Pures その一

休校のおかげで1週間暇だったうえに、予定のない休日。
ゴロゴロ更新だけしてればいい生活も、今日で終わりますっ!!

明日からは怒涛の1週間です、切ない…









マルチェロの強烈な逆切れ にも、アルバート卿は負けません。


「では、極悪人のマルチェロ君。 アローザへの気持ちに、嘘はあるかい?」


「御座いません。」

それが、 極悪人逆切れよりも力いっぱいだった のが、アルバート卿を安心させたようでした。




「…なら、いいんだ。」

アルバート卿は微笑みます。




良くはないでしょう?極悪人なのに相違はないのですよ?




「彼女を心から愛してくれているなら、それでいい。 彼女は純粋な愛情なしでは生きていけない人 なんだ。」

なんとなくアルバート卿が美形なので納得してしまいますが、 かなり赤面ものの台詞 ではありますが、


「言われるまでもない。マダム・アローザは 私にとっては赤毛の天使とも言うべき、清らかな愛の対象 だからな。」

さらにこっ恥ずかしい台詞 でマルチェロが返します。




「マルチェロ君、僕は聞いている。君の感情には混じりけがないと。だから、それが憎悪ならば、わずかの例外もなく、その人物を憎んでしまうと。」

「ふん、どこからの情報か存じませんが…なかなか正確な情報網をお持ちのようだ。」


「でも、感情のベクトルが真反対を向いたなら、君は、 わずかの混じりけもなく、その人物を愛することができる と。僕は、そう聞いてる。そして、僕はそれを信じたい…アローザの為にも。」


マルチェロは、


ふん

と鼻で笑いました。




「何度も繰り返していただかなくても結構。」

本当に可愛くない反応ですが、さすがはアルバート卿は大人ですね、微笑みました。




「では、僕は安心することにするよ。」

「…用件は、それだけですかな?」

「ああ、それだけだ。」

「そうですか、ではこれで失敬。」

なんの躊躇もなく立ち去るマルチェロです。










「ははは、本当に僕も人がいい。」

マルチェロの立ち去る姿を見送って、アルバート卿は呟きます。


「恋敵に、しっかり激励の言葉を贈ってしまったなんて。しかも… あんな危険人物 に。」


分かっているなら、しなければいいでしょうに。


「ふふふ、本当に人を言いくるめるのがお上手なんだから。

『マルチェロは確かに、ちょっと人当たりの悪いところはあるが、とっても、とおっても心優しい良い子なのじゃよ、アルバート卿。じゃから、どうかマルチェロに良くしてあげておくれ。』

って何回も何回も言われたから、信じてしまったじゃないですか…オディロ院長。」


おや、そうなのですか?

まあ…罪作りな。




「いや、でもアローザが好きになるくらいの人なのだから、 どれだけ大魔王オーラが出ていても、きっと内心は良い人に違いない。」


一応、忠告しますよ?

大魔王オーラが出ている時点で、良い人だということはあり得ない という判断はしないのですか?














まあ、良いでしょう。

我は人の子に自由意思を与えました。

自らの判断で選びとるものが、善か、はたまた悪か…


それを黙って見守るのも、また、我の役目でしょう。

























マルチェロが奥様の額にタオルを置くその感触で、奥さまは目を覚まされました。


「…マルチェロさま。」

「はい。」

「亡き夫の夢を見ました。」

「…」

マルチェロは、今置いたばかりのタオルを手に取ると、冷たい水で再び絞り、そして奥さまの額に再び載せました。

ええ、奥さまの恋の熱を冷まそうとでもするかのように。


「あの方は、いつまでもお若くていらっしゃいました。」

「死人は年をとりませんからな。」


「わたくし、あんまり長生きしすぎると、あの方に

『どちらのおばあさまですか?』

って、聞かれてしまうかもしれませんわ。まあ、大変…」

「年月が過ぎ去ったくらいでマダムのお顔を忘れてしまうくらいなら、その程度の男だったということです。」

奥さまは、マルチェロを見上げます。


「…いつものマルチェロさまではないような仰り様ですわ?」

そして奥さまは、ようやく思い出したようにおっしゃいます。


「今年の、あの方の命日の墓参りには…」

「私が参りました。」

奥さまは頷かれます。


「あの方は、お元気でした?」

「はい。」


「何とおっしゃっていました?」

「貴女の事を、死した今でも本当に愛している、と。」

「…あなたはなんとお答えになりました、マルチェロさま?」

奥さまの問いに、マルチェロは答えました。






2009/5/24




美男美女だらけだから成り立つ会話だらけ。




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