Imitation Gold




他の聖堂騎士団員から見た平団員時代の兄の話。
ちなみに予備知識ナシでも読めますが、「トマーゾって誰?」とお思いになった方は、アホモの戯曲一連を読むと、更に楽しめるのか、かなり微妙です。
でも、ノーマルですよ。






















「トマーゾ、交代だぞ。」
「おう、良かった。そろそろクタクタだったんだ。」
「夜勤は疲れっからな。しっかり寝とけよー。」

俺は笑いながら当直を交代すると、軽い夜食を取った。
夜勤は腹が減るものなので、食事にも厳格な修道院規則でもこのくらいは認められている。

てか、そのくらいは勘弁して貰わないと、俺みたいな十代の男は死んじまう…


そうして俺は、修道院を抜け出す。

「なんだトマーゾか…ほどほどにしとけよな。」
という声に見送られながら。








確かに、修道院からのびる街道を歩けばドニの町だ。
今から行って、ちょっとひっかけて戻る…のも、そんなに悪くはないとは思う。

ただ、俺の目的はそうじゃない。
だから俺は街道から外れて、森の方へと向った。











襲い掛かってきたアルミラージを切り伏せると、俺は一息ついた。

剣についた血のりを拭い、魔物の死体の切り口を確かめる。


「ん…俺の剣の腕もボチボチにはなってきたな。」
深夜の森の中、誰が褒めてくれる訳でもないので、自分で自分を賞賛してみる。
だがまあ、睡眠時間を削って特訓に励んだ効果も出てきたようだ…




ああ、俺は最近、深夜に修道院を抜け出て剣の稽古をしていたんだ。




家を出て女神に仕える誓願を立て、聖堂騎士叙階を受けてもう二年になるかな。

聖堂騎士ってのは、信仰心に加えて、知力、体力、体格、剣の腕、すべて兼ね備え、ついでに容貌まで必要だっていうマイエラ修道院のエリート騎士だ。



だがまあ、世の中にはそうそうそんだけ沢山のものを兼ね備えている奴はいない。

俺も、まあ体力と図体はいいんだが、それ以外の…知力だの、さらには悲しいことに容貌だのがからきしだった。
それでも聖堂騎士になれたのは、そこはそれ、俺が



貴族の子弟



で、教会に親が多額の寄進をしてくれたからだ。




しかし、これから長い人生を聖堂騎士として過ごすにあたって、いつまでも短所の多い聖堂騎士であるのも癪なので、俺は一念奮起してまだなんとかなりそうな剣術の向上に努めているという訳だ。



恥ずかしいから、人には言ってないけどな。











「さあて、そろそろ帰ろうかな…」
俺は一人呟いて、振り向いた。



目の前にいたのは、リンリン。
ベル型の魔物だ。



「ちっ、うっとおしい…」
俺は剣を構えた。

リンリンは四匹はいたが、それほど強い魔物でもない。
俺の剣の腕も磨かれてきた事だし、この程度なら一人でもなんとかなる。
俺はそう考え、剣を振るった。



スクルト


リンリンが守備力増強の魔法をかける。

「面倒なコトを…」
防御が硬くなったリンリンに少し手間取ったところで、魔物は

リンリンー

その体を震わせた。
それと呼応するように、のしのしという不吉な音が近付いてくる。


俺は振り向く。
大きな竜。

「…デンデン竜かよ…」
マイエラ周辺には、聖堂騎士団のおかげでそれほど強い魔物は生息してはいないが、その中での例外がこのデンデン竜だった。
体力と攻撃力がズバ抜けて高い竜。

俺はリンリンの最後の一匹を急いで切り倒すと、ホイミをかけてそいつに向き直った。






自分で言うのもなんだが、なかなかいい勝負をしていた。

ああ、幻術士が忍び寄ってきているのにまるで気付かずに、そいつに幻惑の呪文をかけられさえしなけりゃ、俺はデンデン竜を倒せていたはずだ。





俺は最後の魔法力でホイミをかけて、デンデン竜に向き直る。

さっきから幻影の魔法のせいで、攻撃が当たらない。



俺は目に入った血を拭う。
だが、俺にかけられた幻影呪文はなかなか俺の目から拭われてはくれなかった。





デンデン竜は、大きく息を吸い込んだ。

炎を吐く気だ…
俺は分かったが、もうどうすることも出来なかった。
まともに炎をくらったら、多分、もう立てないだろう。
だが、炎の範囲から逃れる術はなかった。



俺は半ば覚悟して、防御体制のまま目を閉じた。















剣が風を斬る音がした。




俺が薄目を開けたのと、デンデン竜の巨体が地面に、ずしん、と音を立てて倒れるのがほぼ同時だった。



俺は一瞬あっけにとられたが、日ごろ受けていた訓練の賜物か、それとも自己特訓のおかげか、体が反射的に動いて、傍で同じく驚いていた幻術士を切り倒していた。







俺は周囲にもう魔物の姿が見えないのを確認すると、やや情けないが立っている体力もないので仕方なく座り込み、“命の恩人”を見上げた。


「…助かったよ…」

“命の恩人”は、笑うでもなく、あざ笑うでなく、俺に言う。
「そのままだと、出血で体力を失って、修道院まで帰れん。それは助かったとは言わないだろう?さっさと回復したらどうだ?トマーゾ。」

「…そうだな。出来るんならしてるよ…だから、もしもう少し同じ聖堂騎士として情けをかけてくれるなら、ホイミの一つもかけてくれないか…マルチェロ。」

俺がそう言うと、“命の恩人”ことマルチェロは、そっけない様子で、本当に言葉通り、ホイミを一回だけかけてくれた。

まあ…これで帰れるだけの体力は回復したんだけどな、確かに。





俺は、何を言っていいものか少し困ったまま、俺を見下ろしているマルチェロを見上げた。

確かに同じ聖堂騎士であることには間違いはないのだが、俺はこいつとほとんど会話をした記憶がない。
一応、年は同じとは言え、こいつが俺の名前を知っている事すら少し驚きだった。



ああ、もちろん俺はマルチェロを知っている。
むしろ、修道院内でマルチェロを知らない人間なんて、間違いなく一人もいない。





卓越した剣術、怜悧な頭脳、博覧の知識、堅固な信仰心、そして神秘的な黒髪と憂愁の翡翠色の瞳をした美丈夫。
出世頭に間違いない聖堂騎士団員マルチェロ




あんまりに優秀すぎて、そして優等生すぎて。
やっかみ半分に嫌われもしているマルチェロだ。



「こんな夜中にこんな所でウロウロしているから、魔物に襲われるのだ。」
ついでに、嫌味もキツい男だ。

俺は別にこいつが好きでもないが、嫌いでもないので、一応、ツッコミを入れておく。



「マルチェロ、それは俺の台詞だ。品行方正なあんたが、こんな深夜にこんな所で…夜遊び帰りか?」
修道院規則では、深夜の無断外出は許されない。
まあ人の事は言えないが、だがそれでも、団員や修道僧の中には暇と体力と若さをもてあまして、ドニの町に夜遊びに行くものがいるのも確かだ。



優等生のこいつでも、やっぱりそんな気分になる事があるのか…
俺は少し意外だったが、別に咎める気はなかった。


マルチェロが冷たい目をして何も言わないので、俺は少し慌てた。

「いや、だから何だって訳じゃないんだ。そりゃたまにゃそんな気分になる事もあるだろうし、そもそも今回は命を助けてもらったんだ。誰にも言う気は…」

「…自主特訓だ。」

「…は?」

「夜の魔物相手に、剣の腕を磨いていたのだ。」
そして、少しバツの悪そうな表情になると、腰を下ろした。










俺は、この優秀すぎる同僚をやっかんだ事は特にない。

何故かというと、俺はこう思っていたからだ。



こいつは、根本的に出来が違うんだ…



院内の本を全て暗記していると称されるほどの頭脳も、
院内で叶う者はないのではないかと噂されるほどの剣の腕も、

女神に愛されてこいつに与えられているものだとばかり思っていた。






「…なんでまた、規則に背いてまでそんな事を…」
俺もそうなんだが、それはおいといてマルチェロに問うと、マルチェロは答えた。




「訓練なくして、剣の腕が向上するものか。」
「いや、そりゃそうなんだけどさ…」

俺は言い方を変えた。



「じゃあなんでそこまでして、剣の腕を上げようとするんだよ。あんたはもう十分に強いじゃないか…」

「まだまだこんなものでは足りない。私はもっと強くなる必要がある。」
マルチェロの瞳に、強い感情が宿ったのが感じられた。



「どうしてだ?あんたは十分優秀だし、十分将来有望な…」


「将来有望!?“悪魔の子”に保障された将来などあるものか!!」
マルチェロは突如叫んだ。

俺の驚愕など気にもせず、マルチェロは続ける。




「トマーゾ、お前も耳にしている事だとは思うが、私は庶子だ。女神に祝福された婚姻の秘蹟を経ずに、肉と肉の交わりのみによって懐胎された罪の子だ。教会がその存在を嘉しない“悪魔の子”だ。 聖堂騎士の叙階を受けるにあたっても、それがどれほどの障害になったか…いや、徳高きオディロ院長のお慈悲がなければ、けして聖堂騎士にはなれなかっただろう…だからっ!!」



だんっ!!

マルチェロは拳を地面に叩きつけた。

どうでもいいが、痛くないのかな、こいつ。
という俺の視線を見もしないで、マルチェロは続ける。



「だから私は、他の団員の二倍も三倍も優れていなくてはならない。そうでなければ、私を見込んで騎士にして下さったオディロ院長のご尊顔に泥を塗ることになる。そして…」



マルチェロは、激烈な感情を瞳に燃やしたまま、続ける。


「私も蔑まれる!!だから私は強くなければならない。この修道院のこの聖堂騎士たるに相応しいように!!」




ああ…
俺は冷静…というかスカした奴だと思っていたマルチェロをじっと見つめて、ため息をついた。





「私は残念ながら黄金の生まれではない!!だが、本物の黄金ではないからこそ、本物の黄金よりも光り輝かなくてはならんのだ!!」


俺はマルチェロの演説を聞きながら、遠い遠いと思っていたこの男にようやく親近感を感じる事が出来るようになった。






マルチェロは一気に叫ぶと、一息ついて俺をじろりと睨みつけるようにして
「…どうせ、貴族の出のお前には理解出来ない感情だろうがな。」
と、激しく可愛げのない台詞で締めた。








「…分かるよ、マルチェロ…」

俺の返答に、マルチェロは不審そうな表情をする。

「俺にもよく分かるよ…お前ほど強くはないけどな。」

「何を訳の分からない事を言う、トマーゾ。お前は、名門フェデリチ家の出で…」

「ああ、俺は名門フェデリチ家の出で、しかも長男なんだ。」

「ならばなんの不自由もない身分ではないか?」

俺は、よく知らない同僚の家門名まで熟知しているマルチェロの記憶力に、改めて敬意と、微妙な子どもっぽさを感じながらも答えた。



「なあマルチェロ、長男が僧籍に入るなんて、おかしいと思わないか?普通は長男は跡継ぎで、まあ僧籍に入るのは次男三男坊以下だろ?」
「…確かにな。」
「しかも俺は、確かに出来はあまり良くはないが、五体は満足だし、健康だ。跡継ぎを外される理由があるとしたら、なんだと思う?」

「…出生に曰くがあるのか…」



マルチェロの返答に、俺は頷いた。
「そう…俺は実は、お前と同じ“悪魔の子”なんだ。…嫡出子という事になっている、な。」















俺は物心つくころにはもう、“母親”という事になっている女性が実の母でない事を知っていた。

“弟”や“妹”と半分しか血が繋がっていない事も知っていた。


そして、それだからなんだと思って毎日暮らしていた。
“母親”はぼちぼち母親らしくしてくれていたし、“弟”や“妹”とは普通に兄弟をしていた。




俺は、
「トマーゾ、お前の母親はなあ、それはそれは綺麗な人でなあ…」
に始まる父親の昔話を、耳にタコが出来るくらい聞かされて育った。


親父と俺の顔…自分で言うのもなんだけど、どっからどう見ても美男子ではない顔を見比べるに、本当に俺の実の母親が
“それはそれは綺麗な人”
かどうかは怪しい話だが、ともかく父親は母親と恋をしたが、それは許されない恋で、幻想的な恋の結果出来てしまった、現実的な赤ん坊の始末に両家は困り果てたらしい。

結局、父親は別の女性と“家門にふさわしい”結婚をし、赤ん坊は父親が引き取り、けっして母親が誰かを子どもに言わないことで同意が出来たそうだ。





父親は過ぎ去った美しい恋を嘆くくらいのロマンチシズムは持ち合わせていたが、それはそれとして社会生活を送る上で必要なリアリズムもきちんと持ち合わせていたので、婚姻上の妻や子ども達とも、うまく仲良く幸せな家庭を築いていた。




子どもの時は良かった。

俺が十代も半ばになる頃には、父親と“母親”がこそこそと話し合うことが多くなっていた。
もちろん、話し合うのは俺の事。

俺の“始末”の話だった。

俺の家は名門で、それに見合った財産もあり、そして“母親”はもちろん貴族の女らしく家門と家門のつながりのために嫁いで来た人だったので、ぶっちゃけた話、俺が存在すると、財産とか相続とか、話がいろいろとややこしいのだった。





俺もそれは分かっていた。
だから、覚悟はしていた。






俺は父親に呼ばれた。

父親は、俺の顔を優しい眼差しで見つめると、こう言った。
「トマーゾや、お坊様になっておくれ。」





代償は、僧籍に入って生活するのに不自由しないだけの財産分与と、“母親”の嫡子認定だった。
つまり俺は、僧籍に入れば“庶子”ではなくなり、“女神の子”になれるという事だ。

今でもどんな原理かは知らないが、父親と母親が女神に誓えば、庶子でも嫡出子になれる事になっているのだ。それが、本当に女神さまがお許しになっている事かは生憎と俺にはわからないが。

僧籍に入れるのは、うっかり家庭を持たれたりして、後で遺産相続をややこしくしないため。












「そしてお前は頷いたという訳か、トマーゾ。」
マルチェロは、眉間に皺を寄せていた。

「ああ、うん、そうだ。そして俺は“母親”の長男になった。…父親は俺をどっかの司祭か司教に弟子入りさせて、ゆくゆくは司教座でも持たせたかったみたいだがな、俺は本ばっか読む生活が嫌だったから、このマイエラ修道院の聖堂騎士にしてもらったんだよ…例の分与財産を寄進して、な。」

俺は、マルチェロの不愉快そうな顔をじっと眺める。
やっぱりこいつ、意外と子供っぽいのかもしれない。不愉快な表情はまともに顔に出るから。


「トマーゾ、お前はそれで満足なのか?要は、はした金で家を放り出されただけではないか。」

「…まあ、そういう考え方もあるだろうな。だが、俺がそこで駄々をこねた所で誰も幸福にゃなれないだろ?母親は実家に泣き付き、父親は困り、弟妹たちは俺を邪険にし、そして最後にゃなんの後ろ盾もない俺は、一文無しで庶子のまま家を放り出されただろうさ。だから、これでいいんだよ。」

「物分りのいい御子息でいらっしゃるのだな…で?聖堂騎士になり、暇つぶしに今日は夜遊びという訳か?…それで私の気持ちの何が分かるというのだ。」
可愛げのない嫌味に、俺は笑う。

「ん、そうさな。とりあえず今日ここでしてた事かな。」
マルチェロは一瞬考えたが、さすがに怜悧な頭脳をしているだけあって、立ち上がると俺の切り倒したアルミラージや幻術士や、そしてデンデン竜の死骸をとっくりと眺めた。



「成るほど…腕を上げていると思ったら、こんな所で“夜遊び”か。」
そして、少しだけ険のない表情になった。



「ああ、何の後ろ盾もないのに、実力だけで聖堂騎士になったお前に比べて、いい身分だとは自分でも思うよ。でもまあ、俺は置かれた状況に見合うようになれるよう、努力はしてるつもりなんだ。そりゃ、お前みたく人の二倍も三倍も優れているようにはなれないだろうけど…俺も偽の黄金だけど、少しは輝けるようになりたいんだ。」



マルチェロの表情に、また険が加わった。
なんか変な事言ったかな、俺。

お前ごときと同列に扱うな

ってコトだったら、俺でも怒っていいとは思うけど…




「トマーゾ…」
「?」
「ホイミ!」
「は?」

俺は、マルチェロが何回か唱えてくれた回復呪文で全快した。




「あ…ありがとう…」
「礼には及ばん。お前が権力と家門をカサに着た聖堂騎士団員のクズではなく、克己心を持った男だと分かったからには、当然の処置だ。」
「あ?ああ…」

やっぱり、イマイチ理解出来ないなあ、こいつの思考回路。
ただまあ、少なくとも少しは好意を持ってもらえたようだ。







「なあトマーゾ…お前はどう思う?」
「なにが?」
「お前も私も、“庶子だ”という、自分にはなんの責任もない“生まれ”で損害を蒙っている。」
「ああ、まあそうだな…俺は損害ってほどじゃないけど…」



マルチェロはそうではないのだろう。
確かな情報かは知らないが、院内でもこいつをやっかんだ連中が色々と話していた。





「それは、正しい事だと思うか?」
真摯な瞳で問いをぶつけるマルチェロに、俺は困惑した。

正しいも正しくないも、そういうものじゃないか…



「仕方ないこと…だろ?王は王に生まれたから統治し、貴族は貴族に生まれたから支配するんだから…」
「仕方がないではなく、正否を問うている!」
やたら峻厳な口調で、審問官のように問うマルチェロに、俺は少し考えて答える。


「そりゃ…そうでなかったらいいとは思う…けどな…」
俺の答えに、マルチェロは少し表情を和らげた。

「…やはり、そう考える者は騎士団員にもいるのだな。」
そして、空を見上げた。







そんなこいつの顔を見て、俺は、こいつを大分と好きになっている自分に気付いた。







俺は、努力家の、でもやっぱり出来が俺なんかとは違って、そして理想家の男に声をかける。

「なあマルチェロ、そんな世の中を創りたいとか思ってたりしないか?」
「…」
マルチェロは、無言で俺を見る。



「マルチェロ、あんたは俺なんかより、よっぽどすごい人間だ。」
いろいろ変わってるけど。


「あんたはきっと偉くなるよ。そして、いつかあんたがそんな理想を叶えたいと思うんなら、俺はその時はあんたに剣を捧げよう。」
「…」
マルチェロは相変わらず無言だが、俺はまだ続ける。





「ようやく、聖堂騎士としての目的が見付かった気がするよ。なんせ、“なんだかカッコ良さそう”なんて理由で騎士になったからな。」
俺が笑うと、マルチェロの顔からようやく険が消えた。





「なら、私も更に克己せねばなるまいな。そこまで見込んでもらえたのだから…」





年相応の顔を見せたマルチェロを見ながら、俺はなんだか満足していた。




剣の腕を磨く目的が出来たことが。
















でも俺は同時に、何故か目の前の男の将来に、悲しくて苦しい予感を覚えてもいたのだった。







2006/8/18

一言要約「マルチェロ青春物語」
十代の兄です。青臭いです。夢も語ります。でも、エラそうだし、電波だし、嫌味だし…
ようやく聖堂騎士から見た兄シリーズに入れました。という訳で第一弾は、アホモの悲劇のヒロイン?トマーゾくんです。ええ、タラコ唇の彼。 ゲームでもマルチェロの同期みたいなので、甘酸っぱい青春劇のようにマルチェロと語り合ってもらいました。
背景画像は花水木。花言葉は「我が思いを受け入れよ」(笑)
いやそういう意味ではなく(ちょっとはあるけど)聖堂騎士の面々は、多かれ少なかれ、いろんな意味で尋常でないマルチェロに、自分の夢なり思いなりを託してるんだろうなーと思って、これにしてみました。 まあ、それの結末がアレだったのが、ちと気の毒ですが。
庶子庶子と一人で言ってる兄ですが、他にも庶子はいっぱいいた訳で、そんな人たちは自分のおかれた環境でそれなりに一生懸命に生きてた訳です。そう思ってトマーゾの過去話を入れてみたわけですが…設定捏造もいい加減にすべきかな?




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