ゴルドでのあのイベントにて。
神鳥のたましいで演壇まで飛んだ一行のうち、ククールは一番最後に振り向きました。
あのほんの数秒のためらいに錯綜する、ククールの思いの話。

振り向け!


オレよ、振り向け!!




振り向いた先には、あいつがいる。


聖堂騎士団長

マイエラ修道院院長

新法王

前法王殺しの大罪人

暗黒神の力を借りた背教者

オレが心から憎んでやまなかった奴

オレが魂から愛して欲しかった人

オレの腹違いの兄

オレの唯一の家族




あいつの名は、マルチェロ









振り向け!


オレよ、振り向いてあいつに対峙せよ!!


どうしようもなく強かったあいつ。

決して敵わないと思っていたあいつ。

暗黒神の力を得て、更に強大な力を得ている筈のあいつ。




オレよ、勇気を振り絞り、あいつの翡翠色の瞳を見据えろ!!


兄貴には勝てない。

「お前は私には決して勝てない」

勝てたことがない。

勝てる筈もない


オレよ、そんなオレの怯懦の心を、オレの体内から追い払え!!




ククール、お前はこの旅で何を学んだ？


何を得た？




オレは世界の広さを学んだ。

オレは降り注ぐ光の温かさを学んだ。


オレは友を得た。

オレは愛する人を得た!!






マルチェロ!!


あんたには学べまい!

あんたには得ることが出来まい!




あんたには何もない。


そして、何もない事を知る心すらない。











だから



オレよ振り向け!

そして戦え!!



あいつに世界を奪わせないために。

あいつに敗北を味わわせるために。


あいつに、あいつにはなにもない、事を知らせるために。




オレよ、躊躇うな。

オレよ、恐れるな。

オレよ、逃げるな。




オレよ、戦え。







だから、オレよ。

その為に、振り向けっ!!

終

２００７／１／２７

あの“一瞬だけおそく振り向く”というのは、ニクい演出だと思います。
他のメンバーよりこもごもが多くて、でもその分他のメンバーよりあの旅で成長できた。
だから、躊躇ったのは一瞬だけ。

当のお兄さまは、そんなククの内心なんて、斟酌する“つもりもない”と思いますが、そんなだから負けるんだよ、兄貴？