こんな現代版兄貴は…ちょっとイイ ゆく年来る年編


お題で連載?している「もしこの兄弟が現代世界で生きていたら」話。


マルチェロ…軽薄短小な世相とコンビニと愚弟をこよなく嫌う、愚痴っぽく理屈っぽい、マンモス私大常勤講師。

ククール…いい加減さと自らの美貌と兄をこよなく愛する、おバカでアホの子な、カリスマホスト(一応大学生)



な兄弟が繰り広げる、日常の一こま、元拍手話。 FROM 愚弟 より後でのお話です。





年賀状でポン

かしゅーん…がっがっがっ…

クク「(メールを打ちながら)兄貴ってさぁ…絶対、年賀状は手書き派だと思ってたんだけど、実はパソ派なんだね。」

マル「(年賀状のあて先をチェックしながら)仕事上の付き合いの人間などに、いちいち手書きで書いていたら、腱鞘炎になるわ。」

クク「(ひょい)でも、オディロ教授にはやっぱ手書きなんだー。いーなー、愛籠ってていいなー。オレ妬いちゃうー。」

マル「ええい、返せ!…ところでククール、先ほどから延々と何をメールしているのだ?」

クク「謹賀新年営業メール。『今年もアンジェロをヨロシクね♪』ってメールなんだけど、文面みんな一緒だとお客さんが怒ってさあ。『あたしなんか、しょせんその程度の扱いなのねっ!?』ってヘソ曲げて、ご機嫌取り大変だから、お客さんごとにぜぇんぶ!メール変えなきゃなんねーんだ。だから、作り溜めしてんの。オレっば売れっコだから、量多くて大変。」

マル「…水商売というのは、大変なのだな。」

クク「おおっ!兄貴が初めてオレに感心してくれたッ!」






おせちでポン

ククールが“おシゴト”より帰ると…

クク「(キッチンを覗き込んで)兄貴ー、愛する弟のオレへの夜食?」

マル「バカ者、このせわしない年の瀬に、お前ごときの夜食をつくる暇などあると思うのか?」

クク「(やたらと豪華なシステムキッチンを見回し)つーか、うちにこんなに鍋とかあったんだなあ(しみじみ)」

マル「誰が揃えてやったと思っているのだ!?そもそも、せっかくこれだけ立派なキッチンがあるというのに貴様、私が来 るまではやかんと小鍋と包丁が一本しかなかったではないか?」

クク「だって、どーせ自炊とかしねーもん。」

マル「どれだけ偏った食生活をしていたというのだ…まったく…(文句を言いながらも手は動かす)」

クク「(それを見ながら)そーそー、兄貴みたいな“料理上手の可愛いお嫁さん”がいれば、オレも晴れて家庭料理が毎日食え…」

マル「…(無言で一撃を加える)」

クク「なんで殴るのさー!!」


クク「(それでも、料理をする兄にもたれかかりながら)でもさー、兄貴ってほんと器用だよな。」

マル「重いから離れんか、バカ者。」

クク「(離れないで)すんげえ珍しいぜ?“おせちが自分で作れる成人男子”一体誰に習ったの?兄貴のオフクロさん?」

マル「…(不愉快そうに押し黙る)」

クク「だとしたらすげーイイオンナだったんだな、兄貴のオフクロさんてば。…オレのオフクロってばお嬢様育ちなヒトだったから、玉子焼きだって一人じゃ焼けねーヒトだったもん…」

マル「…私の母は、性格素行その他、くさぐさ問題の多い女性ではあったが、料理だけはマメに私に作ってくれた。正月料理も欠かさず楽しげに作っていた。私はそれを見て覚えた…それだけの事だ。料理の腕と人柄の良し悪しなぞ、何の関係もない。」

クク「(にっこり笑って)でもオレは、料理上手なヒトにゃそんだけでポイント高いね。なんせ、手作り料理に“愛”を感じちまうからさ。」

マル「…いいからそのぺらぺらと軽薄に動く口を塞げ(と、出来たてのこぶ巻きをククの口に放り込む)」

クク「あちち……(もぐもぐもぐ)…めっちゃ美味い♪」


クク「(せっせとおせちを作る兄の背中に、なおひたすらもたれかかりながら)でもさー、なんでわざわざこんなめんどくせーモン作るんだろーな。めっちゃ美味いモン揃いってワケでもねーし…あ、モチロン♪兄貴のおせちはぜぇんぶ美味いけどな。」

マル「(肩でぐいぐいとククールを押しのけながら)正月三が日というものは、奉公人含め、労働をせずにのんびり骨休めをする期間なのだ。だから、炊事をせずとも住むように、保存の効くおせちを作って食べるようにしていたのだ。昔は冷蔵庫などなかったからな。」

クク「(それでも兄にくっつきながら)でもさー、こんな手のかかるモン作ってたら、年末はいつもより更に忙しいじゃん?」

マル「働かざるもの、食うべからず!!休みが欲しければ、当然、その他の日に倍は働かねばならん!!それが世の理というものだ。」

クク「…兄貴ってさぁ…」

マル「なんだ?」

クク「考え方が古風だよな…でも、ソコが可愛いけどなっ♪」

マル「…(無言でククをどつく)」

クク「痛いってばぁ!!」






大掃除でポン

マル「まったく…なんで私が、いくら大掃除とはいえ、ククールの部屋まで掃除してやらねばならんのだ(文句は言いつつも、完璧主義者なので手抜きはしない)。

ククールめ、雑誌だの着替えだのと、賑やかに散らかしおって…ウジが涌くだろうが(ぶつぶつ)

なんだこれは……コンドーム?“激薄感度バツグン”?“カワイイ象さん型”?“暗闇で光る!蛍光仕様”?…いくら自宅とはいえ、こんなものを散らかしておくんじゃないっ!!(がさがさと片付ける)

ええい、大人の玩具まで放り出しておくか、あ奴め…

(がさがさと雑誌を整理しながら)…なぜにゲイ雑誌…しかもSM特集号…」




(帰宅したククールを着替えさせて)


マル「ではククールよ、ただ今より、年末大掃除という任務に取り掛かる!!」

クク「はっ!」

マル「良いか、ククール。我々の任務の目的は、この一年…貴様の限りなくいい加減な掃除によって処々にこびりついた汚れという汚れを、翌年まで持ち越さぬ事だ!!」

クク「存じております!!」

マル「では始めん!!散開!!」

クク「…兄貴ー」

マル「なんだ、掃除は始まったぞ。」

クク「なんかオレ、ずっと前にも、兄貴にこんな風にめーれーされて、任務についてた気がしたー。」

マル「何をボケたことを。お前と大掃除をするのは、今年が初めてだろうが。」

クク「そしてそん時も、兄貴はそんな青い服を着てた気がバッチリしたー。」

マル「阿呆か、この青いエプロンは、大掃除用につい先日購入したのだ。」

クク「これってデジャヴだよ、既視感♪オレと兄貴は、前世からの運命があるんだー♪(嬉しそう)」




(汚れとの格闘も終わり)


クク「わーい♪すげえピカピカになったなあ。」

マル「まったく、どれだけ汚れを溜め込んでいたのだ、貴様(なんて言いつつ、満足げ)。このマンションはそもそも無駄に広いのだ。これからは毎日欠かさず掃除しろ!」

クク「(聞いてない)やっぱキレイ好きなハニーがいると、違うなあ♪」

マル「(耳に入らなかった)だいたい、独身のお前が、なんでこんなムダに豪華なダブルベッドを使用する必要があるのだ。私とお前二人がかりで、ようやく動かせるような代物ではないか。」

クク「そりゃあ…(とても嬉しそうに)兄貴とオレが“ぞんっぶんに愛しあう”た・め♪ほらあ、兄貴ってばデカいから、セミダブルじゃ狭いじゃん?その点、コレならいくらどったんばったんしても…ねー、兄貴ー?どこ行くのー?ねーってばー!せっかく掃除終ったんだからぴっかぴっかのこの部屋で、新たな愛を育もうよー?ねーってばー。」






駄々こねでポン

クク「ねー兄貴ー、初詣行こうよー(ひっぱりっ)」

マル「この寒いのに、なんでわざわざ貴様と初詣に行かねばならんのだ。」

クク「愛し合う二人は、一緒に初詣に行くのー!!」

マル「“愛し合う二人は、一緒に初詣に行く”と仮定して、だ。私と貴様が一緒に行かねばならん理由にはなるまい(冷然と)」

クク「やだーやだー!!オレ、大好きな兄貴と初詣行くー!!(じたばたじたばた)」






除夜の鐘でポン

マル「うう…寒い…なんでこの寒いのに、私は愚弟と神社の境内にいるのだ…まったく、我ながら解せん…」

クク「(大はしゃぎで)兄貴ー、そろそろ除夜の鐘鳴るよ…ところでさ、兄貴。除夜の鐘って、なんで百八つ鳴るの?」

マル「人には百八つの煩悩があると言われていてな。鐘を一つつく度にその煩悩を一つずつ消してゆき、新年に煩悩を持ち越さずとも済む様にするためだ。」

クク「ふーん…(ごーん)みゆきちゃん…(ごーん)りか姉…(ごーん)マダム玲子…」

マル「…?」

クク「…(ごーん)ちかりん…(ごーん)あゆみさん…(ごーん)レベッカ…」

マル「なんなんだ、その名前は?」

クク「ん…(ごーん)クリス…オレの煩悩なハニーたち…(ごーん)みさっち…でも、百八つって事は百八人分しか消えねーな…(ごーん)よしりん…足りねーよな…」

マル「まったく、貴様という男は…」

クク「…(ごーん)サム…」

マル「しかも男までいるのかっ!?」






新年あけおめー♪

マル「(時計を見ながら)今年も終わりか…早いものだ…」

クク「…(時計を熱心に見つめている)」

マル「来年も、良い年であるといい……!?」

クク「(兄に抱きつき、強制的にキス)」


ごーん(百八つ目の鐘の音)


マル「(弟を引き剥がし)公衆の面前で、なにをする、貴様っ!!」

クク「へへ…“二年越しのキス”♪オレと兄貴が、来年もラヴラヴでいれますよーに♪」

マル「…死ねいっ!!(強烈な一撃を弟の鳩尾に叩き込む)」

クク「ぐふっ!!」




2007/1/31




正月とおこたと兄弟とじい様と真っ赤なスポーツカー

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