蒼く貞潔なる者への赤い視線




「蒼く貞潔な者」のククール視点話です。
気色悪い場面に加え、同性愛かつ近親相姦的描写があります。






















 かちゃりと音を立てて異端審問室の部屋を開けたオレの目の前にあったのは、青色と白だった。

 

 目の前にある白い女の裸体は、女として尋常な均整をとうに保たず、奇妙なまでに引き伸ばされていたが、オレにはむしろ色っぽく感じられた。


 「誰…だ…」

 いつものように青色の聖堂騎士団員服を纏った兄貴は、その、いつもは硬質な冷たさしか宿らせていない、翡翠色の瞳に怒りを燃え上がらせて振り向いた。

「聖堂騎士団員ククール、騎士団長殿の伝言を持参いたしました。」

 オレが努めて、事務的な口調で言うと、


「…言え。」

兄貴は、ぶっきらぼうに言った。


「聖堂騎士団副団長マルチェロ、オディロ院長と私が戻るまでに、異端者の尋問及び改悛を終えておくように。ちなみに、修道院への帰還は三日後になる予定。」

 オレは更に事務的な口調で言った。なぜって、こんな伝言に親愛の情を込めたって仕方ねえから。

 まあ、こめたっていいけど、兄貴のツラが今度はオレへの不快感で彩られるのは目に見えてる。


 ま、無視されるよりはいいけどね。



「チッ…院長のお供というお気楽な身分で、無茶をおっしゃるな、団長殿は!」

 よっぽど煮詰まってんのか、いつものイヤミにキレがない。オレはちょっぴりからかいたくなった。

 

 「今のお言葉は、団長に伝言申し上げた方がよろしいですか?副団長殿。」

慇懃無礼な言葉を投げて、オレ自慢のビボーに笑みまで浮かべて反応をうかがってみる。


「戯言がすぎるぞ、ククール。」

 激しく直接的な返答だった。イヤミ考える余裕もないらしい。でもこのまま八つ当たりされると厄介なので、オレはここらで退くことにした。


「はいはい、副団長殿。…しかし、団長殿の拷問でもまだ“改悛”しないんですか?この女。」

 聞いてた話では、普通の農婦だということだった。兄貴の拷問の腕は、多分、長いながーい歴史を誇るマイエラ修道院の伝統の中でも、たぶんぶっちぎりで一番だろう。相当コンジョー入った異端を、三時間ばかしで泣かせた事がある兄貴がてこずるような異端には見えない。


 確かにオレは女には甘いし優しいし、ドニの村で会ったんならナンパの一つもしたろう。さすがに自分の赤ん坊を暗黒神の朝食にした女には、食指は動かないけどな。




 オレは今回の異端掃討作戦には加わってない。

なんでかっていうと、敬愛すべきオディロ院長と、限りなくどうでもいい騎士団長殿のお供で、聖地ゴルド参りに行ってたからだ。


「ククールは確か、聖地巡礼はしたことがなかったのう。どうじゃ?ゴルドり女神さまはとてもお綺麗じゃぞ。」

孫を旅行にさそうじいちゃんみたいな言葉で、オディロ院長はオレをお供に加えてくれた。この人にはいつまでも、オレが修道院に来たばっかのガキと変らないように見えてるのかもしれない。


 いや、ホントは違うことは知ってる。

 今回留守番する、マルチェロ副団長殿は、オレを蛇蝎のごとく忌み嫌ってるから、オレも残すと副団長殿がオレをいじめると思って、供に加えてくれたんだろう。オディロ院長は普段はくだらないダジャレばっか言ってるけど、ホントはすごく賢いひとだから。


 しかも旅の途中、オレを直属の世話係にしてくれた。

 なぜかって?そりゃあ、団長殿がオレのキュートで雪のようなケツを狙ってる事をそれとなくご存知だからだろう。なんせこの団長殿は、家柄はいいがハッキリ言って無能で、礼拝先のいろっぺーマダムだの、修道院内のオレみたいな可愛い美少年をモノにするコトばっかに精力を注いでる人だ。おかげで、副団長である兄貴が全部、実務を押し付けられている。


 いや、取り仕切ってる…つった方が適切なんだろうな。なんせ、今じゃ兄貴ナシじゃ修道院は回らないんだから。近い将来、兄貴が団長になるだろう…てか、なるに違いない。その為の裏工作も始まってるんだ。

 知らぬは団長殿ばかりなり、って奴さ。



 まあともかく。おかげで貞節は守られた代わりに、院長のくっだらないダジャレを頭が痛くなるほど聞かされたオレは、聖地巡礼に来ているシスターとかと適当に楽しみつつ、日々ぼちぼち仕事をしてた。

 オディロ院長は、実はゴルドでの高級聖職者会議とかいう、かぎりなくつまんなさそーな会議で重要な発言をしたり、とってもよく働いてた。


 その最中にも、兄貴が指揮を取った異端掃討の顛末が続々と届けられていた。

 

 報告書は一言でいうと“無残極まりない”内容だった。

オディロ院長は、読みながら何度も何度も十字を切っては、哀しそうにオレに言った。

「なぜに慈悲深き女神の御手を離れてしまうのかのう…」


“そりゃあ、女神様の慈悲を感じられないからじゃないかなあ…”


オレは思ったけど、院長がもっと哀しい顔になるのが分かりきっていたから、なんにも言わなかった。

だいたいオレも、女神様の慈悲からいろいろと遠い所にはいるけど、だからといって赤ん坊を煮込もうと思ったことはない。暗黒神を信じる奴の気が知れないのは、オレも一緒だった。


 兄貴が、唯一生き残った異端者の拷問に苦戦しているらしいという報告が届くと、騎士団長殿はやたらと嬉しそうな表情になった。

 異端者の女ごときの尋問に手間取るとは情けないとかなんとか、激しく聞き苦しい台詞をつらつらと嬉しそうに並べる。自分よりはるかに有能な副団長がちょっとでも不手際を見せたのが、嬉しくて仕方ないのが丸分かりのその態度に、オレは


“だからてめえは無能なんだよ。”


と言ってやりたくてたまらなかったが、なんとか我慢した。だって、オレも分別くらいはあるしね。


 そして、件の伝言だった。多分、奴は自分で言ってやりたかったんだろうが、生憎と奴はルーラが使えなかったのだ。




「…まだ拷問が甘いらしい。」

兄貴は独り言のように呟くと、装置に手を伸ばした。


 この女がつけられてる拷問器具は、ぐるりっとまわすと、カラダが有り得ねーくらい引き伸ばされることの出来るシロモンだ。トーゼン、限界をこえて引き伸ばされるとどうなるかってーと…まあ、骨が脱臼っていうには生易しすぎるくらい外れるとか、しまいにゃ内臓は引きちぎられるとか、そーゆーコトになる。それはもう、耳に一月は残るくれーの悲鳴を犠牲者はあげるワケで、オレも最初にこの拷問を見たときは、胃の腑がひっくりかえるほど吐いた挙句、しばらくまともに眠れなくなった。


 ま、今じゃ慣れたけどね。

 人ってのは偉大なモンで、どんなコトだろうが、それなりには慣れるモンらしい。尤も、自分で拷問する気にはなれないし、されたくもない。





   ぎりぎり



不吉な音が小さく響き、




  ぎしゅり



新らしい骨が砕ける音がした。ああ、何度聞いても“楽しい”音じゃあない。

 でも、兄貴の感じ方は違うらしい。 


「女!!女神への慈悲を請え!!呪われし妄語を頭から追い払え。このままでは、地上の炎は息絶えるまでお前の皮膚を焼き、内蔵を炙る。だが!!堕ちた先での地獄の業火は、お前の魂までも焼き、その苦痛は絶えることがないのだぞっ!?」

 女神さまに訴えかける神の使徒みたいに朗々と語るその口調と、そして熱を帯びた兄貴の翡翠色の瞳は、アレの時の女にちょっぴり似ていた。

 つまりは、どっちも恍惚感に濡れていた。


  ぎしゅり


骨の砕ける音もっぺん。




           ぽたり


 オレは小さな音が聞こえた気がして、兄貴の瞳から目を離した。


           ぽたり


 とっさに女の胸元に目がいったのは、オトコとしての本能みたいなモンだと思う。

 そしてオレは見た。

 だから、兄貴に目配せした。


 兄貴の翡翠色の目が、信じられない、という色に染まった。



 白いしずくが、胸をつたい、女の腹をつたい、そして地面に落ちていた。


女の乳首から、多分元々は煮ちまった自分の赤ん坊におっぱいを含ませたに違いない、どっちかってーと色の濃い乳首から、白い母乳がこぼれだし、滴り落ちてた。



 兄貴は、あからさまに見て取れるほどの嫌悪感と不快感に苛まれた様子で、でも女の胸から目を離すことをしなかった。



 声



 女は声を上げた。

それは甘い喘ぎ声。二人っきりで聞いたんなら、いいカンジでムラムラしてくるような声。


 二人っきりじゃねえけど、オレはムラムラしてきた。



 それはだんだん激しくなり、しまいにゃ、獣の唸り声のような叫びになっていった。

 ああ、聞いた事がある。女のイッた時の吠えるような声は、子どもを生むときの絶叫と一緒なんだってさ。


 女の叫びには、言葉が混じっていた。



あんこくしん…さま…あ…あたしが…あたしがあなたをはらんであげる…

あたし…あたしがあなたをうんであげる…

ゴル…ド…の…クソばいだ…なんかじゃなく…あたしが…あたしが…

あたし…の…ここ…は…あんなおんなより…イイわ…よ…



 オレは、暗黒神の教義には兄貴ほどは詳しくない。

 が、一般人よりは詳しいから、それが何を意味するかは分かった。



「…」

そして、オレよりはるかにその示すところを理解したはずの兄貴は、燃えるような瞳の色をして、限界を超えて女の体を引き伸ばした。



女の喘ぎ声は、それでも途切れない。


「お、おい…あに…副団長…それじゃ…死…」

 これは尋問であって、どうせ後で殺すにしても、今殺しちゃ駄目だろ…


ぽたり

ぽたり

と母乳はさらに滴り、女の体は蠕動した。


 

 兄貴がびくりとした様子で、手を止めた。


オレもびくりとする。


 兄貴は、しばし虚ろな目でオレの顔を眺め、そして、はじかれたように瞳に色を取り戻すと、審問室を駆け出て行った。



オレはとっさの判断に困ったけど、とりあえず拷問にかけられた女を、即死しない程度に巻き戻した。そして、審問室を出て、兄貴を追った。女の白目にみつめられるのは、気分のいいモンじゃない。

 それに、オレにはぴんと来るものがあった。



 

 兄貴の部屋から、ムチ打ち苦行の音が聞こえる。

周りの騎士団員に聞くと、恐ろしい形相で駆け込んできて追い出されたらしい。

「やっぱりな…」

 オレの呟きに、そいつらは不審そうな顔つきをしたので、オレは脅してやった。

「ちょいと面倒なコトになったんだ。今ここにいると、とばっちり食らうぜ。」

オレの脅しが巧妙だったのか、それとも兄貴の日ごろの人徳か。

 騎士団員たちは、そそくさと消え去った。



 ドアに耳を押し付ける。

 鞭打ちの音に混じって、かすかに聞こえる祈りの言葉。

 告悔のことば。

 罪を悔いることば。


 オレは、多分ヒワイに笑みを浮かべてたハズだ。


“兄貴…欲情しやがった…”


 

 聖堂騎士団員には、純潔が義務づけられる。

 少なくとも、騎士になる際の誓いで、

「汚れ無き女神に童貞を捧げる」

といわなきゃなんねえ。


 がまあ、修道院内には、男色行為が蔓延してる。まあ、オトコばっか閉鎖空間にいるんだから、分からないこともない。てか、そもそも聖職を志そうなんてやつは、多かれ少なかれそんな手合いが多いのも確かだ。

 オレみたいに、行くトコがなくて仕方なく坊さんになったような奴は、ドニにいる可愛い女の子や、礼拝先のいろっぺーマダムだの、可憐な令嬢なんぞと、恋愛ごっこをしたり、時にはごっこがとれたりしたようなコトをしてる。

 

 が、我等が副団長殿は、多分まちがいなく童貞だった。



 モテない訳じゃない。

 

 礼拝先のマダムからは、まさに聖者のような圧倒的崇拝を受けている。あの奥様方の中で、兄貴の童貞をもらう為になら寄付金の10000Gも弾みそうな方々は、オレの知る限りでも足の指まで使って数えられるくらいいる。

 

 修道院の中でも、兄貴をうっとりと濡れた目で眺める奴は、うんざりするほど多い。まあ、恐れ多くも鬼の副団長殿を押し倒してやろうって命知らずも同じくらい多いけど。


 それでも。男にキョーミがないのか、女嫌いなのか、はたまた本気で女神に貞潔を捧げるつもりなのか、兄貴はどれにも加担しなかった。



 そんな兄貴が…異端者の女に欲情した。

 オレは、もっと詳しく兄貴の様子を窺おうと、さらにドアに耳を押し付ける。


兄貴の皮膚を破りそうな鞭の音は、激しく響き、兄貴の祈りの声も、それに導かれるように少しづつ大きくなっていった。


女神よ…女神よ…



 もう、血が流れるほど鞭で自分の身を打っているだろう兄貴を想像し、そんな兄貴に縋られている女神様の姿を想像し、兄貴になんども名前を呼ばれて、妖しく微笑んでいる女神様を想像し、



オレはちょっと、女神様に嫉妬した。





 オレは部屋を離れると、そのままドニへと向かった。

 最初にオレに親しげに声をかけてきた女の子の腰をちょっと乱暴に抱き寄せると、今日は一段ときれいだね、とか、君くらい魅力的な女の子はやっぱ他にはいないよとか、心はまったくこもっていない代わりに、飛び切りの笑顔つきでささやくと、彼女は、まだ日の高いうちから宿屋に連れ込まれることを承知してくれた。



今日はホントに激しくてステキだったわ。

 彼女がオレの耳元で囁く。


だって今日の君は、一段と魅力的で我慢できなかったんだ。

 オレが、彼女の耳元で囁く。


 ウソをついたコトは、ちゃんと今日、女神様に謝るから大丈夫だ。だって、慈愛深き女神さまは、なんでも許してくれるから。



 

 夜が明けないうちに修道院にもぐりこもうと、裏手から回ると、


「聖堂騎士団員ククール。」

感情を押し殺したような声がオレを捕まえた。


「あに…副団長殿…」

とっさに軽口が出ないほど驚いたオレに、兄貴は命じた。

「異端の女を火葬に処す。聖堂騎士団副団長として命ずる、手伝え。」

兄貴の持つ松明に照らされた先には、毛布をかけられたなにかがあった。


 そしてオレは、兄貴と黙々と穴を掘った。

 さっきまで生きてた女にナニが起こったのかなんて、もちろん兄貴に問う気はない。

 兄貴も感情も浮かべずに、火葬兼埋葬用の穴を掘る。



 どれだけ時間がたったか、適度な深さになった穴に燃料を敷き詰め、そこに女だったモノを入れるよう、兄貴はオレに命じた。

 さすがに足で蹴り込むのは、騎士として…というより人としてどうかと思い、毛布でくるまれた“それ”を持ち上げた感触は、一言で言うと“妙”だった。

 “それ”は、人間の死体というには、いろいろと間違ったものにされていた。

だからオレは、それ以上は想像すまいと思い、さっさと穴の奥に“それ”を横たえた。


 油が注がれた。



 松明が投げ込まれた。





 低い温度で焼かれている“それ”は、それが故になかなか燃え上がらなかった。

 オレが気をきかせて…というより、さっさとこの場から立ち去りたくて油を注ぐが、兄貴はそんなオレが視界にも入ってはいないようだった。



 なにか、聞こえる。



ようやくぱちぱちと言い始めた炎にかき消されそうな小声だが、確かに兄貴は何か言っていた。


ぱちぱち

はぜる音



人の髪が焦げる臭いが漂う中、



ぱちぱち

はぜるその音を伴奏にして、兄貴は歌っていた。




「…恵みに満ちた……幸に溢るる……その腕で悪を打ち砕き…慈愛深き笑みを…」

修道院の者なら、脳みそ半分叩き飛ばされても忘れ得ない聖歌「ゴルドの女神への賛歌」だった。



 皮膚の焦げる、常人なら耐え難い悪臭がたちこめる。


「汚れ無き威光…悪の腐臭を…ただ清らかなる御身よ…」


翡翠色の瞳は、火葬の炎を映して燃え上がり、そのゆらぎにゆらめくのか。



「いと高き御方よ…この世の邪悪を滅したまえ…」



いや、オレは断言する。

そこで燃えるのは、情欲の炎。

ゆらめくのは、恍惚の光。


歌う声は、情交の最中の、甘く切ない喘ぎ声だ。





たちこめるは悪臭。

焼かれるは、異端の女の死体。

時は夜。





これは、罪の時間…

















オレは聖堂騎士なので、罪を犯したらちゃんと懺悔は行う。


オレは自分用の女神像にひざまずく。

もちろん、部屋にはオレしかいない。


「女神さま、オレは罪を犯しました。ドニのあの晩の女の子を、心にもない愛の言葉で騙しました。でも、別に彼女を愛してないわけじゃないんです…ただ、あの時はとりあえずスッキリしたかっただけなんです。」

女神さまは優しいから、きっとこの罪は許してくださると思う。



「女神さま、オレは罪を犯しました。女神さまに贖罪を行う副団長殿の様子を盗み聞きし、ヒワイなそーぞーをしました。でも、別にオレはそんなに悪くないと思うんです。だって、珍しくもヒワイな気分になった兄貴がいたからだから。だいたい、あの兄貴がそーゆー気分になるくらいなのに、オレみたいな健全な青年がムラムラしないわけないじゃないですか。まあ、それなんで一つ許してください。」

女神さまは優しいから、きっとこの罪も許してくださると思う。



「女神さま、オレは罪を犯しました。あの晩、あのいつもとちょっとどころじゃなく違う、なんだかイッちゃった状態の兄貴を見て、ぶっちゃけオレは欲情しました。いや、その前は欲情したことがなかったというワケじゃないけど、あの晩は今までで最高潮にキました。直前にスッキリしてなかったら、間違いなくその場に押し倒してたと思います。いや、押し倒そうとした瞬間、息の根とめられてたかもしれませんが…というわけで、兄貴に無用の殺人の罪を犯させず、この稀有なビボーを持ったオレがこの世から消え去ることを未然に防いだ、ドニの町の彼女に、女神さまのとびきりの祝福がありますように。」

 オレは十字を切った。



 別にふざけてるワケじゃない。

 相手が許してくれるんなら、許してもらった方がいいと思うだけ。


だってこの世には、どうやったって許されないことも、許してくれない人もいるワケだから…




 マルチェロ副団長どのは、団長殿とお話中だ。

まあ、あの副団長殿だから、うまいこともみ消ちまうんだろうな。



 オレは、炎を宿した翡翠色の瞳を思い出した。





「さあて、と。じゃ、こないだの子に花でも贈ろうっと…」

一人呟いて、ポケットの小銭を探る。

 足りない分はイカサマカードで儲けて、金が余ったらアクセサリーもついでにプレゼントしよう。

 オレはそう決めて、いつものように修道院を抜け出した。







駄目な子ククールのお話。最初は兄貴の鞭打ちにムラムラする様子を書こうとしましたが、気付いたら喘ぐように歌う兄貴にムラムラするククールになりました…まあ、どっちも不健全ですね。
ゴルドの女神さまは慈悲深いらしいですが、近親相姦ホモ強姦まで許してくださるかはけっこう微妙だと思います。
ウチの兄は病的なまでに禁欲家なので、たまに法悦状態に陥っては妙なことをしでかす奇癖があるようです。
ところで兄って、歌うまいんですかね…声はよさそうなんですが。ダンスとかもやたらうまそうなんですが。歌だけは下手な彼も萌えー♪
あ、ちなみに壁紙は兄は白百合なんで、ククールは赤バラにしてみました…もういいって?ちぇっ…




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