Moon Light Revenge その三

本日は、引きこもりのように家から一歩も出ずに、食べたものはバナナヨーグルトだけ(昨日食べ過ぎたから)。
休日なのに朝7時に起床して、途中で布団干して、掃除して、片付けして、ネットゲームして、昼寝した以外はひたすら、ずうっとサイトとブログの更新をしました。

そして(サイトの表紙も変えましたが)本日4作目の書下ろしです。

イイのか?若い女としてイイのか、この休日の使い方!?

いいとは思っていない…けれど、後悔はしていない。









またキスされてしまいましたわっ!!

奥さまはお思いになりました。




いや、 マルチェロにキスされるのは嬉しい のですが、 レイディとしては ここは毅然と怒るべきとも思うのです。

思いはしますが、また、マルチェロとの仲が気まずくなったらと思うと、反応に困ります。




「レイディに…」

というわけで、 折衷案としてちょっとだけ怒ってみせる ことになった奥さま。




「紳士のなさることとも思えません。」

「これは失敬、マダム。 そもそも紳士などではございませんで。」

マルチェロの反応は、 こないだとまるで一緒 です。




不味い

奥さまはお思いになりました。




「その…だとしても、」

ちょっと不味い返しになりそうです。


「わたくしはレイディで…」

「レイディとは御不便なものですな。」

マルチェロは、かなり強烈な返答をしました。




「…」

返す言葉を失う奥さまです。




「いや失敬、もちろんマダムを御悪く言うつもりではないのです。もちろん、レイディの価値を否定するものではない。私は貴女がレイディでなければ 貴女を愛することは無かった でしょうし…いや、失敬、上手く言葉が出てこない…喋るのは得意なのですが…」

「…」

まだ返答は見つかりませんが、さすがの奥さまにも マルチェロが相当うろたえている ことは良く分かりました。





「その…何と言いますかな。私の母は自堕落な女で…貴女のようなレイディとは対極だった。それだからかもしれないが…」

「マルチェロさま、ご自分のお母様をそんな風に言うものではありませんわ。」

マダムはようやく、切り出しに成功なさいました。


「マダム、貴女は私の母を御存じない。」

マルチェロも、至極当たり前のことを大真面目に言います。

そりゃ知るはずはありません。


「16で私を生んだ、領主の御手つきのメイドで…」

「まあ、16歳で!?」

奥さまは少々、品の無い大声をお出しになりました。


「ええ16です。ですが、それが何か…」

「16…16…マルチェロさまが30だから、今、生きていらしたら46…」




わたくしとさして変わりませんわ




一気におヘコみになる奥さまです。




「如何なされました、マダム?」

「いえ、いいのです、マルチェロさま。わたくし、改めて 自分がもう立派なおばあちゃん であることに気付きましたわ。」

「は?」

マルチェロはそうは言いましたが、 KYとはいえクレバー な彼のことです。

奥さまの言いたいことにすぐに気付きました。




「年齢がなんだと仰るのです。」

マルチェロは、 優しく微笑んで 言いました。




「貴女は本当に御美しいではありませんか。」

「…」

奥さまは、ほんのり頬を赤らめなさいました。




「…まあ、でもすぐに、お世辞でもそうは仰れなくなりますわ…」

蚊の鳴くような声で謙遜なさる奥さまに、マルチェロは畳み掛けます。




「古人は言った。

『美しい若人は自然のいたずらだが、美しく老いた人は人間の努力である』

と。貴女は御若い頃からさぞや美しい方だったに違いないが、だがしかし、 今、かくも御美しいことは、貴女の生き方の美しさの表れなのです。」

「…」




「ですからマダム。 私は貴女の美しさを愛します。 ええ、それは肌一枚の美しさではなく、 貴女の魂の美しさなのですから。」






奥さまに何がおっしゃれたでしょう?

ええ、 ええ、ぶっちゃけ超不可能 です。









「マダム…今度こそ、貴女に

『はい』

と、仰って欲しい…」


「…」




「キスしても、良いですか?」



















「…はい。」






2009/3/2




なんなんですか、こののた打ち回りそうな展開は!?
というツッコミは自分でしたからもう結構です。




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