さてさて、ククールは
マルチェロがチャゴス王子をあんなにしてしまった
ことはもちろん知っていますが、
その事でクラビウス王がどんだけブチ切れているか
ということも、
エイタスとトロデ王がその事実ほ知ってどれだけ恐怖したか
ということも、
全く知りません。
良く考えてみれば、いくらチャゴスとはいえ
一国の王子をゲシュタルト崩壊
させておいて呑気なものではあります。
でもね、
アホの子ククールを庇う訳ではありません
が、なにせ
相手はあのチャゴス
です。
想像してごらんなさい?
みなさんがククールだったとして、
あのチャゴス
が酷い目に遭ったのを見たとして、
「ざまを見ろ」
や
「あースッとした♪」
以外の感想を持てる自信がありますか?
ないに決まっていますよね!?
ええ、ですから
断じてアホの子ククールが美形だから庇う訳ではないのですよ?
おっと、話が余計な方向にずれましたね。
ともかく、このままだったら間違いなく
ククールは墓穴を掘っていた
のでしょうが、ここでククールには思いもかけない
救世主
が参上しました。
外がざわざわします。
またまた聖堂騎士の一人がヒソヒソと隊長らしき男に耳打ちをし、隊長が首をひねっている間に、
「ご許可頂かねばならない程のことじゃないと思いますので。」
敬語ではありますが、割と無礼なそんな言葉と共に、
「エイタス!!」
が入って来ました。
「こ…これはこれは、トロデーンの王太女婿殿下…」
「エイタスで結構ですよ、隊長どの。」
エイタスは柔らかに微笑むと、
そっとククールに目配せ
しました。
「あら、エイタスさんまで。お会いする方に不自由しませんね。」
エイタスの姿を見ても、サザンビーク王付き秘書官のレベッカは動じる気配もありません。
「あはは、ご縁がありますよね、本当に。」
エイタスは和やかに微笑むと、遠慮がちに用件を問う聖堂騎士たちの隊長らしき男に、
「僕の友だちが拘束されたと聞きましたので。」
ときっぱりと言いました。
そして、向こうがモゴモゴと(多分、王族への無駄な遠慮があるのでしょう。「女神の剣」聖堂騎士も堕ちたものです。)何か言うのをエイタスは遮り、
「彼はサザンビーク国王トロデと、王太女ミーティアの友でもあります。マルチェロを匿った容疑で拘束するということは、よほどの確信があってのことなのでしょうね?」
と、
いっそ恫喝にも聞こえるような物言い
で、聖堂騎士を黙らせました。
ククールは聞きながら、我がリーダーの
男前っぷり
に、
「さっすがアニキ、シビれちまうでガス」
と心の中で叫びました。
がまあその後で、
兄貴の恫喝に比べりゃ子猫ちゃんみてーなモンだがな
と、
どうでもいい感想
を持つことも忘れませんでしたが。
「わっ、わたしがパルミドで見…」
ちょっと忘れられていた占い師(という名目でパルミドで人身売買に従事していた割と極悪非道な娘)のイルマが口を挟もうとすると、
ぎんっ!!
エイタスに
結構スゴい視線
で睨みつけられて、沈黙します。
どうやら、長い旅と王族修行は彼を大分と成長させたようです。
「どうやら、エイタスさんはマルチェロをお庇いになりたいようですね。」
「どうしてそんな風にお考えになるのか分かりません。」
エイタスとレベッカの間に、冷たい緊張感が走ります。
ククールは、エイタスに目配せされたので口を挟むのを差し控えていましたが、しばらく黙っていると
生来の余計なこと言いな性分
が
むくむくむくっ♪
と頭をもたげてきました。
にたあっ!!
アタマ弱いガキんちょみたいな顔でククールが口を開こうとすると、また入口がざわざわしました。
え?
もしかして
慈愛深き女神の助け
かって?
さあねえ、我としては答えにくいことですが。
聖堂騎士たちが、いきなり直立不動の姿勢をとります。
入って来たのは、中年の聖職者らしい男です。
目立たない容貌の男は、それでも高位聖職者の衣をまとっています。
「法王主席秘書官アレッサンドロと申す者でございます。」
アレッサンドロはそう言って、手にした書状を示しました。
一同、それを見て息を呑みます。
「わたくしは、法王聖下の聖旨をお伝えするものでございます。」
そしてアレッサンドロは、封印を解きました。
2010/1/30
オリキャラだらけになってきた。
ちなみに、イルマはともかくとして、レベッカもアレッサンドロも割とちょこちょこといろんなトコに出ています。興味のある方は裏表問わずに探してみて下さい。
そして
結末予測アンケート
まだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。
Royal その三へ
アローザと元法王さま 一覧へ