親ゴコロ その二

しかしまあ、とりあえず親相手にゃ子どもは褒めとくのが無難だという世間智はあります。









「…だいたいよ。」

もう 兄を匿っていた罪はひっかぶる気マンマン になったククールが口を開きました。

だいたい、このメンバー相手に今更小手先のウソで逃れようとするだけムダな気がします。

そしたら、恥ずかしげもなくアローザ奥さま誘拐犯という汚名をひっかぶった兄の 切ない男ゴコロ はどうなるんだ?とか、 そもそもアルバート家はどうなるんだよ、その為にいろいろ我慢してきたんじゃないの? とか、そういう自分の心の中からのツッコミは、


ま、エイタスが何とかしてくれるさ。

という、 すーぱー無責任&他力本願 で片付けられました。



エイタス…年下だけど、お前の実力はほんと認めてんだぜ。 お前こそオレたちの真のリーダーだ ってよ。だからよ、エイタス、 後のことは洗いざらい任せまくるぜっ!!ヨロシクなっ!!(爽やかなスマイル)

ククールは心の中でそう言って、エイタスの居る方向に ウインクを投げかけ てから、大魔王に対峙するよりなお覚悟を決めてから、クラビウス王たちに向き直りました。




「…?」

もちろん、いくら 賢明なエイタス でも、ククールの内心なんて分かろうはずはないので、ウインクの意味がいまいち把握しきれずに、


きょとん

とした目をしています。


がまあ、もしエイタスに読心術が出来たとしたら、



そんな風に、何でもかんでも人に押し付けるの、やめてくれるっ!?

マジギレ したことでしょう。




良いですか?よいこのみなさん。

友だちの実力を正しく推し量って、その可能範囲を見極めることと、 出来るからってその人に何でもかんでも押し付けること は、 まったく違います からね。




「いと高く、そしていと恵み深い女神さまは、 を嘉し給うとお聞きしてますがね。違ったっけ?ニノ法王聖下?」

ニノ法王は、黙ったまま不審そうにククールを見返します。


「そしてね、オレだって元は聖堂『騎士』だったから言いますが、 騎士ってのは、ご婦人方に礼儀と献身を払うもの でしたよね?ニノ法王?」

「言いたい事があるなら、はっきり言うのじゃ。儂はそれ程気が長い方では無い。」

「はいはい。んじゃ言うがよ。 心からの敬意と愛情を捧げるレイディ に、 どっかのブタ…っぽい生物 が無礼を働いたとしたら、 黙って見過ごした方が良いってあなた様はお考えなんですかねっ!?」




黙ってマルチェロに 誘拐されていた 奥さまは、ククールのその言葉にハッとなさり、同じく、 普段は雄弁なくせに不気味なほどの沈黙を保っているマルチェロ を見上げなさいました。


「マルチェロさま…あの…わたくしは…」

「誘拐された淑女は、余計な口などおききにならぬ事だ。」

「…」

奥さまは、不安そうな顔で、再びお口をお閉じになりました。




ニノ法王が何も言わないので(ちなみに周囲のあの ものっすごい悟りの悪い聖堂騎士ず はがやがやと「いや、淑女の名誉は守らねばなるまい」とか言ってましたが)ククールはイライラして叫びます。



「愛の為に犯した罪なら、許されるようなモンじゃねーのっ!?」




ぷつん

小さく、でもはっきりと、なにか糸のようなものが切れた音がしました。




?



一同が、何の音だろう?と思って、銘々心の中にそんな疑問符を浮かべた直後です。




「その台詞、そっくりそのまま、御返ししてやるわぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!!」

そんな もンのすごォい絶叫 が、廃墟と化した聖地ゴルドを 再破壊せんばかりの勢い で轟きました。





2010/3/31




だから、また「親ゴコロ」に入れなかった。
けど、さすがに次回の冒頭では入るからね?ガマンしてね?

そして 結末予測アンケート まだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




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