…お任せを…」


低い、笑い声。



















マルチェロは、何かに撃たれたように、一瞬、身を震わせた。

他の三人には、それが武者震いのようにも見えた。




「ならば、仕方ない。」

マルチェロは、手にした グリンガムの鞭 をしならせた。




「兄として、私がお前に引導を渡してやろう。」


「ああ、そうしてくれよ、兄貴っ!!オレはもう、何も見たくないっ!!」

銀の髪を打ち振り、美しい人の子は叫んだ。




「ボーナスが100Pつく、バニーセットフル装備+ムチのアンタの姿なんて、オレはもう1秒だって見ていたくないんだあっ!!!!!!(血涙)」




昔、女神に背いた兄(のカッコ)と、そして今、女神に背かんとする弟(のヤケクソな表情)を、他の三人は 激しくフクザツな表情 でただ見守るのだった。





終わり




2008/8/11




DQ8-2が出て、兄貴がオマケ要素として仲間に出来るようになったら、 こんなタチの悪いシャレ が彼にカマされるのではないかと思うと、ククールではありませんが、 世界なんか滅びてしまえ と思わないでもないです。

オチが気に食わなかったので、書き直してみました。
そして余計、 スゴくいやな話 になりました。誰か、映像化してくれ…たら、イヤです、はい。
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