強き者よ、汝は地獄へ落ちよ




あの事件の後、法王に即位なさったニノさまの、多分行われたであろう法王即位式及び、法王即位演説のお話。
なんつーか…兄貴の電波演説をご覧になった後で、ご覧下さい。






















「アスカンタ国王パヴァン陛下、遠路はるばる、よくお越し下さいました。申し遅れました、小生は、法王首席秘書官でございます、アレッサンドロでございます。」


痩せた法王首席秘書官に、わたしは笑顔で返答する。



「わざわざのお出迎え、感謝いたします、アレッサンドロ司教どの。法王即位式のご準備もお忙しいでしょうに…」

「いえ、滅相もございません。陛下にお気遣いいただくなど、まことに恐縮な…」


「おお、パヴァン王ではございませんか。お初にお目にかかります。」

痩せた首席秘書官を押しのけるように割り込んできたのは、縦に短い代わりに横に長い、そろそろ少年と呼んでは申し訳ない年頃の王子だった。



「こちらこそ、お初にお目にかかります、チャゴス王子。父王陛下は、ご壮健でおられますでしょうか?」

「はっはっは、父はとても元気にしておりますよ。あの様子では、まだまだボクに王位が譲られる日は遠そうだ。」

敬語こそ使っているものの、自らが大国の王子であることを言葉の端はしどころか、態度の全てに表したチャゴス王子は、一応年上で、そして小国とはいえ国王である筈のわたしに、やたらと“なれなれしい態度”でそう言った。



「ご父君がお元気なのは、何よりではありませんか。」

だが、特にとがめだてするほどの事でもないので、私はそれについては特に触れない。



チャゴス王子は、あたかも自分がこの式典の主催者であるかのようにわたしを先導し、席に導く。

わたしは、法王首席秘書官に軽く一礼し、それに従った。




「まったく…おとなしくサヴェッラ大聖堂で即位式を行えばよいのに、何故にわざわざこんなズタボロの穴だらけの場所で即位式をするんだ。」

「…法王即位式は、聖地ゴルドで行うものときまっていますから…」

わたしは法王庁に代わって弁解してみたが、チャゴス王子はぷりぷりと怒りながら、王族用に特別に仕立てられた席に、どしんと座った。



「サヴェッラと言えば、ご結婚の日取りがお決まりになったようですね。おめでとうございます。」

わたしの言葉に、チャゴス王子はいっそだらしないほど相好を崩した。


「いやあ、はっはっは、照れるなあ、パヴァン王。」

まあ、未来の新郎が幸福に満ち溢れ、いっそ微笑ましいほどのはしゃぎ方をするのは、それほど珍しいことではない。かく言うわたしも、シセルに求婚し、承諾されてから結婚式までは、天にも上る心地で毎日上の空だった。


それは、ほんの昨日のような気もするのだが…




「式には是非ご参列下さいよ、パヴァン王。ボクの花嫁は、トロデーン一の…いや、世界一の美女。ご覧になって、まったく損はないというもの。彼女もボクと結婚して、大国サザンビークの王妃となれるのですから、まったく果報な方というものです。」

「左様ですね…お羨ましいことです。」

わたしの微妙な声のトーンダウンにはまるきり気付かず、チャゴス王子は無遠慮にわたしの肩を叩き、そして無遠慮な台詞を吐いた。


「ははは、そういえばパヴァン王はまだ鰥夫暮らしとか。いけませんなあ、一国の王たる方が、いつまでも独身とは。我がサザンビークには、由緒ある家柄の貴族の娘がたくさんいる、一人、お送りしましょうか?」

「…そうですね、いずれはそういう事になるかもしれませんね…」


わたしは、この王子を夫と呼ばねばならないミーティア姫と、そして最愛の娘をこの王子に嫁がせねばならないトロデ王に、深い憐憫の情を抱いた。




わたしは、既にチャゴス王子との会話に苦痛を感じはじめていたので、それとなく視線を外し、未だ痛々しい惨状を呈する聖地の姿を眺めた。








まだわたしの父が健在だった頃、父に連れられて参詣し、そしてそのあまりの美しさに息を呑んだ女神像は既に無く、そして本来ならば法王がその即位式に用いるべき聖堂もなく、そこにはただ、無残な空洞が広がるだけだった。




ここで、正確には何が起こったか。

その公式な発表は、法王庁からは一切、ない。




そして、これから即位式を行う新法王ニノと、そして先の聖者と名高かったベネディクトゥス六世との間に、本来ならばその名を記されるべき男の名は、法王の一覧は愚か、マイエラ修道院の院長の一覧からも、いや、栄誉ある聖堂騎士の一員としての場所すら剥奪され、もはや公式には、そんな男がこの世に存在した痕跡すら残されてはいない。




わたしはアスカンタ国王としては、“彼”の名すら呼んではならない。


だが、わたしはパヴァンという一人の人間として、“彼”に起こった事を知りたく思う。


わたしの記憶にある“彼”は、聖堂騎士団長の制服に身を包んだ、聡明で凛々しく、そして、決して内心を窺わせてくれない気高い孤高の人だったから。


“彼”は密かに、わたしの憧れの人だった…











荘重な聖楽隊の音とともに、新法王の登場が予告された。


さしものチャゴス王子も姿勢を正し、わたしも威儀を正す。




法王首席秘書官アレッサンドロの、礼に叶ってはいるが、役所仕事的な文辞が読み上げられ、そして続いて、新法王ニノが姿を現した。




わたしは、わたしの記憶の中にあるニノ大司教と、その姿との違いに、僅かながらも驚愕した。


確かに、ここ数年はお会いしていなかったが、それでも先にお会いしたときより五年と開いてはいない。

ニノ大司教は、お背こそ決して高くはない者の、恰幅のいい、肌艶の良い方だった。

確かにもうお若くはないが、老け込むようなお年でもない。



それが、演壇に上ったかの方は、かつてより二十も三十も、老け込んだようにわたしには見えた。



この聖地ゴルドで、“彼”がなにをしたのか…公式発表こそないものの、いくつかの風説は流れていたし、わたしもアスカンタ国王という立場上、それなりの情報は手にしている。

そしてその情報によると、“彼”は、ニノ大司教を煉獄島に幽閉し、法王庁の実権を武力で手にしたという。

やんごとないお育ちで、しかもお若くもない身であんなこの世の地獄に幽閉されては、ニノ法王が衰弱し、老け込むのも尤もだという気もする。


それに、暗黒神の脅威が世界を覆ったあの騒動と、そして崩壊した聖地ゴルドの後始末など、即位前に問題が山積みであったのだ。それを誠実に片付けていては、確かに体力も衰えようという気もする。




だが、ニノ法王の老い込み方は、そんな理由ですらなお、説明しがたいほどのものだった。


なんというか…そうだ、シセルを失った際のわたしの衰えようと似ている。


最愛の者を失い、生きることに絶望したような、生命力の欠如という、老い




あのゴルドの崩壊で、新法王は誰か親しい方でも亡くされたのだろうか…

わたしがそう考えていると、ニノ法王は演壇に就き、見た目よりははるかに重々しく威厳のある声で、語り始めた。









「ご列席の、聖界諸侯及び、俗界諸侯の諸君…まずは、我が即位式にご参集下さった事に対しての、限りない感謝の意を捧げる。」

演説は、まずまず無難に始まった。




そして、演説は無難に続く。


女神への感謝。ニノが法王に即位するにあたっての数々の人々の尽力への感謝。社交辞令としての、我がアスカンタと、そしてサザンビーク、更に今回は国の再建に多忙であることを理由にしての欠席となっているトロデーンへの謝意。


チャゴス王子は既に飽きたのか、しきりに欠伸を噛み殺している。


わたしも、しきたりに叶った挨拶とはいえ、いささか陳腐なその演説に退屈し、行きがけに侍女のキラと交わした会話を思い出していた。


「新法王さまのご即位の際の演説って、どんなコトをお話になるんですか?」

「そうだね、キラ。『法王をがんばりますから、みなさんよろしくお願いします』という内容だよ。」

「あら、法王さまでも、お仕事を始めるときのご挨拶は、あたしみたいな侍女と一緒なんですね。」




キラは邪気なくそう言ったが、まあどこの職場でも…わたしは幸いなのか、残念なのか、“アスカンタ王”という職にしか就いたことはないけれど…新任の挨拶というものは、無難で、そしていささか陳腐なものとなるのだろう。


わたしは、“彼”が行ったらしい、“いささか独創的な法王就任演説”を、少し聞いてみたかったような気もしながら、新法王の型にはまった即位演説を聞き流していた。





「…新法王として、儂は弱きものにとりわけ多くの慈悲を注ぎたいと考えている…」

法王という至尊の御位は、慈悲深き女神の代理人としてある。

であるから、法王たる方は、慈悲を持ち、弱き者を庇護せねばならない。


それはまったく当然のような決まり文句であり、わたしはやはりとくに耳に留めずに聞き流そうとした。







「諸君、力とはなんだ…」

新法王は突如、そう、話題を転換した。

わたしは意外に思い、わずかに居住まいを正した。




「王ならばそれは権力、戦士ならば剣の技、魔法使いならば魔法の力、それが商人ならば…金の力…それが“力”だと、諸君は考えておられると思う…そして人の子は常に力を求め、そしてその身を強大にし、己の欲望を叶えんとする…それが“力”だと、諸君は、そうお考えであろう…」


「当たり前だ、王は一番偉いのだ、思うとおりにしてなにが悪いのだ。」

鼻毛を抜きながら呟くチャゴス王子に、わたしは何か言ってやろうとしたが、演台のニノ法王は、突如背中を伸ばし、眼光をきらめかせ、鋭く叫んだ。




「儂は否定する!!」


その急な変貌に、大声に、チャゴス王子は驚き、その丸まった背がびくりと伸びる。


かく言うわたしも驚き、思わず立ち上がりかけてしまった。




長い溜め。


どよめきかける観衆に、再び鋭い声が飛んだ。




「儂は、女神の御威光以外の、全ての力を否定する!!」




静まりかえった聖地に、神霊が憑いたかのような新法王の言葉が響き渡る。






「力、ちから、チカラ…人の子はこれを求め、いかに多くの罪咎を為したかっ!?王よ!」

その叫びと眼光がこちらへ向けられ、わたしとチャゴス王子は、ついつい姿勢を正してしまった。



「汝は国を治め、国の民を動かす…そう、汝には権力がある…だが、王よ!!そのチカラの源泉はなんだっ!?」




「え、ええ?…そりゃあ、それはボクが王子だから…」

問われたわけでもないのに、言い訳のように口にするチャゴス王子の過ちを正すように…もちろん、チャゴス王子の呟きが新法王に届いていたわけはないのだが…ニノ法王の叱咤のような言葉が、王子に叩き付けられた。




「女神の御威光であるっ!!王は、女神の御名のもとに王であり、女神の御威光なくしては、王たりえんッ!!」

「…」

頬を張られたかのように驚愕する王子。




「戦士は剣技を磨く…それは女神の秩序を守るため、邪悪に立ち向かうための力!!魔法使いは魔力を高め、神敵を滅ぼす!!商人は蓄財し、そして神の御心を実現するべく教会に喜捨を行う…何故かっ!?それは、すべての力が女神によって与えられたが故だからであるっ!!」



確かに、わたしがアスカンタの王家に生まれたのは、女神のご采配に違いない。

女神がほんの少し、その御心を違えられたとしたら、わたしは民の一人として、わたしでない別のアスカンタ王をその上に戴いていたことだろう。


“わたしは特別だった”

そう思いあがるつもりはわたしにはない。

わたしが王であることは、女神のお心一つであったのだ。




「だが…悲しい事に、女神が与えたもうたチカラを、私利私欲のためだけに用い、そしてこの世に害毒をもたらす輩は跡を絶たない。そのような輩は、自らの持ちえたチカラを、自ら一人のみで勝ち得たかのように錯覚し、そしてそのチカラを、女神の御為にではなく、我欲を満たすために使わんとする…」


ニノ法王は、憎しみに満ちた眼差しで、元は麗しい女神像があったはずの、そして壮麗な大神殿があったはずの、空虚で無残な黒い奈落を見つめた。




「あまつさえ!!そのチカラを与えたもうた女神に反逆するために、そのチカラを用いんとする輩までいるのだっ!!この世は!!この世の秩序は!!すべて…全てっ!!至尊にして至高、そして永遠たる女神の創りたもうたものだというのに、己がチカラの強大さに酔い痴れ、この世の、最も犯すべからざる部分を侵す輩がいる…いや…いたっ!!」


わたしの脳裏に“決してその名を口にしてはならない彼”の名が浮かぶ。




そして、ニノ法王は宣告した。






「強き者よ…女神の御威光を否定した上に立つ、救いのない愚か者よ!!女神の定めたもうた秩序を根底から覆さんとする禁忌の者よっ!!汝のその名は呪われよっ!!汝のその身は生きながら地獄の業火に焼かれよッ!!神に反逆する者は永遠の苦悶にのたうてっ!!死という名の安息すら訪れぬ、無限の苦痛を受けよッ!!」




ニノ法王は、熱に浮かされたように、“強き者”を呪った。


呪い続けた。


その老い込んだ肉体の生命力を全て絞り出さんばかりに、喉が裂けるばかりに叫び、そして呪った。







「傲慢の罪を犯した強き者よ、汝は地獄へ落ちよッ!!っ!!」


そう絶叫し、ニノ法王は演台に倒れ込んだ。






どよめく場内。



新法王を助け起こそうとする高位聖職者の手を、法王は慇懃にはらい、そして体を起こした。





「…だが、自らの弱さを認め、そして女神の無限のご慈愛に縋らんとする善き者よ、そなたは祝福される…」

うって代わった、優しげな声色だった。




「罪人よ…汝は悔い改めよ。そのちっぽけな自我を捨て、女神の限りなきお慈悲にその満身を委ねよ…女神は寛大なお方、そしてそなたら全てを生み出したお方…母がその子を決して見捨てぬように、女神のそのいとし子を、必ずやお赦しくださるだろう…罪人よ、そして罪人たる人の子よ…自惚れるな、そなたはちっぽけでそして弱い…だからこそ、女神の定めたもうた世の理に従い、そして女神の定めたもうた規を踏み越えよとせず、女神の御威光遍きこの世界で、女神の御心のままに生きねばならんのだ…」



しん

聴衆は、再び静まり返ったまま、ニノ法王の言葉の続きを待った。







「儂は、新法王として…弱き者が、“呪われし強き者”に食い荒らされることのない、女神の慈愛と慈悲遍き世界を実現せんことを、ここに女神と諸君に誓う…諸君に、女神のご加護があらんことを…」


演説は、そして“陳腐”に、そう、まとめられ、終った。












「結局…なんだと言うのだ?あの演説はどういう意味なのだ?ボクは父上に、なんとご報告申し上げればいいんだ?」

しきりに頭をひねるチャゴス王子に、わたしは言う。



「王子、ニノ新法王はつまり、王のような力ある者は、その力に驕ることなく、謙虚に、そして慈悲をもって、弱いものを守ってさしあげねばなりませんよ、と…つまりはそう仰ったのですよ。」


「うーむ…とどのつまりはそう要約できる気もするけど、なんかこう…違う気もするんだが…」

チャゴス王子はしばしぶつぶつと悩んでいたが、やがて…悩むのが面倒になったのだろうか…ぽん、と手を打った。


「よし、そういう事にしておこう。なにせ、ボクの王族としての任務の輝かしき第一頁なのだからな。あんまりごちゃごちゃとスッキリしないのはよくない!!」




納得し、護衛官や秘書官相手に、さっそく報告書作成と騒がしいチャゴス王子を横目に見ながら、わたしもあのニノ法王の演説の真の意図を計る。




“強き者”とは“彼”のこと…だろうか。

いや、そうに違いない。

一介の領主の庶子から、聖堂騎士団長、マイエラ修道院長、そして、刹那とはいえ法王の座にまで“自らの手で この場所に立つ権利をつかみ取った”人。




“彼”がその至高の地位より、奈落へ堕ちていったのは“女神の罰だ”

ニノ法王はそう言いたかったのだろうか。


だしたら、神意あらたかであることを目の当たりにし、女神の御力を実際に感じた筈のニノ法王は、どうして歓喜の表情を浮かべず、あのように老い込んだ姿となり、法王即位演説で憎しみを叩き付ける様に叫ぶ必要があったのだろうか。

そう、至尊の法王たる身が、さも、恐怖に憑かれたかのように…






ニノ法王にとって“彼”とは、なんだったのだろうか。









わたしは、紅い残影を反射的に目で追った。



群衆の中、神殿内で行われていた今までとは異なり“万人に開かれた法王即位式”にごったがえす人々の中に、確かにわたしは紅い聖堂騎士の制服を認めた。




「ククール…さん…?」

その残影は、確かに私の声にしばし、立ち止まった気がした。





ああ、わたしは真実が知りたい。

彼なら知っているに違いない。

どうして“彼”の名が呪われ、ニノ法王が憎しみと恐れを“彼”に叩き付けたかを。




“彼”の弟であり、もっとも近しいはずのククールなら…





「ククールさん、待ってください。」

だが、身を翻し、わたしから遠ざかろうとするククールを、わたしは何度も呼び、そして追いかけようとした。


だが、わたしの追跡はすぐに群集に阻まれ、そしてククールの紅い姿もすぐにそれに紛れてしまった。




「陛下、どちらへ行かれます?」

近衛兵の言葉に、わたしは呆然と向けた視線を戻す。



「いや…なんでもない…」







そうだ、そういえばどうしてだろう。


どうしてククールは、法王即位式になんて、来たのだろう…な。






2006/12/21




という事で、一応ニノさまのマルチェロへの恋話(笑)は終ります。
衆人の前で、恋敗れた鬱憤をぶちまけたニノ様…ただ、それが失恋が故のぶちまけだったと気付いてくれたのは…ククールくらいじゃないでしょうか?なんせ、同じ穴の狢ですからね。

『童貞聖者』を書く上で、絶対に書いてやろうと思っていた、そして書かねばならないと思っていた話の一つでもあります、この話は。つまり

Q「結局、ニノさまはマルチェロをどう思うようになったのか」
A「恐怖し、そして全否定する」

ってコト。


うちのニノ様は、多分法王としては立派な人になるでしょうが、決して兄を許しちゃくれないでしょう。地の果てまでも追い詰めて、そして殺そうとすると思います。それはもちろん、“裏切られた”憎さにもよると思いますが、なによりも法王となったニノさまにとって兄を許しちゃおけない理由は“兄貴は世界の秩序を破壊しようとした”ことだと思います。

ニノさまにとって、聖職売買とか暗殺とか賄賂とか下半身に節操が無いとかいう腐敗は“当然理解できる悪”であって、そりゃ悪い事は悪いことだけど、みんなやってるじゃん、というレベルだったのでしょう。

が、兄がやろうとした“王や法王を始めとする、世俗の身分制度自体を否定する”ことというのは、なんせ、神様と勇者様が絶対善なDQ世界のお話ですから、“女神さまそのものを否定する”つまり“人が決して手を触れてはならない禁忌”を犯す行為であったのだとべにいもは考えます。

なんで、そういう“狂人”がこの世に存在していることが、激しく怖い…そんなヤバいコトをする奴は当然生かしておけない。
そう考えるようになったんじゃないかな…

下手に崇拝に近いほど溺愛していただけに、一気にその評価が反転してしまったということですよ、つまりは。
“神秘的”と“得体が知れない”は紙一重だという…


今回、パヴァン王視点で書いてみたのは、べにいも的にパヴァン王は「聡明で“DQ世界の良識”に富んだ人」だと思うからです。シセル王妃の時はちょっと酷いコトになってたけど、基本彼はアタマはいいし、慈悲深い“よいおうさま”だと思います。それはマルチェロ的には“王に生まれついたが為に、悪を為さずとも済む”という、許しがたい存在でもあるのですが。だから、そういう人からマルチェロとかニノさまとか、ちょいと?良識の枠外から外れちゃった人を見たら、どう映るのかな…と思ったわけです。


最後に、ニノマルの日完結記念に、拙サイトのニノさまの要約を。

「可哀相なニノ様…」




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