満を持して その三

「どうも最近、更新意欲がビミョーです。プールの中で更新すればいいのかなっ!?」
とかゆってましたら、今度はプールの中でもアロマルを更新したくならない病にかかってしまいました。(最近の更新状況を見れば分かるって?)浮かぶのは現代版のドルマゲス先生だの、オリキャラたちの話だの、3年以上ほったらかしにしておいた童貞聖者のオチの話だのです。

アロマル終わらせなかったら、やっぱりみなさん、お怒りになります?









「ゴルドで乱入者達に敗れ、意識を暗黒神に奪われた新法王は…」

声が、ゴルドの廃墟に響きました。


「…誰です?」

片手で頭を押さえたまま、剣を抜かないマルチェロに目をやりながら、奥さまは気丈にも声のした方向に問いかけなさいました。


「暗黒の魔力に身を包まれ、人の身で有りながらも宙に浮いた。」

しかし、声の主は奥さまの問いには答えません。


「そして、女神の代理人たる新法王は、神聖の身でありながら己の傲慢によって暗黒神に魂をのったられた新法王は…」

マルチェロは、ギリギリと歯を食いしばった表情ながらも、声の主が誰だか分かっているようです。


「杖を、暗黒神の宿ったその杖を、不可侵たる女神の御身に突き刺したのだ…」

一瞬の間がありました。




「このようになっ!!」




奥さまは何が起きるのかまったくご想像もなさいませんでした。

ですが、苦痛に必死で耐えていたはずのマルチェロが、恐るべき速さで奥さまの前に飛び出ると、奥さまの盾となります。


「マルチェロさまっ?」

がきん

という音がして、マルチェロの地獄のサーベルが杖を叩き落としたのが見えました。



「ぐっ!!」

ですが、続いてマルチェロが手にした剣を取り落とし、苦痛に呻き声を上げるのもまた、聞こえたのです。




「マルチェロさま、お怪我でも!?」

「…大事ありません。」

息を整え、マルチェロはゆっくりと剣を拾い上げます。

そして、声の方向へその緑の瞳を



ひた

と向け、口を開きました。




「…御婦人になさる所業とも思えませんな… 今や至尊の身となられた方 でありながら。」


「ある者は語る…」

ですが、声の主は今の言葉をまったく耳にしなかったように、言葉を続けます。


杖はファロス そして言うまでもなく 女神は最上のおみな なればあれは、 新法王による凌辱 そのものであったとな。」


「法王の癖に 下衆な物言い を…」

「法王っ!?」

奥さまは、ようやく何が起こりつつあるのか合点がいきかけたご様子です。

しかし納得がいかないのは、どうしてこんな廃墟にそんな人物がいるかと言う事です。

ご聡明な奥さまは少しお考えになって、


法王聖下ですから、きっとなんでもお出来になるのです。

と納得なさることにしました。

ええ、奥さまは ついうっかりマルチェロなんて生物に関わり合いになってしまわれ はしましたが、基本は敬虔な信仰心をお持ちの方なので、法王聖下は神の如しと素朴に信じていらっしゃるのです。




「下衆?心外じゃな。儂は事実を申したまでよ。 汝の欲望が、女神を穢し、暗黒神を産ませた事実には相違あるまい。」




ばらばらという足音の正体が見えました。

あまたの小山の如き聖堂騎士たち。

そして、その中に一人、背こそ小人のようではありますが、 独特のオーラを纏った男 が、マルチェロを見据えています。




「暗黒神の杖は、勇気ある冒険者達と、そして神の鳥の力で神鳥の杖に生まれ変わった。そして、暗黒神が討ち滅ぼされた後、法王庁に献上されたのじゃ。」

「ニノ法王聖下…」

奥さまは、自らの信仰心の元に跪きました。

名門の奥さまですから、まだまだ高位聖職者の一人であったニノ法王ともかつて会ったことがあるのです。


「…」

もちろん、マルチェロは跪きなどしません。

苦痛を堪えながらも、彼らしい傲岸不遜な表情でニノ法王を見下ろします。



「御息災で何よりですな、ニノ法王聖下。」

「法王の館は煉獄島より居心地が良いのでな。」

ニノ法王はマルチェロの瞳を軽くいなします。

そして再び、子どもに言い聞かせるおとぎ話のような口調で続けます。



「暗黒神の魂は解き放たれ、神鳥の祝福が為されたというのに、杖は長い間の性質を完全には失いはしなかった。ゼシカが言うておったよ、この杖に近寄ると気分が悪いとな。」

「まあ、ゼシカが?どうしてです?」

「…マダム。」

マルチェロは奥さまを制すると、奥さまの前に再び立ちはだかります。



「くだくだしい話はいい加減になさって頂けませんかな。ニノ法王、ゴルドの廃墟を周遊旅行中ですか?聖堂騎士をそれほどまで引き連れて。」

マルチェロは小馬鹿にしたような口調を装ってはいますが、その手に握られた地獄のサーベルはいつでも振るえるようになっています。



「杖は囁いた。」

「…」


「背教者はこの場所に引き寄せられるとなっ!!」

「…」


「女神の御言葉で有ろう。」

さあ、それはどうでしょう。




「さて、マルチェロよ。」

ニノ法王は不意に猫撫で声を出しました。

奥さまはご存じない事ですが、マルチェロのもっとも嫌うニノ法王の声です。



「間もなく、サザンビークの兵たちも到着する。」

「…」




ニノ法王は悠々とマルチェロの傍まで歩み寄ると、先ほど投げつけた杖を拾います。

マルチェロは、ニノ法王に危害を加えることも出来るというのに、動こうとはしません。




ふっ

ニノ法王が笑いました。




「ようやく観念したと見えるのう、背教者マルチェロよっ!!」




2010/3/7




という訳で、やっとお出でましたニノたまです。
まあニノたまが登場するのはみなさんとうに予測済みだったと思いますが、どんなキャラで登場するのかってことまでは未だ予測なされませんでしたよね?
はい、こんな展開です。
この展開が 女神のみ心 なのかはまあ…お楽しみに。

そして 結末予測アンケート まだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




法王と王と背教者(元法王) その一へ


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