マリアンヌ

似合わない組み合わせ「マルチェロと赤ん坊」を無理に組み合わせてみました。
マルチェロ(とククール)が意外と子ども好きだったらという、激しくノーマルな話。
「ほのぼの」の二人が大きくなったらこんな感じ、という話なので「童貞聖者」とは微妙に設定が違います。





私にとっては、いつもの朝だった。


いつもと同じように夜明けと共に起き、
いつもと同じように服装を整え、
いつもと同じように女神に祈り、
いつもと同じように軽く朝駆けをする…




私は、マイエラ修道院の入口で私を見つめる視線に出会った。

それが、意図されたものかどうかは、女神ならぬ身に分かろうはずがない。




その小さくつぶらで無垢な瞳が、私の日常を破った。






私は、入口に置かれた…いや、より正しい言い方をしよう

“捨てられた”

赤ん坊を抱き上げた。




粗末ながら、幾重にも寒さを出来るだけ感じないようにくるまれた赤ん坊は、見知らぬ男に抱き上げられても、泣き出そうとはしなかった。

私は、余計な手間が増えなかった事を女神に軽く感謝ながら、赤ん坊が、なにか身元の証明になりそうなものを身に付けていないか探った。



紙片。

“マイエラ修道院の方に、縁のある子です。名前はマリアンヌ。”

そっけない、女の字。


だが私の注意をひいたのは、“修道院に縁”という一語だった。

こういう書き方をするからには、聖堂騎士や、修道士が世俗の女との間に作った子ではあるまいな…




“マリアンヌ”は、その小さくつぶらで無垢で、そして

青い

瞳で、私を見上げる。




私は、マリアンヌの頭にすっぽりとかぶされたフードを取った。




彼女は絹のような、

銀色

の髪をしていた。











オレはぐっすりとお休み中だった。

いつものように、オレは夜中…正しく言うともう朝だったけど…帰りで、まだ眠ってから少ししかたっていなかった。

修道院の朝は早いけど、オレにとっては早くない。
早朝のミサをサボるのはもうオレにとっては日常だし。
どうせ騎士団長どのも慣れ…てくんないんだな、あの人は絶対に。



まあいいや、とオレはぼんやりと思う。
どのみち、ミサまでまだ少し時間があるし、それまではぐっすり…




カツカツカツ
メトロノームのように正確な足音が聞こえてくるけど、オレにとっては子守唄のリズムにしかならない。

いっつも朝早くからホント勤勉だな、団長どのってば。


他人事みたいに思っていたら、バン!!とドアが開けられて、なんだ?と思ったときには、オレはベッドから布団ごと引きずり落とされていた。




「聖堂騎士団員ククール…」
いつものように、愛想のかけらもない峻厳な声。



「すぐさま団長室に出頭せよ。」
寝ぼけていたので、団長どのに早朝から呼び出される理由が思いつかなかった。



ぼんやりと団長どのを見上げると、
「十分後だ!!」
団長どのは、こちらの都合など一切考慮せず…いつもの事だけど、またカツカツと規則正しい靴音を響かせて、立ち去った。




「おいおいククール…何しでかしたんだ、今度は?」
朝っぱらから、と激しく迷惑げな…いや、迷惑だろうけど、他の団員の眠そうな声。



オレだって眠いけど、まさかこのまま寝る訳にもいかず、オレは普段の五分の一の速度で服を着替えはじめた。











「ふーむ…」
ワシは髭をひねりながら、マルチェロとククールの対話…まあ、正しく表現すると

口論

じゃろうな…を見守っていた。


そして、ワシともう一人、おお、小さくて可愛らしいレイディじゃ、も、それを泣きもせずに見守っておる。


ワシは小さなレイディ、マリアンヌというこれまた可愛らしい名前がついておるのじゃが、を抱き上げる。

マリアンヌは、ワシの髭をひっぱると、嬉しそうに笑った。
「おうおう、気にいったか。なら、好きなだけひっぱっていても良いぞ…でも、あんまり強くはやめておくれ。」

マリアンヌが節度をもって髭をひっぱっておるのを感じながら、ワシは和やかな気分…になりたかったのじゃが、生憎と目の前の二人の会話はそれを許してはくれんようじゃ。




「だーかーらー!!何度もゆってんじゃん!!オレの子じゃねえってば!!」

「戯言を!!先ほど貴様は、

『十六ヶ月から二十ヶ月ほど前に、婦人と姦淫を犯した事があるか?』

という私の問いに、

『はい』
と答えただろうが!!」


「だからさっ!!女の子とエッチした覚えはそりゃあるけど、子どもが出来るようなヘマはしてねえって!!オレ、そーゆーのにはめっちゃ気を使うから…」

「ええい!!行為が存在する以上、結果も有り得る!!」




まったく、小さなレイディの前じゃと言うのに、
「礼儀を知らん子らですまんのう、マリアンヌ。ワシの育て方が間違っておったかもしれん。」

マリアンヌは、笑顔で許してくれた…と思う。




「なんでオレの言葉、信用してくんねーのさ、兄貴!!」

「貴様に信用なんぞあったとでも思うのか!!」




このまま二人を置いておいてはラチが開かんので、ワシは仕方なく口を挟むことにした。


「いい加減にせんかい、マルチェロ、ククール。言い争ってラチが開くことでもなかろう。」

「しかし、オディロ院長、これは聖堂騎士として許しがたい戒律違反…」

「だーかーらー…」

「もうやめよ、マルチェロも、ククールも!何の確たる証拠もない事で争っても仕方あるまい。とりあえず重要なのは、この子をどうするか…じゃろう?」

「は…」

「ククールよ…マイエラ修道院修道院長として命ず。」

「…は?」

「この子の世話をすること。同じ髪の色と目の色のよしみじゃ。」

「なんでっ!?」

ワシが渡したマリアンヌを、不器用に受けとりながらも、ククールは満面に不満そうな表情を浮かべておった。


いやワシも、少々乱暴な手段だとは思うのじゃが、こうでもせんと、マルチェロが納得すまい。




「院長がそうおっしゃるのでしたら、“とりあえずは”そういう事にして、処分はまたゆっくりと…」
不満そうな言い方じゃったが、マルチェロの表情には

ざまあみろ

という色がありありと出ておった。



まったく…いつまでも子どもじゃのう、マルチェロも。











まったく、院長のご処分はいつも寛大にすぎる。

私は、不器用極まる手つきでマリアンヌをあやすククールを見ながら、ため息をつく。



そもそも女神に仕える神の剣たる聖堂騎士が、婦人と姦淫する事自体、許しがたい行為だというのに、ましてや子どもまで作るなど、即座に修道院を叩き出されても一言も文句を言えた義理ではない行為だ。


「オレの子じゃないのに…」
ククールは事あるごとに口にしたが、私も含め、他の団員や修道士もまるきり信用していなかった。

当たり前だ、マイエラ修道院に籍を置くもので、銀髪で青い目の者など、ククールしかいないのだ。

まったく、往生際の悪い…




孤児院も併設されているこの修道院では、当然のことながら子どもの世話をする役目の修道士もいるのだが、私は必要最低限以上の助力をそれに禁じていた。
さもなくばこれ幸いとククールは、修道士にマリアンヌを丸投げするに違いない。




ええい、しかし手際の悪い。
孤児院で育ち、他の小さな孤児たちの面倒も見ていたはずなのに、オムツ一つ変えられんのか、あやつは。

これだから、顔とイカサマだけがとりえの出来損ないは始末に困る。


取り替えて、そのまま新しいオムツをつけようとするな。かぶれるだろうが!!




ええい、本当に手間のかかる!!











オレは呆然と、有り得ないほど手際よくマリアンヌのオムツを取り替え、粉まではたいてやる騎士団長どのを見ていた。


いやあ、しかしビックリした。
オレがオムツ変えに四苦八苦してたら、いきなりつかつかやって来ては、オレを押しのけてオムツ替えだすんだもんな。
しかも、オレをさんざ罵りながら!!


しっかし、手際のいい事。
いや、そもそも何でもありえないほど器用にこなす人だけど、まさか赤ん坊の世話まで出来るとは思ってなかった。




「団長どのって、保父になれますよね。」
オレが褒めてやったら、ヒャダルコみたいに冷たくて殺傷力のある緑の瞳で睨まれた。


「聖堂騎士団員ククール!!」
いつものように峻厳な声だけど、赤ん坊のウンチの臭いやら、ベビーパウダーの匂いやらがする中で言われても、微妙に迫力に欠ける。


「貴様は、オディロ院長直々の命令をなんと心得る!!マリアンヌの世話を任されておきながら、この体たらくはなんだ!!」




そうして、いつものイヤミと罵声を拝聴させられたオレだった。




だったら自分でやればいいじゃんかよ!!











最初はどうなる事かと思ったが、意外と上手くいっておるようじゃ。


ククールの子どもをあやす手つきも、段々堂に入ってきおった。



しかし、マルチェロが積極的に…まあ、自分では認めんのじゃが、マリアンヌの面倒をみておるのには、ワシも驚いた。



「マルチェロよ、マリアンヌは可愛かろう?おぬしが子ども好きだったとはのう…」

ワシが言うと、マルチェロは憮然とした表情で答えた。

「弱き者に救いの手を差し伸べるのは、聖堂騎士としての義務です。」



なんというか…素直でない子じゃのう。




しかし、本当に、マリアンヌはククールの子なのかのう?
ククールは絶対に違うといい張るが、確かに目の色と髪の色は同じじゃ。

まあ、確かに髪の色と目の色が同じ人間など山ほどおるし、赤ん坊が父親に似ると決まったものでもない。


母親でも名乗り出ん限り、女神さまにしか分からん事じゃ。




母親か…どうして、あんな可愛らしい子を捨ててしもうたのかのう…











私が孤児院に足を運ぶと、孤児院付きの修道士がマリアンヌにミルクを飲ませていた所だった。

「これは団長殿。」
一礼しようとする修道士を制し、私は問う。

「ククールはどうした?まさか、マリアンヌの世話をほおって、どこぞで遊び呆けている訳ではあるまいな?」
だとしたら、どういう懲罰をくれてやろうか…マリアンヌをほったらかすなど、父親の風上にもおけん!!


「あのいえ…ククール殿は、本日は礼拝で伯爵さまのお屋敷に…」
「…そうだったな。」


私は、マリアンヌを眺める。
大きくなったような気がする。


「マルチェロさま!」
気付くと、孤児院の子ども達が集まっていた。


「ねーねー、いいコト教えてあげるね。マリアンヌはね、しゃべれるようになったのよ。」
「そーそー、ククールお兄ちゃんが教えてあげたの。」

「ほう、それは知らなかった。」
私が言うと、子どもたちは得意げにマリアンヌに語りかける。


「マリアンヌー、マルチェロさまに言ってごらん。」

マリアンヌは、私をじっと見上げると、口を開いた。




「…ぱぱ…」




「…私はお前のパパではない。」
うっかり赤ん坊の言葉にまともに返答してしまった。


修道士が、笑いを噛み殺そうと必死なのがよく分かる。
だが子ども達は、まともに受け取ったらしい。


「ホントだー、ククールお兄ちゃんはパパだけど、マルチェロさまはパパじゃないよね。」
「じゃ、なんて呼べばいいのかな。」
「そりゃ、“マルチェロさま”だよ。マリアンヌ、言ってみなー“マルチェロさま”って。」




子ども達よ、それは赤ん坊には酷な要求だろう。
なにせ、マルチェロという名は、赤ん坊が容易に発音出来る名ではない。


だったら、私はマリアンヌになんと呼ばれるべきなのだろう。
ククールは私の異母弟であり、マリアンヌはククールの子だから…“おじさん”?



「マリアンヌ、私の事は…」
言いさして、私はあまりにバカバカしい発言を繰り返そうとしているのに気付き、そこで言葉を発するのをやめた。

子ども達が、不思議そうな顔で私を見上げる。




私は居たたまれなくなり、渋面を作ると、早急に修道士に本来の用事を告げ、立ち去ることにした。











「以上で報告を終ります、団長どの!!」
オレは早口で礼拝報告と、寄付金獲得の首尾を報告した。


「何かご質問はっ?」
「特にない…が、早かったな。」
「仕事は迅速に、がオレのモットーです!」

オレは寄付金の金貨を団長どのの机の上にどさっと置くと、さくさくと一礼して団長室が早足で出た。


もちろん目的地は




「マリアンヌー♪」

オレは孤児院に入ると、マリアンヌをソッコー探し当て、抱き上げた。


「なー、オレが留守の間、マリアンヌはいい子にしてた?」
ちゅーっ、
とマリアンヌにキスをしながら聞くと、子守役の修道士のじいさんは笑ってうなずいた。


「まあ、いい子だもんな、マリアンヌは。」
オレが聞くと、返事代わりにマリアンヌはにこぉっと笑った。

「もー、可愛いでちゅねー、マリアンヌは。パパはそんなマリアンヌが大好きでちゅよー♪」

「ぱぱー」
マリアンヌは、可愛い声でそうオレを呼んだ。




いや、そりゃ最初は赤ん坊の世話なんてマジウザイとか思ったさ。

オレみたいな美青年が、赤ん坊のオムツ替えるなんて、ぞっとするね、とか思ってたさ。




いや、女神さまごめんなさい。

マリアンヌはめっちゃ可愛いです♪


オレ…そりゃいまでも、マリアンヌの“実の”父親でない自信が99%はあるんだけど、のこり1%だったとしてもいいような気がしてきていた。
つまり、マリアンヌがオレの実の娘だったらいいな♪と思い始めてた。



オレ、実は子ども好きだったみたい。
父性本能がバリバリ湧き上がってきていた。




今日も、マリアンヌに早く会いたいから、さくさくっと仕事を切り上げて…いやもちろん、団長どのがうるさいから、寄付金はキッチリ獲得してだね、修道院に帰還したって寸法さ。
いやもう、マリアンヌと離れてるのが苦痛だったね。




「ねー、ククールお兄ちゃん。」
「お、どうした?おみやげなら、ちょっと待ってくれよ。マリアンヌがおねむみたいだから…」

「あのね、マリアンヌってば“マルチェロさま”って言えないの。」
「は?」


孤児院の子ども達の分かりにくい話をまとめると、留守中にやって来た団長どのが、自分を“パパ”と読んだマリアンヌに対して“不快の念を表明”したため、子どもたちは総出で、マリアンヌになんとか“マルチェロさま”と呼ばせるべく“誠心誠意努力”したらしい…

「と、つまりはそういう事だな?」


なぜか修道士が、肩を震わせて笑いをこらえてる。


「うん。」
「心の狭い団長どのだな…」
今に始まった事じゃねーけど、赤ん坊にくらい寛大になれねーのかよ、あの人は。



「でもね、マリアンヌもがんばったのよ。」
「そーかそーか、マリアンヌはがんばったか。…マリアンヌー“マルチェロさま”って言ってみなー。」

マリアンヌは、とても頑張った顔になって、


「…まま…」
と言った。



「惜しい!!」
オレが言うと、クソガキが言った。

「ぜんぜん惜しくないよ。むしろ、すごい勢いで違うよ。」

「何言ってやがる、“マ”と“ま”はあってるじゃねーか?」
「それしかあってないよー!!」




オレはクソガキどもとしばらく口論した。

気付いたら、マリアンヌは天使みたいな顔で眠っていた。











ふーむ…人というのは、意外な本質を隠し持っているようじゃ。
まさか、ククールがあんなにマリアンヌを可愛がるとは、世話を言いつけたワシも完全に予想外じゃったわい。




「ククールよ、マリアンヌはそんなに可愛いかのう?」
「はい、もうめっちゃ可愛い♪」

「そうかそうか…で、聞きづらい事なんじゃが…」
「本当はマリアンヌがオレの子かって?だから、身に覚えはないってば…と言いたいトコだけど、もうある事にしてもいいよ。」
ククールは、少し真面目な顔になった。


「母親は結局誰だか分からねーし、この子もここにいるしかねーじゃん。だったら、オレが父親になるよ。…団長どのがオレを追い出さなきゃ、ね。」

ワシはククールに言った。
「もし仮に…いや、気分を害するでないぞ?この子がおぬしの実の子だったとしても、マルチェロにおぬしをそれが理由で追い出させはせんよ。それはマリアンヌに対して無責任であり、…この子が可哀想じゃ。戒律を破った罪は、その子を一人前に育て上げることで果たしてもらう。」

「だから、オレは…」
「いやいや、万が一、そうだった時の話じゃて。」


ククールは笑った。
「そうでなかったとしても…オディロ院長はいっつも言ってんじゃん。

『この修道院にいる者は、すべて家族じゃ。』

って。だったら、オレがマリアンヌのパパで、オレの育ての親の院長がおじいちゃんで…」


そしてククールは、さらに面白くてたまらないという顔で言った。
「団長どのが“ママ”…サイコーでサイキョーな家族構成じゃんな♪」

大笑いするククールに、ワシは“なぜマルチェロが母親なのか”と問うたが、ククールは更に笑いをつのらせるばかりで…




ワシがその説明で一緒に笑えるまでには、しばらく時間がかかったのじゃった。











私は積みあがる一方の書類を迅速かつ正確に片付けながら、終らない苦行に…らしくもなく、ため息をつく。


「まったく…女神に仕える身として、たるんでいる…」
思わず愚痴まで出てしまう。


マイエラ修道院に、悪性の風邪が蔓延している。
おかげで、修道士やら聖堂騎士がバタバタ倒れ、全ての仕事が私に回ってくるという状況だ。

女神に仕える身が、風邪ごときで…


そういえば、孤児院でも同じく風邪が流行り、子ども達が床についているらしい…
あえかな子ども達が風邪に倒れるのは仕方ない。薬師の予算をつけ、なにか栄養のつくものを特配…




ゴンゴンゴン…無骨なノックの音

「何か?」
「聖堂騎士、グリエルモ!マルチェロ団長殿にご報告を!!」

そして入室して来たのは、巨体で禿頭の聖堂騎士だった。


グリエルモの報告を聞き終わり、私は問う。

「ところで、この報告は聖堂騎士団員ククールの任務だったと、私は理解していたが?」
「ハッ!!聖堂騎士ククールは、自ら志願して孤児院の子らの看病任務に従事いたしております!!孤児院の子らの看病が、修道士だけでは間に合わないのであります!!」

そうだ。マリアンヌはまだ赤ん坊だった。この悪性の風邪にはかかっていないだろうか。
「…マリアンヌは…」
「は…?」

いいさして私は、私事に傾き過ぎた自らの心に戒めを刻む。


「聖堂騎士団員グリエルモ!!」
「ハッ!!」

「貴官はこの悪性の風邪に負けるような、軟弱さは持ち合わせておらんなっ!?」
「ハッ!!拙者は、頑健なのが取り柄であります!!」


言葉通り、風邪の“か”の字も無く、いっそバカバカしいまでに元気そうなグリエルモを見て、ふと私は、“なんとかは風邪をひかない”という諺言が頭を掠めたが、敷衍すると私も“なんとか”に入ってしまうことになる。

所詮は諺言だ。“なんとか”だろうが“なんとか”でなかろうが、身体を常に完璧に整えていれば、風邪などひかん!!


「では、団員に多少の欠員があろうとも、マイエラ修道院の警護に疎漏のあろうはずがないな!!」
「ハッ!!女神とオディロ院長と“マルチェロ団長殿の御名”にかけまして!!全力をもって、警護いたしておりますっ!!」
「よろしい!!では、貴官に女神のご加護があるように!!」




なにか、とても嬉しそうに立ち去ってゆくグリエルモを眺めながら、私は、今回のククールの越権行為…勝手に孤児院の手伝いに行く…は、非常事態ということで、懲罰対象にはすまいと決めていた。











「ククールどの、少し休まれては…」
疲労の色が濃い声で、孤児院付きの初老の修道士はそう声をかけてくれるけど、オレは笑って…でも、さすがに力は入らねーや…首を横にふる。


「ククールお兄ちゃん…マリアンヌはだいじょうぶ?」
自分も熱があるくせに、赤ん坊の心配までする心優しい女の子に、オレは言う。


「マリアンヌは大丈夫だよ」
とびきりの笑顔付き。

「だからもうお休み。」
そして、軽い催眠作用のあるシロップを口に含ませてやると、彼女は微笑んでベッドの方に戻った。




マリアンヌは、熱が下がらない。

小さい体を真っ赤にして、ハアハア言ってるこの子にオレがしてやれるのは、小さな体が熱で焼けてしまわないように体を冷やし、ホイミで体力の損傷をちょっとは補ってやる事だけ。


「マリアンヌ、苦しいか?…大丈夫だよ、パパがついてるよ?」
子どもが病気の親って、こんな気持ちなんだろうな。“自分が代わってやれたら”って、そんな気分…




オレはマリアンヌの氷嚢を取り替えると、他の風邪で寝付いている子どもたちに、声をかけたり、布団を整えなおしたり、水を口に含ませてやったりする。


マリアンヌが一番風邪がひどいのは、やっぱり一番小さいからなんだろうな。
小さいのに、ちゃんと病気と戦ってるんだ…




オレは一通り見守ると、修道士に声をかける。

「疲れてるようだけど、少し…」

「…わたしはこれが女神に与えられた責務です。」
力ない笑み。

「ですが、ククールどの。あなたは聖堂騎士です、ここまでやって頂かなくても…」

オレは黙ってもう一度首をふると、マリアンヌのベッドに跪き、女神に祈りを捧げた。




「女神さま、女神さま…この子を御元にお連れにならないで下さい。確かにこの子はとびきり可愛いですが、それでも連れて行かないで下さい。 この子は、親に捨てられたんです。だから、それを補えるくらい、楽しい事を“この世で”体験しないと、あんまりに可哀想です。 みんなこの子を愛しています。だから、連れて行かないで下さい。だから…だから…」






気付くと、妙に体が軽かった。


「やべ…寝ちまっ…」

「貴様はどこでも眠れるようだな、健康で結構な事だ。」
イヤミな声が、すぐ傍から。


「兄貴…」
オレは兄貴の顔よりも、マリアンヌの顔を凝視した。


「熱が…下がってる…」
マリアンヌのぷっくりしたほっぺは、ようやく生気を取り戻していた。


「あんたが…兄貴…あんたが看病…」
兄貴は答えずに、立ち上がった。


「聖堂騎士団員ククール、わざわざ聖堂騎士の職分を超えてまでの任務で居眠りなどすると…“次は”許さんぞ。」

「兄貴…もしかして、オレにホイミかけてくれたのも…」
徹夜何日目かのオレの体がやたらと軽いのも。
そう思って聞いたけど、当然、兄貴から返って来た言葉はなにもなかった。

だから、オレは去っていく兄貴の背中に言った。




「ありがとう、兄貴…」











「マルチェロや…」
ワシが声をかけるが、マルチェロからの返事はない。


「疲れておるのに…」
やはり、返事はない。


この子が、団長室で居眠りなど…しかも、ワシが入って来ても気付かないくらいぐっすりと居眠りをするなど、本当に珍しい。




仕方ない。
この子は、風邪でバタバタ倒れた修道院内の者の仕事を全部肩代わりし、しかも、子どもの看病までしておったんじゃものな…
本当に…丈夫に生まれついたから良かったようなものを…常人なら死んでおるぞ?こんな無茶な体の使い方をしたら。




ワシは、マルチェロの黒い髪を撫でると、回復呪文を唱える。
おお、こんな役立たずの年寄が出来ることと言ったら、このくらいしかない。




「責任感が強くて、優しい、そして強がりのお前に、女神の祝福がありますように。だから、今はお休み、マルチェロよ。」











悪性の風邪の流行にもひと段落がつき、修道院と私にいつもの朝が戻ってきた。
ああ私にとって、いつもの朝だった。


いつもと同じように夜明けと共に起き、
いつもと同じように服装を整え、
いつもと同じように女神に祈り、
いつもと同じように軽く朝駆けをする…




私は、マイエラ修道院の入口で私を見つめる視線に出会った。

それは、分別というものを備えた年齢の人間なら、間違いなく訪れるはずのない時間に修道院を訪れていて、ただの巡礼者でない事は一目で見て取れた。




「騎士さま…」
すがりつき、嘆願するような目。

粗末な身なりに身をつつんだ女の目は

青。


頭布からこぼれる髪は

銀色。



女神ならぬ身でも、分からないはずがない。
だから私は、女より先に問うた。
「マリアンヌの、母親か…?」





それから後の会話は、それはそれは陳腐なものだった。
なにせ、一言で要約できる。




「マリアンヌを返して下さい。」




それに対する私の返答は…私はくだくだしく言葉を連ねるのは嫌いだ。
女神は沈黙を尊ばれる。

であるから、必要最低限の事しか言わなかった。
それが、冷たく聞こえるか、聞こえないかという事は、どうでもいい事だ。



「どんな理由があれ、子を捨てた母親に、母親たる資格はない。」


「母親たる資格が無い者に、『子を返せ』という資格はない。」


「子どもは、“女神の子”たる資格でこの修道院で皆に愛され、育っている。」



女がどんな顔を私に向けたかという事には、私は興味が無い。
どんな顔を向けられても、私は次のようにしか言わなかっただろう。




「女よ、立ち去れ。」











オレは、マリアンヌをあやしながら窓の外を眺める。


女が一人。

銀色の髪をしている。
目は青い。

彼女は、もう何日も修道院の入口に黙って立っている。




最初、彼女が現れたときは、

“団長どのが、女を泣かしている!!”


と、みんな興味本位で大騒ぎしたもんだ。

うん、オレも興味本位で騒ごうとした。


うんうん、事実には違いなかったんだよね。




「マリアンヌー、お前のパパはオレだよなー?」

オレが聞くと、マリアンヌは
「パパー」
と答えた。

「マリアンヌー、お前のパパは、あの入口のトコにいる女の人とは…その“なんか関係を持ったこと”はないんだよー。だから、あの人はマリアンヌのママじゃないんだ。」


バカな事喋ってるって、分かっている。




彼女は、入口にじっと立ち尽くす。
もう暗くなっているのに、立ち尽くす。

寒いだろうに。


修道院の奴等は気まずくて、入口を通るときに、彼女と目を合わせない。

例外は、聖堂騎士団長どのだけ。


団長どのが通ると、彼女は目を上げるけど、団長どのは目もくれずに通るんだ。
そして彼女は、悲しそうに目を伏せるんだ。


「マリアンヌー、パパはねー、女性には優しいんだよー。」
マリアンヌがきょとんとした目でオレを見上げる。

オレは、マリアンヌのほっぺにキスをして、毛布を一枚持って部屋を出た。




「はい、寒いだろ?」
オレが台所係からちょっと失敬したスープを差し出すと、彼女は小さな声で礼を言って受け取った。
修道院の誰かれが、彼女にこっそりと食事や何かを都合しているのは、公然の秘密という奴だった。


「な…あんたさ、なんでマリアンヌを“捨てた”時につけた手紙に、“マイエラ修道院に縁のある子”って書いたの?おかげでオレ、隠し子疑惑でエラい目にあったんだけど。」
彼女は、オレの銀髪を見上げて、再び目を伏せた。

「…あなたが…ドニの町にいるのを見て…ああ書いたら、マリアンヌを大切に扱ってくれないかと…」

「ああ、一応、オレがらみのネタだったワケね。おかげでオレ、十代にしてパパ扱いだよ…いいけどな。」
「ごめんなさい…」

「ぶっちゃけた話すっけどさ、あんた…待ってたってムダだよ。団長どの兄貴が“ダメ”つったら、ゴルドの女神さまが崩壊したとしても“ダメ”なんだから。待ってりゃ団長どのの心が溶けるかもとかさ、甘いコトは思わないほうがいいよ。だいたい…マリアンヌは、この修道院で幸せに暮らしてるんだから…」


彼女は、ぴくりとその言葉に反応した。

「マリアンヌは…みなさんに可愛がっていただいているんですか?」
「ああ、特にオレにね。なんせオレが“パパ”だから。」
「あなたが可愛がってくださってるんですか…良かった…あの子が幸せにしていてくれて、本当に良かった…」


オレは、彼女に嫌がらせをしてみたくなった。


「じゃあさ、なんでそんなに可愛いマリアンヌを捨てたの?」



オレはもう知ってる。
彼女は結婚を約束した恋人に捨てられたんだ。
その時彼女は身ごもっていて、子どもを生んだけれど、育て切れなかったんだ。

知ってて、オレは聞いた。
嫌がらせだよ、分かってるって、自分でも。




彼女は、ふるふると肩を震わせた。
泣かれたら、オレ、女性に優しいから、うっかり慰めちまうかもしれない。


彼女は、涙声ではあったけど、泣きはしなかった。
そして、ハッキリとした口調で答えた。




「わたしが…わたしが愚かだったんです…」




オレは、一言の弁明もしなかった彼女に、持っていた毛布を渡すと、立ち去った。











ワシは、マルチェロの報告を受けていた。

「最近、礼拝収入が多いのう。」
「懺悔を申し出る貴顕が多うございますから。」

「…人は罪を犯してしまうものじゃのう…」
「哀しい事です。」

マルチェロの言葉に、温かみは感じられなかった。




分かっておる。
マルチェロが、あの子に自分を重ね合わせてしまう気持ちは、分かっておる。

捨てた親を許せない気持ちも…

いや、他人の気持ちなど、用意に斟酌できるものでもないがの。




「マルチェロよ、女神は人に、自ら考え、自ら行動する事の出来る自由をお与えになった。何故かのう、わざわざ悪を為すことまで女神が許容なさったのは。」

「悪に打ち勝つことで人が、より強い魂を手に入れることを、女神がお望みになっているからです。」

「そうじゃ、人は過ちを犯す事が出来る。そして、犯した過ちを悔やみ、償う事が出来る。女神は自らの罪深さを自覚し、悔い改めようとする者に寛大じゃ。」




ワシは、マルチェロの仮面のような表情を見上げる。
そして、そっと伺う。




「…許して、やれんか?」


マルチェロの仮面のような顔は、そのまま口を開いた。
「それは、ご命令ですか?オディロ院長。」

凍りつくような返答。


ワシには、こう答えるしかなかった。




「いや、マルチェロや、命令などではないよ。」











短い眠りなのに、私は夢など見てしまった。

陳腐な夢だ。
ここ十数年は、一度も見なかった夢。

しかし、修道院に来てしばらくは、毎日のように見続けた夢。




男が立っていて、柄にもなく…いや、なんらの誇張莫しで、私はあの男のそんな表情など一度も見たことが無いと女神に誓えるくらいなのに。
男は、とても慈悲深い、優しい笑みを浮かべていて。

そして、母が…私の実母だ、その時はとうに死んでいたのだが、同じく幸せそうに立っていて。


男は、私に手をさし延ばし、言うのだ。

「迎えに来たよ、マルチェロ。」
自分が捨てたくせに、男は言う。
夢の中の私は、ああ、私だと思うと忌まわしい限りだが、その手に飛び込む。


「お父さん!!」
夢の中の私…忌まわしいが、幼少期の私の姿なのだから、仕方あるまい、が叫ぶと、男は私を優しく叩いて言うのだ。


「マルチェロ、マルチェロ、お前を捨てて本当に済まなかった。」


そして、男は言うのだ。
「マルチェロ、お前もククールと同じ、大事なわが子だよ。」




あり得ない。
あの男がそんな事を…たとえ夢にしたって言うなどあり得ない。
そもそも、あの夢を見ていたとき、私の母はとうに死んでいたのだ。


あり得ない。
あの男にとって、私は間違いなく不要な子だった。
メイドにあてつけで生ませた子で
正妻の腹の嫡男は元気に育っていて。


私を迎えに来るなどあり得なかった!!
いくら私が頑是無い子どもだったとはいえ、そんな事はあり得ないと理解できるくらいの理解力は備えていた。




なのに幼少の私は、その夢を見て目覚めるたびに、涙を落としていたのだ。


我ながら、情けない限りだ。




“生物学的な親”という存在に、どれほどのありがたみがあるというのだろう。

私とオディロ院長には、なんら血縁関係など無いが、院長は私を慈しんでくださり、私は院長を敬愛している。
その関係が、実の親子に劣るとは、私は考えない。


私は院長の慈育の元に成長し、克己し、努力し、今の地位を築くに至った。
よしんば、あの男の屋敷にいたとしたら、あの男が死んだ時に一文無しになり、今頃はロクな人生を歩んではいるまい。




私は、今の自分に満足している。

実の親に迎えに来て欲しかったなど、今更決して思いはしない。




だから、今、私の頬からこぼれ落ちたのは、断じて涙などではない!!











オレは、ベッドに横になりながら、

カツカツカツ

という、メトロノームのように規則正しいブーツの足音を聞いていた。


夜中だってのに、あの人は聖堂騎士団長の制服を、一分の隙もなく着込んでいるに違いない。

そして彼女はそんなあの人に、まるで聖者を迎えるように跪き、その制服の端に接吻し、許しを乞い、そして感謝の祈りを捧げるに違いない。




なんだよ。
マリアンヌの世話をしたのはオレじゃないか。

だいたい、オレの子だってさんざ騒ぎ立てたのは、そもそも自分じゃないか。
オレ、まだその誤解の謝罪を受けてないって。

オレの子だってんなら、マリアンヌをどうにかするなら、まずオレにお伺いを立てるべきじゃねーか!!
いや、どうなだめすかされたって…そりゃ、あの人がオレをなだめすかしてくれるって誘惑に、ちょっとは心惹かれるけど…オレはマリアンヌを渡すつもりはねーって、ハッキリ言うね。


ああ、何言われたって、イヤだって答えるね…


畜生、だからオレに何も聞かねえのか。



だいたい、あの人はいっつも勝手だよ!!
いくら自分の頭がいいからって!!
自分の出来がいいからって!!

オレの気持ちなんて、少しも考えようとしないんだ。


今回だって…今回だって…マリアンヌの事は…




「畜生、兄貴っ!!あんたは…あんたは…あんたは…正しいよ。」











澄み切った、爽やか極まる朝じゃった。
呼びもしないのに、修道士だの、聖堂騎士だのが続々と見送りに来る。

仕方のない奴等じゃのう、仕事をほっぽらかしてからに。
…じゃが、マルチェロには怒らないよう、ちゃんと言っておかねばの。


「本当に…本当にお世話になりました。」
そう言う若い母親の髪は、その手に抱いた赤ん坊と同じ銀色。


「もう決して、この子を手放すような事はいたしません!!」
強い決意を秘めたその瞳は、その手に抱いた赤ん坊と同じ青色。



「ま、仕方ねーな。やっぱ、こんな若くてビボーすぎるパパの存在は、女神さまが許してくんなかったってコトだね。」
軽妙な口調のククールの目の下に、薄く隈が出来ていると、あえて指摘するような者はおらん。


「マリアンヌー、じゃパパはやめよう。もう少し…ま、十五年くらいしたら、もっぺんおいで。そんで、オレの嫁さんになってくれ。やっぱ、そっちのが、オレみたいな色男っぽいね、パパよりさ。」
洒脱な口調を心がけているが、内心に想いが渦巻いているのを、知らない者はまさかおるまい。




マルチェロの姿もない。
ああ、確かに言っておった。

「私が姿を出す必要があるのですか?」
と。

ま、団長室からも、ここは見えるからのう。




「ところで、仕事はなにをしているのじゃったかのう?」
「はい、メイドの口を見つけました。贅沢は出来ませんが、この子と二人、食べるには困らないはずです。」

「そうかそうか…では、マリアンヌを大事にの。毎度毎度拾ってくれる、慈悲深い聖堂騎士団長がいてくれるとも、限らんのでのう。」
「もちろんです!!」



力強く断言する若い母親の、空のように青く澄み切った瞳の色を確かめ、ワシはマリアンヌに祝福の言葉を与えた。




「マリアンヌ、マリアンヌ、マリアンヌ、お前はまだ小さいけれど、よおく覚えておおき。お前はのう、幸せな子じゃ。一つには、人に幸せを与えることが出来るから。二つには、みんなに愛される事が出来るから。」


おお、マリアンヌよ、ワシの言う事がわかるのか?そんなににっこり笑って。お前は可愛らしいだけじゃなく、賢い子でもあるのう。よしよし。


「マリアンヌ、マリアンヌ、マリアンヌ、お前はまだ小さいけれど、よく知っておきなさい。お前はたくさんの人に愛してもらったのじゃ。じゃから、も少し大きくなったら、たくさんの人を愛しておあげ。そして、たくさんの人から愛されなさい。」


これこれククール、ここまで涙をこらえたのじゃ。ここで泣くでない。
…まあ、涙を流すのも時には必要な事か。

これは、別れの涙だけではない。
人の幸せの為に流す涙でもあるのじゃから。


ワシは十字を切り、マリアンヌの為に祈った。




「この子に、女神の祝福がありますように。」




2006/9/2





たまにはいい話が書きたかったんです。ええ、それだけなんです。
ちなみに、マリアンヌって名まえは、この話を思いついたときに自然と思いついた名まえです。ククールの声で「マリアンヌー♪」と呼んで、とてもいいカンジになる名前だと思って。しかしこの子ってば、赤ん坊の内から、カリスマ兄弟の心を独占するなんて…人生の幸運を全部使い果たしてないか気がかりです。
拙サイトは、ジャンルによって微妙に設定が違いますが「ほのぼの」で書きたいのは、「ゴルドで殺しあわないで済む兄弟」です。 そりゃ、あんないきさつがあるんですから、仲良しとはとても言えませんが、いびったりいじめたり嫌味をいったりする割りに、なんか微妙に心が通じ合ったり、信頼したり、愛情をかけたり出来る兄弟。
だからこの兄弟は、ドルマゲスがやって来ても、ちゃんと共同でドルを追い払えると思うし、もし無理でも“邪魔ものを追い出す”風にククールを追い出したりしないし、兄もあそこまで悪に身を沈めない…といいなあ♪とか妄想してます。

ちなみに勘違いしないで下さい。べにいもは、ハッピーエンドとかいい話の方が好きです!!けっして、エロとかグロとかドロドロが好きなわけではないので、お間違いのなきよう(笑)






























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