「ワクワクしやすね、提督!?」
俺が興奮を押し隠せねえで叫ぶように言うと、オットー・スピノーラ提督はいつもの冷静沈着なお顔のままで答える。
「相手が誰だか分かっているのか、マシュー?」
「もっちろんでさぁ!!俺たちの相手はイスパニアの無敵艦隊。率いるは、『軍神』エゼキエル提督とくらあっ!!」
提督は、ふふと笑われる。
「泣く子も黙る無敵艦隊を相手にすると知っていながら、その余裕は大したものだ。世人なら、発狂したと思われても仕方ない所だぞ?」
「ですがね、提督。だったらどうして、新大陸でズタボロになってたあの時のエゼキエル提督を倒して置かなかったんですかい?いくら美人の頼みは男として断れないって言ってもねえ…」
「まったく。確かに御婦人の頼みを無下に断らないのは紳士の嗜みだが、事はそのような簡単なものでもあるまい。」
「へえへえ、そういう事にしときやしょう。」
俺たちが新大陸のアマゾン河で、ポルトガルのイカレ野郎どもが妄想の果てに作りあげた「プレステア」と、それと戦ってズタボロになったジョアンや女海賊カタリーナや、エゼキエル提督と会ったのはついこないだ。
俺はそん時、無敵艦隊を殲滅するチャンスだと思ったんだが、何を思われたのか、提督はカタリーナの頼みをあっさり聞き入れて、エゼキエル提督を攻撃せずにヨーロッパに戻っちまった。
理由を聞いても「さてな」としかおっしゃらなかったが。
「とはいえ、提督だってエゼキエル提督とは戦いたいんでしょう?さもなきゃ、エゼキエル提督からのタイマンの誘いを受けるはずもねえ。」
ヨーロッパへの帰り、俺たちはアフリカでエゼキエル提督と偶然出くわした。
いや、偶然じゃなく、こいつは神さまの思し召しだろうさ。
そこでエゼキエル提督は、ウチの提督に自艦隊同士での「タイマン」を申し出た。
互いの祖国の栄光と名誉を賭けた戦いを…
「決闘を受けるのは、武人として当然の事…」
提督の口調は冷静そうに聞こえたが、それとは逆に顔はちっとばかし赤らんできている。
「ほうら、提督のお顔がそう言ってやすぜ。戦いたいって血が滾ってやがる。」
「私の血が滾るだと?」
提督は何か俺に言い返そうとなさったが、
「お前には適わんな、マシュー。」
結局、提督はそう言って、ニヤリと笑った。
「ああ、戦いたい。生ける伝説とも言うべき方だ、武人として、男として、戦ってみたくない訳がなかろう?」
提督は、顔をぐいと上げる。
「勝たねばならん。我が祖国イングランドのために。それは分かっているが、実はお前と同じで『ワクワク』して仕方がない。無滝艦隊と、軍神エゼキエルと戦うのだ。血くらい滾るさ。」
「ええ、勝てやすよ。いや、勝ちやすよ。いえいえ、俺と提督が戦うんだ、勝つに決まってるんですよ!!」
「艦影が見えます!」
見張りの水夫の叫びが俺たちのいる船室に届く。
「艦影はこちらに接近中!!その旗は…」
「無敵艦隊。」
俺と提督は同時に声に出した。
「来たな、マシュー。」
「来やしたね、提督。」
提督はゆっくりと目を瞑り、そしてゆっくりと息を吐き出す。
周りの音が消えてくみてえな、そんな感じの後、提督は目を見開いた。
「行くぞ、イングランドの栄光のためにっ!!」
「そして俺たちの勝利の美酒のためにっ!!」
2013/2/19
今回の語り手:マシュー・ロイ
…言わずと知れた、2の主人公オットーの専用副官。
全ての能力がコンスタントに高く、測量も砲術も所持する上に、乱暴で粗野だけど愛すべき男。基本、ジェントルメンなオットーとはバランスが良く本当に良いコンビ。
オットーのは私掠船とはいえ、大きく分類すれば「海賊船」なので、マシューも広い意味で言えば「海賊」。
確かに「提督」というよりも、「お頭ぁっ!」
とか言う方が似合いそうではある。
欠点と言えば、酒癖がサイアクに悪いこと(まあおかげで船が手に入りますが)と、幽霊が怖いこと(笑)
べにいもがオットーさんが大好きなので、2の初プレイは彼、つまり大航海時代初めていきなり一騎打ちしたのも彼でした(笑)
いきなり負けたのでリセットしたのもいい思い出です。
オットーシナリオ冒頭の一騎打ち
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目次
オットーシナリオ冒頭には、諸般の事情によりマシューとの一騎打ちがあります。
ちなみに
オットーの剣技:86(戦闘レベル12)
マシューの剣技:70(戦闘レベル10)
とまあ、ここだけ見たら負けるはずがない戦闘なのですが、ちょっと気を抜くと(てか本気でいっても)割とポコポコ負けます。
なぜって?そりゃあ装備の問題。
オットーの装備は
国王拝領
のショートソード(攻撃力D)
マシューのはシミタード(攻撃力C)だからです。
繰り返しましょう。オットーの装備は
国王拝領
のショートソード(攻撃力D)!
あの陛下。
自分、イングランドの栄光のためならこの身をささげる覚悟なんで、
せめて武器くらい、一般船乗りレベル以上のもの下さいませんか!?