剣では奪い取れないもの その一

トップにアンケート作成しまして、まだ数時間なんですがすでにご投票くださっている方がいくらか。
ありがとうございます。ありがとうございますっ!!

で、だいたい想像はしていたんですが、やはりアロマルがトップでした。

ふふふ、あまのじゃくなべにいもと知って、アンケートに「アロマル書いて」というということは、本当はアロマルなんか誰も読みたくないんだろ?

ふはははは、その手には乗らんぞ。ウラのウラをかいて更新してやるっ!!!

というわけで更新してみます。


ご存じだと思いますが、あまのじゃくで恥ずかしがり屋の人なんです。









「…ようやく君と会話が成り立ちそうだ。」

そして、この世ならざるもの…いえ、もうアルバート卿と言いましょう、ゼシカとサーベルトの父親、もちろんアローザ奥さまの旦那さまは、姿を現しました。


サーベルトにとてもよく似た、まだまだ若い面持ちの穏やかそうな紳士です。




「改めて自己紹介が必要かな?マルチェロ君。」

「今更なので御遠慮申し上げよう、ムッシュ・アルバート。こちらこそお久しぶりです…と申し上げておきましょう。私がまだ平団員であったころ貴方にはお会いしているのだ。尤も、貴方は御存じではないと思われるが。」

「いや、君のことは覚えているよ。まだ十代であったのかな?ひどく強い緑の瞳をした青年だった。だが、あの時はまさか…こんな形で君に関わるとは思ってもみなかったけれどね。」

「でしょうな、私も想像すらしなかった。で?私は貴方からまだ理由を答えて頂いてはいないが?」

険のあるマルチェロ です。


「…」

アルバート卿は怒りもせず、穏やかに微笑みました。



「君はアローザより前に、誰かに恋をしたことがあるかい?」

ひどく唐突な問いです。




「御座いません。」

マルチェロは、ひじょーにマルチェロらしい ドキッパリした断言 で返しました。


「…そうかい…」

アルバート卿は、 普通は、もう少し逡巡するとか、思い返すとか、なんか恥ずかしがるとか、そういう前フリのあとで返答するものじゃないのかな と言いたげな表情になりましたが、口には出しませんでした。


「最初に恋した人がアローザなのだね、おめでとう。 彼女は本当に素晴らしい人だよ。」

「貴方に言われるまでもない。」

やっぱり険のあるマルチェロ です。




「失礼ながら申し上げるがな。」

「一応、僕から先にツッコミを入れてもいいかな?」

「何ですかな?」

「いきなり僕に剣を向けたのは失礼ではなかったのかな?」




ええ、 至極もっともなツッコミ ですね。


まあ、2回前を読み返してもらえればわかることですけれど、アローザ奥さまの死んだ旦那さまのお墓に出てきた幽霊なのですから、 ごくフツーに考えれば それは死んだ旦那さまでしょう。

ですから、それ相応の口のききかたなり、態度なりがあったと思われるのですが、




いきなり抜剣




ホント、 どんな躾をしたのでしょうね?





まあ、やめておきましょう。

貴方を今さら責めても仕方のないことです。

それに




大切なのは未来 なのですから。









ええと、何の話でしたか?

ああ、いやですね。

毎度ながらあまりにマルチェロにツッコミ所が多すぎて すっかり忘れてしまいました。




閑話休題。


マルチェロはアルバート卿に向かって言いました。


「兵法に言う。」

「?」

「兵は拙速を以って尊しと為すっ!!」

「…はあっ?」

気の毒にもまったく理解できないアルバート卿に、マルチェロは続けました。


「戦争では、迅速なる用兵が勝利の鍵という意味だ、御存じないかな?」

「いや、それは知っているけどね。どうしてそれが僕の問いへの答えなのか、 是非、説明して欲しい なあ。」

「これほど明瞭な事に何の説明が必要なのか皆目分かりませんがな。」

マルチェロは、 厭味タップリに そう言いましたが、でも説明はしました。




「先ほども申し上げたように、迅速なる用兵は勝利の鍵です。よって、少々の不都合には目をつぶっても先手を取ることが必要。今回の件で言えば、 貴方が私に好意を持っていないことは明らかな事実 であるのだから、つまり 貴方は私の明確な敵 だ。敵が眼前に存在する… 即ち、剣を抜いて斬り倒すっ!!」


「…」

「まだ説明が要りますかな?」

「…」

アルバート卿はしばらく嘆息して、そして言いました。




「すまないけど… しばらく、どこからツッコんでいいのか考える時間をくれないかな?」






2009/4/7




会話が成り立つと見せかけておいて、 やっぱり会話が成り立たない
それがマルチェロアイデンティティーですが…




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