あーる・えー・ぴー・いー? その三

けっこう気になっているのですが、世間のDQプレイヤーはマルチェロは どのくらい経験がある と思っているのでしょうか?
2chで見ている限りでは、結構、童貞説も多いような気がするのですが…









ククールは走ります。

マルチェロの元へ走ります。




何故って?


だってククールはマルチェロに約束しましたから。








何度だって止めてやる!!

って。















しかしククールは、そう言いはしましたが、心配でたまりません。

そりゃ止める気は満々ですが、 兄は黙って止められるタマであった試しがありません から。



そりゃククールだって、 永遠の巨龍を倒すくらいのレベル ではありますから、いざとなったら 元中ボスのマルチェロとタイマン出来る自信は無きにしも非ず ではあります。

ですが、 何が悲しゅうて唯一の肉親と二度も殺しあわねばならないのでしょう!?



だいたい、 改心したと自称する割に、マルチェロは今でも暴虐で冷酷 ではありますが、それでも 一昔前と比べれば、天使のように善良になっています!!

…あくまで「一昔前と比べれば」の話ですが。


いや、 相対評価とはなんとも実態を覆い隠す素晴らしいもの です。








と、これほどククールが心配するのは、 初恋に敗れた(と自分で思っている)マルチェロ自暴自棄になって今度こそ真の大魔王化するのではないか ということなのです。





「兄貴…そりゃいろいろあったけど 大事な大事なオレの今のとこ唯一の家族!! 頼むから…頼むから、 部屋の中であからさまに禍々しい魔方陣を描いて たり、 黄金の腕輪とかはめて、今にも異形の者に変化しつつあった りしないでくれっ!!」







みなさまは、このククールの危惧を杞憂とお笑いになりますか?

ですが、 なにせ相手はマルチェロ です。


無駄に用意周到な彼のこと、いくら夢破れて一文無しになったとはいえ、 進化の秘宝の一つや二つ、隠し持っていないと誰が断言できましょう、いや出来ませんっ!!(反語)












「兄貴いっ!!!!」




どばたん

という派手な音とともにマルチェロの私室のドアをあけたククールが、兄の行動を見た瞬間…
























ホッ




ククールは、大きすぎる 安堵の溜息 を洩らしました。










「…」

マルチェロは、あきらかに無作法な弟を見ても、怒りの言葉も、 メラゾーマ もぶつけはしませんでした。


ただ、眉間に不快そうな皺を寄せただけで、荷物を詰める手を止めようともしませんでした。




ええ、マルチェロが。

あのマルチェロが!

あの常人の理解を超えた行動ばかりしてきたマルチェロがですよっ!?




アローザ奥様のあの言葉を受けてとりつつある行動が、 ただ、荷物をまとめて出て行こうとしているだけなのですっ!!!!





「兄貴…」

ククールは思わず、 感涙にむせび ながら言いました。


「良かった、かなりフツーの人間になってたんだねえ」




もちろん、マルチェロがそのククールの言葉を好意的に受け取ったはずがありません。




ばたむっ

マルチェロは、荷物の蓋を乱暴に閉めると、何も言わずに出て行こうとします。

慌ててククールは止めました。




「ちょっ…待ってよ兄貴。」

「何を待つ必要がある?」

もちろん、マルチェロが大人しく止められるはずがありません。



「出て行かなくたっていいじゃん。」

「ふん…獣扱いされたのだぞ?」

「だって、そりゃ兄貴が悪いんじゃん。」

ククール的には、いえ、世間一般でも、 ほぼ両想いの女性の唇にちょっとちゅっ♪ としただけで ケダモノ呼ばわり されるのはどうかと思いますが、それでも、 そのテの行為は両性の合意を得た上で の原則からすれば、合意もなしにキスしたのはマルチェロです。

つまり、マルチェロが悪いことに違いはありません。




「…分かっている…」

さすがにマルチェロもそれは分かっての上だったようです。

当り前のことなのですが、ククール的には マルチェロが世間一般の反応や思考をするだけでかなりホッ としてしまうのです。



「…自分が抑えられなかったのだ… 暗黒神ですら精神力で制圧したこの私がっ!!」

「んー…まあ、恋心ってのはそういうモンだから…」

しかしそう考えると、マルチェロにそこまでの心理的動揺を与えたアローザ奥様は、 暗黒神を超えた淑女 ということになります。

さすが奥様。




「でも兄貴、つまりはそんだけ兄貴は奥様が…」

「彼女のことを思うと、胸が苦しい…」

「兄貴…」

「なのに…私は… マダムを傷つけてしまったっ!!」

「んー…傷つけたつーか…」


「確かに私は今までさまざまな悪事を為してきたが…」

「…?」

「わが生涯最大の悪行を為してしまったのだっ!!」





頭を抱えて、本気で苦悩するマルチェロを見ながら、ククールは

すいません、ゴルドとかはキスより悪行レベル下ですか?

なーんて ヤボなツッコミ はもちろんせず、ただ、 マダム・アローザと精神構造がまったくおんなじ な兄を 絶対にマダムとくっつけてやろうと、強く、つよーく心に誓う のでした。




2008/8/30




ま、なにを悪と感じるかは個人の価値観なのはもちろんなのですが、 ゴルドの暗黒に呑み込まれた、一般人および、マルチェロを慕った聖堂騎士たちが哀れで仕方がない のは、べにいもだけなんでしょうかね?




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