Pures その二

インフル休みよもう一度
けっこう瀕死です。









「…人は、死した者の愛を感じ取ることは出来ますまい。」

マルチェロは、奥さまの問いを交しました。


「…」

少し残念そうな奥さまに、マルチェロは言いました。

「…だから私は誓いましょう。」

「何を誓って下さるのでしょう?」

「貴女が感じ取れる愛を、誰よりも強く捧げると。」



















あまりの恥ずかしさに、さすがの我も思わず赤面してしまいました。




まったく、 なんと恐るべき男でしょう、このマルチェロという男 は。

我に公然と反逆したのみならず、人の子には介入しないと決めた我に、 思わず何度もツッコミを入れさせるとはっ!!











ふう、いけませんね、思わず興奮してしまいました。

我ともあろうものが、情けない。

やはり、ククールがいないと駄目ですね。

ツッコミ役がいません から。











さて、閑話休題。


あれだけの こっ恥ずかしすぎる台詞 を聞きながらも、奥様の顔色は変わりません。

いいえ、きっと赤面はしていらっしゃるのでしょうけど、熱のための赤さに隠れて分からないだけでしょうね。




「…そのお言葉…」

奥さまのハシバミ色の瞳は、 熱の為だと思いますが うるんでいらっしゃいました。




「…信じても…」




マルチェロは返答代わりに、 奥さまを後ろから抱きしめ ました。









しばらく、奥さまは何も仰いませんでした。




マルチェロも何も言いませんでした。





「…マルチェロさま?」

そして、奥さまはそっと囁きました。


「はい、マダム。」

「わたくし、まだ熱で意識がもうろうとしているようです。」


「…?」

「ですから、淑女らしくない行動があっても、それはきっと熱のせいです。」

「…」




奥さまは少し振り向かれると、 その唇で、


マルチェロの唇に、


そっと


けれど、


確実に


触れられました。





「…」

マルチェロの頬が、赤みを帯びました。




ええきっと、 奥さまの赤毛の色が頬に映ったのでしょう ね。









「…まったく、熱とは恐ろしいもので…」

「ええ、こわいものですわね。」


「けれど…たまには熱を出されるのも良いかもしれませんな。」

「ええ、たまには。」




そして二人は、またしばらく無口のまま、そうしていました。











「…マダム。」

「はい…」


「もう少し、こうしていても?」

「ええ、もう少しだけ…」




そして二人は、“もう少しだけ”そうしていたのでした。






2009/6/7




声に出して読んで下さい。とても恥ずかしいです。

恋人や配偶者のいらっしゃる方は、二人で朗読してみてください。
恥ずかしくて死にたくなります から。




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